ヨルシカの雨とカプチーノの歌詞について

ヨルシカさんの楽曲『雨とカプチーノ』の歌詞や物語について考察したことです。
エルマ(アルバム)初回限定盤などのネタバレがあるのでご注意下さい。
歌詞には「」を付けています。

カプチーノの見た目は雲に似てるので、カプチーノは雲の事でもある気がします。

「灰色に白んだ言葉はカプチーノみたいな色してる」
「灰色に白んだ心はカプチーノみたいな色してる」
は、白い雲が灰色になり雨が降るように、
心の中にしまってある言葉が、今にも涙になって溢れてしまいそうだ
という意味かなと。
カプチーノを雨雲と取れば、
「呷ろうカプチーノ」は泣き出しそうな気持ち(雨雲)を飲み込む、言葉を飲み込む、と思えます。

「灰色に白んだ」は、曇った、色褪せたとも読め、
「君が褪せないような思い出を」「君が褪せないように書く詩を」
の「褪せない」に繋がります。

白むには、夜が明けて辺りが明るくなるという意味があります。
カプチーノは、雨上がりの白い光なのかなと。
白むには衰えるという意味もあるので、
この曲の「灰色に白んだ」や「カプチーノ」は、晴れの事にも、曇りの事にも取れるようにしてる気がします。


「灰色に白んだ言葉」は、
エイミーが詩や曲を書いては丸めて捨てた、白いルーズリーフでもあると思います。
エイミーの愛した余白が、灰色に白んだという。
丸めて捨てられたルーズリーフをエルマが拾う描写が、MVや日記帳にあります。
エルマがエイミーの「灰色に白んだ言葉」を拾い上げたと思うと、エルマはエイミーの理解者だったのかなと。

日記帳の雨とカプチーノの前ページでは白夜について書かれているので、
「灰色に白んだ」は白夜の事でもあるようです。


「君が褪せないような思い出を どうか どうか どうか 君が溢れないように」
は、泣くのを堪えている場面と取れます。
泣いた後は、心が洗い流されたように晴れやかな気持ちになりますが、
洗い流す事は、記憶(思い出)が色褪せる事に繋がります。
「君が溢れないように」は、
君との思い出に涙を流すと思い出も流れて色褪せ忘れてしまうんじゃないかと、涙が溢れないよう堪えている場面のように思いました。

「どうか」は、同化に掛けてる気がします。
君と同化する事で「君が溢れないように」すると。
歌詞に水関係の描写が多いです。
溶け合う、混ざり合うというイメージがあるのかなと。
エイミーを模倣する事は、エイミーと同化する事に似ていますし。


「夏泳いだ花の白さ、宵の雨 流る夜に溺れ」
は、夏空を泳ぐ白雲が雨雲になり、宵に雨を降らせたとも、
夏の白い光の眩しさと雨夜の暗闇を対比している、とも読めます。

白花を、雨雲になる前の白雲とすると、
「誰も褪せないような花一つ」は君との真っ白な思い出で、
「嵐す花に溺れ」は、綺麗な白い思い出に溺れているのかなと。
「花一つを胸に抱いて」は、雨になる前の白雲、
涙になる前の真っ白な思い出を抱えてるように思いました。


MVの「花一つを胸に抱いて」の箇所で、
エルマが涙を落とした後に、白花が散る描写があります。
白い花=雲 とすると、涙を落として(雨が降って)雲が消え去ったと取れますし、
白い花=雨上がりの白い光 とすると、泣いた後(雨後)に空や心が晴れて白い光が降ったと取れます。

MVでルーズリーフが白花と同じように舞う事から、
白い花=白いルーズリーフ と取れて、
「花一つを胸に抱いて」は、エイミーの遺した詩や楽曲を大事に抱えたのかなと。
エイミーの詩をもとにエルマは曲を作ったので、物語に合うなと。


エイミーが天国(雲の上)にいる、として考察します。
天国とした根拠は、MVの「本当にわかんないんだよ」の後にエルマが雨空を見上げるからです。
「生き方一つ教えてほしい」とエイミーに言っても、エイミーはもう居ないので何も教えられません。
もらえない「言葉一つ」の代わりに「花一つ」、つまり思い出一つをエルマは「胸に抱いて」いくのかなと。
エイミーの居る空から降る雨によって、エイミーとの思い出が色褪せていく
と思うと切ないです。

「君が褪せないように書く詩」は
エルマ自身がエイミーを忘れないように書く、という意味だけでなく
死んでしまったエイミーのことが、世の中に少しでも知られるように詩を書く、という意味もある気がします。


『詩書きとコーヒー』では「コーヒー」と「この日々」で韻を踏んでいます。
雨とカプチーノの「君が溢れないように」は、
コーヒーが溢れないように=この日々が溢れないように という事かなと。
君との日々(思い出)をコーヒーに見立て、
溢れないように(忘れないように)願っていると。

コーヒーをアレンジするとカプチーノになるので、
コーヒーはカプチーノの前世と取れます。
『詩書きとコーヒー』の思い出が、時間が経って変化し(生まれ変わって)
エルマの中で『雨とカプチーノ』になったのかなと。
「君が溢れないように」は、
思い出が生まれ変わって、別物になる事を恐れてるのかなと思いました。



『白黒つけないカフェオーレ』というCMがありました。
「灰色に白んだ言葉」は白黒つかない言葉なのかなと。
はい色にしらんだ言葉
Yes色に知らんだ言葉
よく知らないままする曖昧な肯定のように白黒はっきりしないという。
白黒をはっきりさせると、もう片方の色を忘れてしまう気がします。
記憶の中の白と黒両方忘れない(溢れない)ようにしてるのかなと思いました。
言い訳はいいよ
言い訳灰色はいいろ という。


『心に穴が空いた』と繋がりを感じます。
心に穴が空いて、君が溢れたのかなと。
「ただ口を開け 黙ったままなんて一生報われないよ」
という歌詞から、
心に穴が空いたは、我慢すること、堪えることをやめた後の曲のように思いました。

以上です。