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初めて文学フリマで同人誌を頒布して思ったこと

こんにちは。真下みことです。

昨日文学フリマ東京38でTOKIMAKEのブースに来てくださったみなさん、ありがとうございました。おかげさまでTOKIMAKEは閉会約1時間前に完売いたしました。いわゆる完売御礼というやつですね。
昨日感じたことをブログに残しておこうと思い、この記事を書きました。全部で2000字くらいになってしまい結構長いのですが、読んでくださると嬉しいです。

そもそもコスメアンソロジー同人誌であるTOKIMAKEに寄稿するきっかけになったのは、お友達である作家の実石沙枝子さんのお声がけでした。以前別の同人誌にインタビューが掲載されたことはあったのですが、小説の寄稿は初めてで、お声がけいただいたのが嬉しかったことを覚えています。

元々コスメが好きで、化粧品に関する小説を書きたいとずっと思っていたので、小説を書く間もずっと楽しかったです。その後、編集をしてくださる方、組版をしてくださる方が色々と進めてくださり、あれよあれよという間に素敵な本が出来上がりました。

TOKIMAKEを文学フリマで頒布することが決まり、私はちょっとしたサイン会をやらせてもらうことになりました。TOKIMAKEをご購入の方に限り、お一人二冊まで、お持ちいただいた単著にサインを書かせてもらうことにしたのです。私はこれまでサイン会というものを開いたことがなく、読者の方とお会いできるのは初めてなので、それはそれは楽しみにしていました。

そうして昨日が文学フリマ当日だったわけですが、私は文学フリマ自体初参加で、サイン会のシフトの時間まではブースを回ることにしました。驚いたのは、なんといっても人の多さです。「自分が〈文学〉と信じるもの」を売る人、そしてそれを買う人がこんなにたくさんいるんだと思うと、もっと小説家にやれることはあるのではと、身が引き締まる思いでした。

そうして回りたいブースを回って、ミニサイン会1ターン目(45分×2ターンのシフトでした)。席につき、誰か一人でも来てくれたらいいなとぼんやり思っていたら、いつの間にか行列が……!周りのブースの方にご迷惑をおかけしないよう、TOKIMAKEの方が列を整備してくださったほど。一人も来ないんじゃないかという悪夢を何度も思い描いていたので、嬉しいより先に驚きが来ました。

1ターン目はそういうわけで45分間ずっとサインをしていた状況で、全然ゆっくりお話しできず申し訳なかったです。ですが、SNSで交流のある読者の方がハンドルネームを教えてくださったり、真下みことアカウント初のフォロワーの方にお会いできたりと、夢みたいな時間でした。サイン会に来てくださったある方が「真下みことさんが実在してる!」とおっしゃっていたのですが、こちらとしても「読者の方が実在してる!」といちいち感激していました。

商業出版だとどうしても初版部数が何部だとか重版したとかしないとか、数字にとらわれがちなのですが、数字の向こうにいるお一人お一人のお顔を拝見することができて幸せでした。

そしてお一人二冊までの制限をつけさせていただいたのは、真下の単著は現在全部で五冊あり、制限なしだと時間的に厳しいだろうということでの判断だったのですが、五冊のうちのどの二冊を選ばれるかで、その方の好みがわかって興味深かったです。

2ターン目は割と落ち着いてサインさせていただけたかなと思うのですが、私は話し上手な方ではないので、黙々とサインをしてしまった気がします。反省点ですね。

(また、サインをする際、普段は落款を捺しているのですが今回完全に失念しており、みなさん落款なしになってしまいました。申し訳ありませんでした!)

今回差し入れはお手紙のみとさせていただいており、とはいえお手紙を書くのはとても大変なことなので、書いてくださる方はいないだろうと勝手に思っていたのですが、サインが終わると「これ……」とお渡しくださる方が何人もいらっしゃって、すごく嬉しかったです。帰ってから読ませていただいたのですが、作品とご自身の人生について書いてくださったり、作品をイメージした絵を書いてくださったりと、どれも読んでいてすごく楽しく、励まされました。今後辛い時に絶対に読み返しますし、その度に私は生かされるのだろうと思います。貴重なお時間を割いて書いてくださり、本当にありがとうございました。

作家の仕事は日々、ボツになるかもわからない原稿を少しずつ書き進めるしかない、孤独で地道なものです。今回の文学フリマへ参加した思い出は、その地道な旅を照らす光になるようなものでした。

また、同人誌の本を作る過程を見ることができたこと、本を売る大変さを実感することができたことで、普段お仕事で関わってくださる方へ、改めて感謝しなくてはならないと思いました。私の書いた原稿に関わる全ての方に、感謝申し上げます。いつも本当にありがとうございます。

というわけで、長くなってしまいましたが、初めて同人誌に小説を寄稿して、初めて文学フリマに参加して、本当によかったです。今回のことをきっかけに新しいご縁ができましたし、これまで関わってくださった皆さんとのご縁に改めて感謝することができました。私はとても幸せ者だと思います。このことを忘れずに、これからも小説を書き続けたいです。

では、みなさん体調にはお気をつけて。本当にありがとうございました。

真下みこと


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