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初めて小説同人誌を作ったので、手順とお役立ちサイトをまとめた

はじめに

タイトル通り、同人初心者が初めて小説同人誌を作ったので、その手順と参考にさせていただいたサイトをまとめました。


<読み飛ばしても問題ない前書き>

崖から滑り落ちるように、とある作品にドドドはまりし、妄想が滾る日々。

そうだ二次創作で小説同人誌を作ろう!

思い立ったはいいものの、私の場合、周囲に同人をやっている友達がいるわけでもなく、ネットでも壁打ちという状況で、作るにあたってのイロハを聞ける人は誰もいませんでした。
そんな中でどうしたかと言うと、ぐぐってぐぐってぐぐりまくりました。

この note は自分のための忘備録と、あとは同人誌を作ってみたい気持ちはあれど何をどうすればいいか分からない方に向けて、これを読んで「自分もできそう!」と思っていただけたら、そしてその一歩を踏み出すきっかけのひとつになれたら嬉しいな、と思って書いています。

どうぞよろしくお願いいたします。

ステップ1.コンテンツを作る

小説同人誌の肝は小説です。まずは本文がないと話になりません。
というわけで、ひたすら自分のこれだ!という妄想を書きつづっていくわけですが、ひとりで延々書いていると「これ、本にすると何ページくらいになるんだろうなあ……」という考えがふとよぎったりします。
そんなときに使えるのがこちらのサイト。

なんと文字数を入力するだけで自動でページ数を計算してくれるんです!
例えば文字数「35,000字」と入力して「文庫本(40字16行)」を選択すると「78ページ」という算出結果が出てきます。つまり35,000文字の小説は文庫本にすると78ページになるということですね。

漫然と書いていたものが、数字になると突然リアリティを持つ感じ。すごくイイ!😊

選択肢には本のサイズ(文庫本(A6)/B6/A5)や段組み、文字数なんかもあるので、文字詰めたいとか行間ゆったり取りたいとかのニーズにも対応しています。

さらに背幅も計算できるので、「表紙はデザイナーに頼みたいけど、背幅はまだ分からない…」みたいなケースでも利用可能かと思います。もちろん、正確な背幅は原稿が書き上がってから印刷所のサイトで計算するべきですが、「仮で」ということなら十分じゃないかな。たぶん。

私は書き進めたり、行き詰まったりするとこちらのサイトに文字数入力して「おおーちゃんと本っぽいページ数になってきたじゃーん」とにやにやするために使っていました。進捗が目に見えるとモチベーションに繋がるのでおすすめです。

ステップ2.情報収集する

執筆の息抜きがてら、同人誌を作るための情報収集をします。

note には「初めて小説同人誌作ってみた」とか「初めてサークル参加してみた」とか「これまで作った同人誌表紙を振り返る」みたいな読み物が多いので、一時期「小説 同人誌」とかのワードで検索しては色々な記事を読んでいました。
そのなかで特におすすめなのがこちら!

本を作る前から失敗談!?って感じですが、こちらのアンケートに回答しているのはこれまで同人誌を数冊、数十冊作ってきたような猛者(もさ)達です。
そういう方達がよく使っているフォント、文字サイズ、本文用紙なんかが載っているので滅茶苦茶参考になります。
というか私はこれを読んで「えっ、フォントとか本文用紙も自分で選ぶの!?マジで…?」と知ったレベルだし、実際に選ぶときもこちらを大いに参考にさせていただきました。
あと誤字脱字を防ぐための色んな方法が載っているので、そちらは初心者に限らず小説を書いている方すべての参考になると思います。

ステップ3.見本を取り寄せる

ステップ2でも触れましたが、同人誌を作る際、本文や表紙に使う紙を選ぶ必要があります。
しかし恐らくほとんどの人は「淡クリームキンマリ」だの「美弾紙ノヴェルズ」だの「エスプリVエンボス」だの言われてもピンときません。
親切なことに、印刷所から有料・無料で見本が出ているのでこれを使わない手はありません。

下記のサイトはなんと!同人印刷所26社に見本請求されたまとめです。
見本がどんなものか、紙と一口に言っても色んな種類があるのだということがこちらを見ていただくと良く分かります。

大きいイベントだと印刷所が出展されている場合があるので、ブースに寄ってみるのがおすすめです。実際に見本を色々見比べたり、無料のものだといただけたりもします。送料もかからないし。

見本の中でも特におすすめなのが、印刷所の栄光さんが出している「小説向け書体見本帖」です。小説本文でよく使われるフォントがなんと!19個も収納されています。また、書体別にノドや行間も記載されているので、自分で組版を作るときは非常に参考になります。

