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VRおじさんの初恋 〜初恋の衝動と打ち明ける力

ボーイ・ミーツ・ボーイ
オジサン・ミーツ・オジサン
おじさんはおじさんと出会った。
そして恋が始まる…。ベタな恋の物語。

ーーーいや、ヘンテコな友情物語…?

VRと現実が交わってからの”VRおじさんの初恋”が、ますます面白い。
早々にVR世界での美少女ホナミの正体は、初老の男性帆波(坂東彌十郎)だと種明かしされる。一気に夢の世界から現実世界に引き戻されて、どんなモチベーションでこのドラマを見るべきか…なんて心配は杞憂だった。
だって、現実世界の直樹と帆波の関係の方が、格段にファンタジーだから。

根暗で自信がなくて、自ら他者を遠ざけるようなおじさんだった直樹。
ホナミと帆波に出会い、直樹は変わっていく。
現実こそVRのゴーグルの視野しかないんじゃないか…と疑うほど狭かった直樹の視界が少しずつ広がっていく。

”初恋の相手を、一人で死なせるわけにはいかないから”
と、男前なセリフを初老男性にキメる直樹が最高にかっこいい。

おれ、ホナミのこと好きだ…。気持ち悪かった?
全然!ちょっとときめきました。

想像してくれ。
野間口徹と坂東彌十郎が言っているのだ。
……かわいらしく、そして切ない…。

自分、24話分見るうちに、野間口徹と坂東彌十郎を倉沢杏奈と井桁弘恵に変換してみられる能力を授けられていた。いつの間にか。
それを見越した演出と、4人の演技が素晴らしい。

* * *

余命3ヶ月というシビアな状況に置かれた帆波は、直樹との間で開かれた心の扉を、また閉じようとしていた。
そんな帆波に、直樹は言う。
「話さなきゃダメだ」と。

そういう直樹こそ、これまでは自分の心のうちを誰にも打ち明けられなかった。ホナミとの出会いをきっかけに、少しずつ自分を周囲に打ち明けていく…と言うか、初恋の勢いに押されて想いがこぼれ出す。
直樹が打ち明け出すと、不思議と同僚の加藤さんや上司の澤田さん…、心を閉じ気味だった人たちも、次々直樹に自己開示する。
自分がほんのちょっと変わると、変化は少しづつ周囲に波及していく。小石を投げられた水面の水紋のように。

最近、本業の方で”打ち明ける力”について話をして欲しいというオーダーがあった。
”え?聴く力じゃなくて、打ち明ける力なの?”と、一瞬面食らったけれど、確かに、打ち明ける力って大事。

何も言わなくてもわかって欲しい、と言うのは到底無理な話だから。

でも、打ち明けるって、実際は難しい。
特に歳を重ねると、素直に自分を晒すことは、さらに難しくなる。
初恋の衝動ぐらいの、莫大なエネルギーを使わないと、己の内面を打ち明けるなんぞ不可能なのだ。

VRオジサンの初恋には、打ち明けられない大人がたくさん出てくる。
でもよく辺りを見回すと、職場の佐々木さんやコンビニの彼、秘書の堀くんのように、さりげなく寄り添って、打ち明けてくれるのを待っている人もいることに気づく。
だから、もし、リアルでもゴーグルをつけているとしたら、一度外して視野を広くしてみたらいいんじゃないかな、などとしみじみ考えた。

* * *

さて、VR世界でのホナミを真似た帆波に萌え散らかした勢いで、坂東彌十郎氏のブログの最新記事を開いてみた。
「ちょっとしたアクシデントがあり 少しの間 SNSをお休みします」だけのメッセージを残し、5月5日以来途絶えていた。

まさに、ナオキの気分だった……。
どうした、ホナミ…いや彌十郎!
気になるじゃないか!!

※5月10日書き込みありました(安堵w)


”VRおじさんの初恋”前半の感想はこちら

こちら原作コミックス Kindle版 

VRおじさんの初恋 エピローグ

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