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移動力=環境を切り替える力

最近、鴨頭嘉人さんのメルマガで、面白い記事を読みました。

移動距離と経済は相関がある?

「移動距離が多い国は経済的に豊かで、移動距離が少ない国は貧しい」という研究結果を紹介しています。彼のコミュニティでは、移動距離が多い人を「イケてる」と見なし、その逆も同様だそう。林玲子氏による「人口移動の国際比較」研究では、様々な移動期間や移動指標を使用して92カ国を比較し、経済水準が高い国では移動距離も多いことが示されました。

それによると、

1.オーストラリア

2.スイス

3.韓国

4.北欧諸国

なのだそう。なんだか納得です!(北欧諸国はお家時間を大事にするイメージがあったので、若干意外でしたが)

一方、旧共産主義国や社会主義国では移動距離が非常に少ない傾向にあるそうです。鴨頭さんは、移動距離が多い地域や個人が新しい情報や体験に触れる機会が多く、より面白く、魅力的な人々が集まると指摘しています。

ところで、我が日本はというと、

高くなく、低すぎない。でも、ちょっと低めのところにいる

のだそうです。1位のオーストラリアと比較すると、5年間の移動率が約2倍も違うのだそうです。思い当たる節があるような。。

もちろん、経済力があるから移動できるのか、移動するから経済が発展するのか?鶏が先か卵が先か、いろいろな解釈があると思いますが、「移動」という観点からの経済比較は面白いなと思いました。

『移動する人はうまくいく』

そして、昨日ふと立ち寄った本屋さんで目に飛び込んできたのが、この本です。

おそらく、私の脳に無意識に刻み込まれていた「移動」というキーワードに対してセンサーが反応したのでしょう。直感で、迷わず購入。そして家に帰って一気読みしました。

そもそも、その日も移動したからこの本に出合えたわけです。

著者の長倉顕太さんは面白い、そしてとても憧れるような経歴の持ち主です。

編集者として独立後は8年間にわたりホノルル、サンフランシスコに拠点を移して活動し、現在はコンテンツのプロデュースやこれらを活用したマーケティング、2拠点生活の経験を活かしたビジネスのオンライン化/テレワーク化のコンサルティング、海外での子育ての経験(とくにギフテッド教育に詳しい)から教育事業などに携わっている。

著者プロフィールより

著者によると、私たちは、「環境⇒感情⇒行動」の順に動いているのだそうです。移動力とは、「環境を切り替える力」のことだと主張します。

著者がこの本で言いたいことを本当にざっくりとまとめると、
私たちは、意志の力では行動は変えられない。
なぜなら、人は、「環境⇒感情⇒行動」の順で行動するから。
だから、移動すれば人生は変わる

ということ。

やや極論にも思えますが、「移動」にフォーカスした本は初めてだったので、面白く読みました。

「海外移住」とか「地方に移住」とか「旅行をどんどんしよう」とかではなくて、それらももちろん含めてなのですが、ひとくくりに「移動」というのが面白いなと。

この本のタイトルをパッと見たときに、「移動することによって、いろいろな人との出会いがあり、様々なことを体験することによって経験値が増える、その結果うまくいく」みたいな話なのかなと思っていました。もちろんそのような話もあるのですが、もっとシンプルに「移動すること」自体のメリットも挙げています。そもそも著者は様々な問題を引き起こす原因が「定住」なのではないかと主張していますが、詳しくは本の中で。

著者は仕事で毎月一対一だけでも100人くらい、一対多数であれば数百人と話す中で、そもそも「好き嫌い」すら感じることができない人が増えていると感じているそう。海外は、自分の意見を言うのが当たり前の教育。でも日本では、だいぶ変わってきてはいるものの簡単に言うと自分の意見を言わせない教育。家庭でもそうなのかもしれないけれど、日本社会は同調圧力が強く、自分の意見を持つことすら許されない教育だと。このような環境では、自分の感覚を麻痺させるしかなく、センサーが壊れてしまう。自分の感覚を取り戻すために有効なのが、行ったことのないところに行くこと。全く違う環境に行くこと。

過去の常識が通用しない場所に行くことで、人間が本来持っている感覚が蘇ってくる。その結果、自分の好き嫌いがわかるようになり、自分が本来、やりたいことが見えてくる。

『移動する人はうまくいく』

実際に著者も38歳のときから移動人生が始まり、東日本大震災を機にハワイに移住(東京との二重生活)。そもそも著者はビジネス系書籍の編集をやっていたこともあり、成功法則の本をたくさん出していたことから、「家賃の高いところに引っ越せ」という教えを実践し、ハワイに移住する頃にはほとんどお金はなかったそう。でも移住をするからには退職して独立。独立してからは毎週のように飛び回り、毎月アメリカと日本を往復。移動距離が尋常じゃなくなり、その結果、自分の才能、能力がどんどん覚醒し、収入が驚くほど高くなっていたのだそう。

その他にも、著者の主張で面白いなと思うことがたくさんありました。

・人生を変えるというのは、キャラクターを変えることでしかない。(高校デビューのように)キャラクターを変えるには、環境を変えるのが手っ取り早い。
・キャラクターで能力は変わる。「できない子」と言われ続ければできない子になるに決まっている。日本では女性差別はまだまだある。女の子ほど海外に早く出たほうがいい。
・「移動」で脳に刺激を与え、あらゆる制限を取り除く
・私たちは過去との整合性をとろうとする。過去のキャラクターと決別しないまま人生を変えようとするために、永遠に変わらない人が量産されている。移動が過去からのコントロールから逃れるために手っ取り早い。