私、初版は「源暎こぶり明朝」にしたのですが、イベントでこちらを購入し、色々フォントを見比べて再販時は「筑紫明朝」に変えました。
フォントの沼は深いぜ…

ステップ4.組版はどうする

一通り本文が書き終わり、何度目かの推敲を重ね、ようやく本文が完成しました。
「イヤッホーーーー!!終わったああああああ!!!!」
という開放的な気分でいっぱいですが、同人誌作りという観点から言うとここからです。というわけで本文を流し込むための組版を作ります。

組版とは、ページのレイアウトおよびその配置作業のことです。

といっても初心者なんで私は組版に対して何のこだわりもありませんでした。っていうかよく知りもしないものにこだわりなんて湧きようもなくない?って感じだったので、テンプレートをそのまま使いました。
世の中には便利なものが沢山ある、ありがたや。

下記2つは無料のテンプレートです。

特に栄光さんのテンプレートはワードもインデザインもあるし、ページ番号の位置(上か下か真ん中か)まで選べるし、B6の二段組みがあるしで、控えめに言って「神!!」だと思いました。

私は栄光さんのテンプレートからフォントを変えたくらいで、あとはそのまま本文を流し込んで使いました。出来上がりを見ても、特に読みにくさは感じなかったので、作業時間短縮の意味でもテンプレートを使って良かったと思っています。

ステップ5.インデザインを使う

小説同人誌というと、マイクロソフトのワードを使う方が多いんじゃないかと思います。
ただ、私はこれまであまりワードを使ったことがなく、その数少ない経験でもワードは使いづらいなあ…と漠然と苦手意識を持っていました。

色々調べていくなかで、インデザインというアドビが出しているDTPソフトがあることを知りました。
どうせワードもほとんど初心者に毛が生えたようなものだし、同じ初心者ならインデザインでも大差ないべ!と安直に考えてインデザインを使うことにしました。

今考えても、大分、無謀だった。

とりあえず動画で初心者向けインデザイン講座なるものを1週間ほど見まくって大まかな使い方を学び、以降は実地でやりながら覚える、分からなければ都度ぐぐる、という方法で何とか原稿を完成させました。
滅茶苦茶大変だったよ!
その際、参考にさせていただいたサイトです。

InDesignで小説本の組版を作る方法とは?実例付きでやさしく解説」
こちらのサイトでまず大まかな流れを学びます。

「InDesignで小説同人誌を作ろう」
InDesignを持て余している人のための同人小説組版」
下記2つのサイトは細かい設定(欧文縦書きとか段落スタイルとか)も載っているので、前述の流れを踏まえたうえで読むのがおすすめです。

もちろん表紙や背表紙もインデザインで作りました。
初心者なので文字表紙です。とりあえずお洒落なフォント使えばそれっぽく見えるだろ!(暴言)

お金がある人、こだわりがある人はデザイナーさんにデザインしてもらったり、絵描きさんに描いてもらったりするのがいいと思います。
表紙や背表紙ってどうやって作るんだろう?と疑問でしたが、それはこちらのサイトに詳しく載っています。

インデザインの良いところ

初心者の私が思う、インデザインの良いところを5つ挙げていきます。

  1. 月額利用可能(3,828円/月)

  2. 見たまま印刷される

  3. 色々便利機能がある(文頭字下げ、縦中横、先頭に句読点来ないとか)

  4. サークルカット、ポスター、お品書きが作れる

  5. フォントが色々使える(モリサワフォントとか!リュウミンとか!)

この月額は、年間契約でもなく解約費もかからないやつ。少なくとも半年使わないと解約費かかるコースとかあるんで気を付けて。学生さんとか法人は割引あるみたいなんで、適用される人はもっと安くなるはず。同人誌作るのに必要だっただけなので、作り終わったら解約するサブスク利用です。

実際使って便利さを実感したので、多分、次に同人誌作るときもやっぱりインデザイン使うと思います。

Canvaとの比較

最近、オンラインイベントでCanvaを使ったのでインデザインとの比較を書いておきます。
Canvaの強みは何といっても豊富なテンプレート!
私のようなセンスゼロの人間でもテンプレート使うだけでお洒落に仕上がる。すごい。
一方のインデザインは1から全部自分で作って行かないといけないわけで、やっぱり作るハードルはインデザインのほうが高いです。
ただ、Canvaはdpiの変更ができない(はず)なので、印刷物には向いていません。というわけで、オンラインならCanva、オフラインならインデザインという使い分けがいいと思います。
でもCanvaがdpi変更可能になったら表紙はCanvaで作るかなー。

あとは表紙を作る上で、大事な要素となるのが色。
こちらのサイトは選んだ色の近似値の色(例えば彩度が近い、輝度が近いとか)や配色見本、コントラストとなる色も載っているので、すごく便利でした。


