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追い込まれたのでせめて泣き喚く

人生の苦難に直面した男が求めるものは、酒と女にきまっている。

この二つは、それほど男にとって貴重なものなのだ。

池波正太郎/時代小説家

※ネガティブな話です

久しぶりに泣いた

 先日、うっかりWAMネットという福祉施設のデータベースで、前職の後任者を見てしまいました。

 やらなきゃよかったのにと思うかもしれませんが、どのみちいつか見たと思います。

 で、そこには自分が手を焼き、障害年金を申請するまで病み、僕を退職に追い込んだ元同僚の名が。

そうなると思ってた…のに…

 自然と目に涙が浮かびました。

 悔しい。

 彼女は事務仕事が壊滅的にできない。

 ただ、上司に媚を売って生き残ることだけをやっていた。

 そんな彼女に、上司は「サービス管理責任者」という、資格を取るように手配しました。

 その資格がないと、国からの報酬が大幅に減る。かならず1つの施設に1人必要な資格なんです。

 不器用な人に花を持たせるのはいいと思うけど、苦手な仕事を任せると、きっと本人も周りも不幸になる。

 ましてや、中間管理職。

 使い潰した僕の後、新しく誰かを雇うことも間に合わず、同じ資格を取らせた彼女を任命したんだろうなぁ。

 上司も、自分のマネジメントミスに気づいていると思ったけど、もう引っ込みがつかないのかな…。

 2年かけて作り上げたものが、壊れていくのは火を見るより明らかだ…

「諸行無常ですね…」

 主治医には、ことの経緯を伝えて、僕はそう呟きました。

 滅多に感情を表に出さない主治医は、見たこともないしかめっつらをしてのけぞっていました。

 主治医も中間管理職を経験し、増えていく雑務に見切りをつけ、クリニックの医師となったとのことです。

 いろいろ思うことがあったのかもしれません。

会社なんてそんなもの

 しばらくは、乾いた気持ちで日々を過ごしてました

 もう何も感じないし、新しい友人たちと、楽しいことをして過ごしていたんです。

俺、優等生ぶってんなぁ…

「ここまで理不尽な目に遭って、どうして彼女を憎まない理由を作ろうとするんだろう」

 いつものように、親しい友人にくだらないラインを打っているうちに、急に彼女への怒りが込み上げてきました。

ものごとに「善悪はない」という考えなら、復讐してもいいのでは?

 ふと、そんな考えに辿り着いたんです。

 いつも、ぼくはnoteで自分なりの世界観を説明してきました。

「できる限りわかりやすく、筋の通ったものにしよう。」

 あまり自覚はしてませんでしたが、そのようなルールで書いていた。

「筋が通った」その縛りは、自分の中にある「善人でいたい」というエゴがありありと見て取れるものだなぁと思いました。

「人に善悪はない」という主張をするけど、やっぱり矛盾してますなぁ。

 それが人間だし、実際にある強い憎しみ、あるのにないって否定できないよ…

「僕の人生を取り返しのつかないくらいメチャクチャにした奴が、僕の後釜に昇進している。あいつの人生もボロボロにしたい」

 そんな本音、ありますよ、もちろん。

 でも、できない。

 法律に明るく、いろんな世界を見てきたぼくなら、きっと、真剣にやろうと思えばできる。

 けど、長い間後悔すると思う。

 それを、いい人という人もいるけど、だとしたら、

「いい人は、若死にする」

 きっとそれは本当だと思う。

 追い詰められた僕が、できることは気の済むままに泣き喚くこと。

 でも、ちょっと前までそんなことさえできなかった。

「もう無理です。助けて下さい。大丈夫じゃないです。」

 何度も何度も、職場で、みんなにそう言ったけど、誰も助けてはくれなかった。

 追い詰められて思うのは、

自分を救えるのは自分だけ。

 それは、もしかして嘘かもしれない。

 きっといるだろう、神様に聞いてみよっと

「神さまがいるのなら、どうして僕を助けてくれないんですか?」

沈黙

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