などなど。

最後の章では、移動体質になるためのアクションプランも紹介されています。
・年4回は海外へ、年4回は国内へ
・子どもを連れて海外の大学を見に行く

など、かなりハードルの高いものもありますが、
・通勤経路を変える
・1日10分生成AIに触れてみる
・海外在住の日本人と関わる
・1日1冊読書する
など、行動に起こしやすそうなものも。

面白かったのが、最後に著者が伝えたいことが、
・毎日同じ時間に同じことをする
ということ。一見、脳に刺激を与えるとか、別の場所に行こうという主張とは矛盾するように見えます。でも著者は、多くの人は、「移動するぞ」と思っても続けることができないから、もっとも重要なことは、淡々とやり続ける力だ、と言います。そして、淡々とやり続ける力を身に着けるのに良い方法は、「毎日同じ時間に同じことをすること」だと。

最後にこの提案があるからこそ、それまでの著者の、一見極論ともとれそうな主張に、より信憑性と説得力が生まれたように思います。


生産性や効率性が重視され、ネットショッピングやリモートワークで事足りる今の世の中(なんなら旅行だってVRとかでできちゃう)で、移動しようというメッセージは逆に斬新かもしれません。
もちろん、通勤など、毎日のルーティンかつ不要なものは極力なくしたほうがいいと考えている派です。でも生成AIが普及した今だからこそ、人間は感覚、直感などをさらに磨いてクリエイティブな仕事をするという意味でも、移動することは逆に今の世の中、理にかなっているのではないかと思いました。世の中、どんどん移動しやすくなっているにも関わらず、転校になんとなくネガティブなイメージがいまだにあるように、日本ではまだ移動しづらいのもまた事実。(本書にもあるように、新築やマイホーム信仰が根強いことも一因かも)経済的な要因もあるでしょう。私は将来今の自宅をB&Bにしたいと密かに考えているのですが、移動しやすい世の中になるよう、少しでも貢献出来たらという思いもあります。

さて、移動しよう

<ここからは個人的な話です>

この本を読んだのは本当に最近ですが、実は去年くらいから、少しずつ移動体質になるべく、行動していました。もともとは、1か月くらい東南アジアをバックパッカーするほど移動好きなのですが、社会人になり、子供を産んだくらいから、だんだん冒険心がなくなり。。ここ最近は10年ほど海外には行っておらず、旅行もなんだか面倒、という状態になっていました。家が好きというのは言い訳で、どんどんうちにこもっていっていました。フリーランスなので出社の必要もなく、一時期はコワーキングスペースに通っていたものの、それも次第に行かなくなり、本当に引きこもりに。せっかく場所関係なく働けるのに、もったいない話です。
でも去年の秋くらいから、意識的に月1くらいで遠出してホテルに泊まったりするように。そうやって行動していたのは理由がありました。スイス在住の友人と知り合ったことがきっかけで、彼女に会いにいきたい、スイスに行ってみたいと思うようになり、そのために、旅慣れしておこうと思ったといいうのがありました。また、子供の受験などが落ち着いたことも大きいです。家族といえども、時には離れたほうがうまくいくということも学んだので、これからはどんどん一人旅などをして、うまくストレスを発散しつつ、自分の世界を広げようと思ったのです。そして実際に、旅をしてのんびり車窓を眺めるだけでも感覚が研ぎ澄まされる実感があるし、新たな経験をすることで、刺激を受けたり、仕事の活力につながったり。この歳で新しい経験をするって、移動するのが一番手っ取り早いし、効果的な気がします。わかりやすく行動としてあらわれるので、充実感があり、自己肯定感が上がります。そして、その方が家庭もうまくいっています。

思えば、中1で初めて知り合いのところにホームステイさせてもらったオーストラリアのブリスベンで、こんな素敵な場所があるのかと衝撃を受け、持った夢はオーストラリアに永住する、でした。でもいつしかそんな夢は忘れていき、高校や大学で優秀な人たちに圧倒され、就職活動でうちのめされ、そんな夢を持つなんておこがましい、私には絶対にそぐわないと、次第に考えるのすらやめていました。そして、夢だった留学さえも諦め、その間に、数年間アメリカ本土やハワイに留学していた妹を横目に、羨ましいとも思わないほど感覚を麻痺させていました。友人たちも次々と海外移住していきました。
その話はまた別の機会にしようと思いますが、今の自分だったら、永住はさすがに無理でも、数か月なら住むことができるだろうと思っています。
というわけで、今年の夏はフランス、スイスに行ってきます!
子どもたちもつれていくので、少し勇気は要りましたが、後押ししてくれたスイスの友人のおかげです( ;∀;)
彼女がご縁をつないでくれたおかげでつい先日は岐阜へ弾丸旅行にも行ってこれて、ここでも移動力を発揮することができました。このお話もまた別の機会に。。

最後は脱線して、長くなってしまいました。
好奇心だらけの幼少期を思い出し、これからはもっと移動していこうと思ったのでした。といいつつ、このGWは岐阜に行った以外はずっと家にいましたが笑 久々にnoteを更新できたので、よしとします。






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