ステップ6.印刷所を決める

同人誌印刷所は本当に色んなところがあるので決める軸は人ぞれぞれだと思います。
例えば「初心者向けで対応が優しい」「費用が安い」「少部数オンデマ対応」「締め切りが遅い」「分厚いレンガ本が作れる」「装丁に凝りたい」「憧れの作家さんが利用している」などです。

私の場合、本のサイズをB6にしたいと思っていたので、それでわりと絞り込めました。

ぐぐって出てきた印刷所の客観的な特徴・評判が知りたいと思ったときに参考にさせていただいたのが下記のnoteです。
小説同人誌の印刷所は大体網羅してあるように思います。

ある程度絞り込めたら、印刷所のサイトで見積を実施し、実際の費用がどれくらいか、どんな割引があるのか、締め切りはいつか、などの観点から比較を行い、印刷所を決めます。

個人的に大事だと思っているのはサイトの見やすさです。

見積が分かりやすいか(見積がサイトのどこにあるのか分からない印刷所が意外と多い。もし印刷所様がこれを見ていたら見積ボタンは分かりやすい場所に作ってくれ!)も基準にしました。
サイトが見づらい印刷所はおそらく初心者には優しくはないだろうなと思い、安くても見送りました。

ステップ7.入稿する

本ができて印刷所が決まれば、あとは入稿するだけです。
ただ、入稿するまでに、部数や装丁、用紙を決めなければいけません。

部数!
いや、初心者に部数とか分かんないよ。
部数アンケートをやってみようかと思いましたが、ネット掲示板だと部数アンケートはあんまり当てにならないとも書かれていて「じゃあ何を信じれば…!?」という状態でした。
初心者は10部売るのも大変らしいし、フォロワーもブクマも少ないし、でもまあオンリーイベントだし絨毯買い(ようは特定ジャンル、特定カプの本を全部買い)する人もいるだろー、という楽観的理由で15部ほど刷りました。
締め切りまで時間的・作業的な余裕がある人は、通販で1週間ほど予約を取ってから発注したら良いと思います。多分それが一番実数に近い。私の周囲のオフに慣れてる人は大体そうしている印象です。

装丁!
15部ほどだとスケールメリットは皆無なので印刷費かつかつです。
PP加工とかエンボス加工とかオプションやってみたいなーと夢見ていましたが、これやると本を出せば出すほど赤字になるやつ…と気付いて止めました。装丁はもっと部数が出せるようになってからやりたいと思います…。
もちろん、せっかく本を出すんだから気合入れてお気に入りの一冊を作るんじゃ!赤字上等!というのも考え方のひとつだと思います。
ようはどこまで赤字を吞めるかです。少部数なら特に。

入稿!
入稿方法、PDF化するときのプリセットなんかも印刷所によって違うので、印刷所の「入稿方法」のページを熟読してください。まじで。
ここで不備があると再入稿になってしまいます。早割狙いだったのに結局通常料金じゃん……みたいな事になりかねないので。
また、印刷できないほどの致命的なミスがあった場合は別ですが、そうじゃない場合のミスだと連絡が来る印刷所と来ない印刷所があります。連絡がこない印刷所は入稿データをそのまま刷るよというスタンスの印刷所です。
なので初心者は少々費用がかかっても連絡をくれるような親切な印刷所を選んだほうがいいんじゃないかと思います。(私は初心者に優しい印刷所にしたので「アルファベットが横向きになってるよ」と連絡いただきました。あっぶねー!😨)

入稿後!
入稿したら、もうあとは待つしかないです。印刷所によっては「印刷待ち」や「製本完了」といったステータス確認できたりもします。
そして数日後、あるいは数週間後、不備がなければ本ができます!
私はイベントへの直接搬入にしたので、イベント会場で初めて本を手にしました。

「ほ、本当に本になってる…!」

自分の妄想がこうやって形になったこと、ここに至るまでの大変だったあれこれが去来し、感動もひとしおです。

終わりに

イベントが始まり、なんと自分のスペースにわざわざ足を運んでいただいた方がいて、さらにはお買い上げいただいた方がいて、幸いなことに持ち込んだ本はすべて完売しました。本をお渡しするとき、「いつも見てます」とか「楽しみにしてました」といったお声がけまでいただいて滅茶苦茶嬉しかったです。

同人誌を作る前は「まあなんとなるだろー」などと楽観的に考えていました。しかしいざ作るとなると大変で「これは狂気。狂気がないと踊れない。まさに狂気の沙汰…!!」とか思いましたが、実際、自分の妄想という名の作品が本という形になること、またそれを名前も知らない誰かと分かち合えるというのは、その苦労を補ってあまりあるものだと思いました。いや、これハマる人がいるの分かる。沼だよ。

というわけで、ここまで読んでいただきありがとうございました。
少しでも参考になればこんなにも嬉しいことはありません。

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