見出し画像

『ゴジラ -死星の刻限-』のED曲(編曲)

MMD(MikuMikuDance)でゴジラなどのファンアニメーションを作っておられる華音さんの新作、『ゴジラ -死星の刻限-』が公開になりました!

ニコ動ではこちら(https://www.nicovideo.jp/watch/sm43709949)。

ByNEETさんのオリジナルゴジラのモデルを使った9分弱のアニメ作品です。
MMD特撮表現の限界に挑まれている華音さんですが、今作はそれはもう容赦ない破壊で…序盤の細かな表現(出現シーンが特に好き)や過去作オマージュに収まらない演出が詰め込まれていて、見ごたえあります。
まぁ観ればわかります。観ましょう(笑)。

さて…フィナーレの音楽をご依頼いただきまして、伊福部昭さんのゴジラのテーマアレンジを担当しておりますm(_ _)m 華音さんが楽曲単体でもアップしてくださいましたので、こちらでどーぞ。

全体的に『巨神兵東京に現わる』のオマージュ作品なので、「ゴジラみ」が欲しい、とのご要望で。
編成は『巨神兵』ED曲と同じくピアノ一本、「恐怖、不安を感じるゴジラのテーマ」をと。今回は当該部分の映像を事前に頂いて、それに合わせて作る形での編曲でした。

ピアノソロでゴジラのテーマ(ドシラ―ドシラ―…)をフツーに弾くようにやってしまうと、あまり雰囲気が出ないんですよね。元々人間側の曲なので(「ゴジラ-1.0」では久々に本来の使われた方をしてましたね)、怪獣のテーマとして成立させるにはそれなりの工夫が必要で。
あと、映像の展開的に静かな前半と盛り上がる後半をどう作るか、も悩ましく。

とりあえず、岩崎太整さんの『巨神兵』ED曲に伊福部テーマを混ぜる、という王道(?)からスタートして、前半の和音に「ドシラーレドシー」を入れ込んだり、後半のアルペジオを「ドシラドシラドシラソラシ…」にして、最後は『ゴジラの恐怖』で締めて、というデモを作りました。

その最初のデモから「もっとゴジラ感を!」とのご要望などを受けて、大幅修正&ニュアンスのブラッシュアップをして、最終形になりました。
拍子やテンポもほぼ全部変えたので(3拍子→4拍子&変拍子)、岩崎さんの『巨神兵』の要素から残ったのは前半の一部和音進行と、(拍子を変えて原型はほぼない)フレーズと低音の音階くらい。でも、和音(「ラシド、ラシド、ド、ド、ド…」に合わせているsus2)も低音(ドシラードシラーの下の「ミ」から下降クリシェ)も曲の印象にかなり効いているんで、マニアが聴けば「混ぜた」と分かるんではないでしょうか?

冒頭部分の『ゴジラの恐怖』のホラー風なピアノアレンジは、最後にリクエストで追加したオリジナルな展開ですが、特に気に入っています。
沢田完さんが『ゴジラSP』の「ゴジラ出現のテーマ-序章-」でされたアレンジが念頭にあります。あのような音列や対位法で遊ぶことはしていませんが、また違う角度から『ゴジラの恐怖』のもつ深みを引き出せたかな、と。

ピアノ一本、ではあるのですが、少し遊び心として、物理シミュレーションのシンセサイザーMODARTT社のPianoteqを使って、11 mの弦長をもつ巨大ピアノをシミュレートした音で仕上げました。低音を強打したときの金属的なうねりが強調されてイイんです。

本編全体の流れで観たのは公開後ですが、なかなかいい感じの絶望感でしたね!いやー、よい作品に携われて幸せです!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?