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コラム・エッセイ

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日々のコラムです。 思いついたこと、思い出したことを、つらつらと。
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#旅行

はじめて「旅」を知ったのは、20ヶ国を旅したあとだった

はじめて「旅」を知ったのは、20ヶ国を旅したあとだった

「旅」というには不思議な瞬間だった。

その頃、私は車で生活をしていた。働きすぎた反動なのかとつぜん仕事をやめ、家を解約し、車を買って北へ向かった。これから暑くなるだろうという6月。だったら涼しいところへ行こうと、東京から新潟へ、そして船で北海道へ渡ったのだ。

車生活を選んだ理由は、ヒマだったから。自由な時間があるなら行きたいところに行こう、家が動けば便利じゃん。という単純な理由だった。『ハウル

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美しき芸術の都市《ロシア・サンクトペテルブルグ》

美しき芸術の都市《ロシア・サンクトペテルブルグ》

ロシア第二の都市・サンクトペテルブルグに降り立った感想は

「“帝国”ってこういうことを言うんだ……」でした。

でかい。あまりにでかい。なにもかもでかい。
同じ“帝国”とはいえロシア帝国と大日本帝国とは規模が違いすぎる。
戦争して勝てるなんて到底思えない。
そして、美しい……

なかでもロシア帝国当時の首都サンクトペテルブルグは「芸術文化の都市」と言われています。芸術・文化については首都モスクワ

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歯みがき粉すら買えない国を、音楽が救うか。《南米ベネズエラのアーティストたち》

歯みがき粉すら買えない国を、音楽が救うか。《南米ベネズエラのアーティストたち》

『アーティストになったから、
国外へ出られた』これは南米ベネズエラで出会った、若いアーティスト(音楽家)たちのことだ。

ベネズエラはこの数年、アメリカの制裁によるハイパーインフレと、革命と、反政府デモで、混沌の一途をたどっている。日中はバリケードがはられ、犯罪が多く、暴力が溢れ、夜出歩くことは困難だ。もちろん日本人が観光に行くことは薦められていない。

ベネズエラに入国した時、わたしはベ

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「祖母の旅行」 ー 母の日のカーネーションはまだあげられない

「祖母の旅行」 ー 母の日のカーネーションはまだあげられない

昨日は“母の日”だった。

母には舞台のチケットをプレゼントし、母の母である祖母とは初めてのテレビ電話をした。

ここ1年、祖母は一気に元気がなくなった。もともと掃除や計算やガーデニングが大好きで、ズボラな私と血が繋がってるとは思えないほど、几帳面で勤勉で働き者だった。それが今は、祖母は90歳を越え、骨折を繰り返して長期の入院をしている。得意だったことのすべてを手放して、ベッドの上から動かなくなっ

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