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2024年の政治イベントと中東情勢


2024年の政治イベント

 2024年はパリオリンピックが開催されますが、オリンピックイヤーは過去を振り返ると、さまざまな出来事が起こっています。これは、オリンピックの年がアメリカの大統領選挙と重なっていることも影響しているかもしれません。今年はアメリカの大統領選挙だけでなく、多くの選挙政治イベントが控えています。

イベント

 ●1月13日に台湾総統選挙
 ●3月17日にロシア大統領選挙
 ●4月から5月にかけてインド総選挙
 ●6月にメキシコ大統領選挙
 ●7月26日から8月11日にパリオリンピック開催
 ●11月にアメリカ大統領選挙
 ●イギリスでも総選挙が行われる見込み

結果の予想

 これらの多くの選挙に関して、候補者の支持率に明確な差が出ていて、ある程度結果が見えているものが多くなっています。そうした世論調査から、選挙結果は大きな波乱が起こらないと見る向きが多くなっています。
 アメリカの大統領選挙に関しては、まだいろんなシナリオが考えられますので、今の時点でこうだと決めつけるのは適切ではありません。しかし、その他の選挙においては、それほど大きな波乱はないと私も見ています。

2022年以降の戦争について

 2022年にウクライナ戦争が始まり、その後、2023年にはイスラエルでも戦争が起こりました。介入してこないバイデン政権のうちに、少しでも自分たちの影響力を拡大した方が得だということを考えている国や組織がたくさんあります。こうした状況は、今も大きく変わっていないものと思われます。
 つまり、そうした国や組織は、バイデン政権のうちに、つまり今年の11月の大統領選挙までがチャンスだと考えている可能性があるということです。

2024年のリスク地域

 2022年の時はウクライナが一番リスクが高いと私は見ていましたが、今は中東だと考えています。もう少し具体的に言うと、イランに関係する地域です。なぜそう考えるのか、アメリカと敵対関係にある国はたくさんありますが、その中で比較的影響力の大きい国の中で、ロシアは既にウクライナと戦争をしていて、これ以上戦争を拡大する余裕がないのは明らかです。このウクライナ戦争はまだ継続する可能性が高いと見ていますが、戦線が拡大するようなことにはならないと見ています。

中国について

 中国については、ウクライナとイスラエルで戦争が起こっている中で、アメリカを中心とした西側が武器を消耗していること、国家財政を拡大していること、移民問題に苦しんでいることなどから、欧米が勝手に弱ってくれて、中国にとっては一定のメリットがあります。
 台湾総統選挙後の台湾の動き次第という面もあろうかと思いますが、今、中国は急いで行動に出ることが必要になっているようには見えないと私は考えています。

イランについて

 イランは、仮にアメリカで共和党政権が誕生した場合、イランへの圧力を強める可能性が高いと見られています。また、湾岸諸国とアメリカの関係も、民主党政権の時よりは改善する可能性があり、イランからすると苦しい状況が想定されます。今のうち、バイデン政権が手を出してこない間に、なるべく優位な状況に持ち込みたいと考えている可能性があるのではないでしょうか。 そして、仮に共和党政権になったとしても、イスラエルとアラブ諸国の対立が深まって、アラブ諸国がアメリカと距離を置かざるを得ない状況にしておけば、それがイランにとっては非常に都合が良いです。
 イランの政府は国内での支持基盤が弱体化していて、人権問題を始め、デモが国内で起こったり、それを無理やり鎮圧したりといったこともありました。政治体制に批判的な立場の人たちも多くなってきています。今の状況でイスラエルと全面戦争だと言っても、イラン国内の世論がついてこれないと見られています。イランの政府としては、国境を接していないイスラエルとの対立よりは、隣国のイラクやイエメンの問題の方が国民の支持を得やすいと言えます。ですので、そうした国への介入を行うことで、欧米に揺さぶりをかける方が、イランにとっては合理的と言えるでしょう。

イラクについて

 イラクに関しては、ハマスによるイスラエル襲撃以降、すでに連日のように新イラン勢力がアメリカ軍などに攻撃を行っていると報道されています。アメリカ軍の方もこれに反撃しているとされています。
 イラク戦争でサダム・フセイン政権が倒れてから、2023年で20年になりましたが、この間、宗教対立が深刻になっています。
 2022年はシア派の中で支持を集めていたムクタダ・サドル氏というシア派の宗教指導者が政界を引退するという出来事がありました。サドル氏はシア派ですが、脱イランを主張している政治家です。2022年の選挙でサドル氏率いる政党が第一党になりましたが、連立政権を組むことができず、結局、サドル氏は政界を引退することになりました。
 その後、サドル氏の支持者が国会に乱入し、多数の死傷者が出る事件も起こりました。それぞれの政党の支持母体が民兵組織を持っているので、揉め事になると銃撃戦とかになってしまいます。その後、このサドル派と新イラン派の対立はやや落ち着きを見せているようですが、サドル氏の引退以降、新イラン派の影響力がますます強まっていると見られています。

中東地域の予想

 イランの周辺の中東諸国において、アメリカに揺さぶりをかけるような、対立を煽るような事件が今年も多数起こると私は見ています。それがどの程度の規模に発展していくのかまでは分かりませんが、バイデン政権化においては、この国際情勢の不安定化というのが続いていくものと考えています。

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