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キノコの本を買った

ちっとも終わる気がしなかった課題がようやく終わり、自分のインタビューの下手さにがっくり来ていた朝。
昨日、一日中降っていた雨が上がり、薄曇りの過ごしやすい日になるだろうと天気予報が告げていた。
気付けばもう五月。
初夏である。

初夏と言えば、敦賀では釣りを始める時期で、相当頑張れば海に入れる時期でもあった。
今年は、まだ私でも釣れる釣り場を見つけていないのと、近所に第二のきくらげ畑を発見したのとで、暇さえあれば山に通っている。

行って採集して帰って、全工程1時間もあればおつりがくる。
散歩のついでにきくらげを摘み取り、たまに野良レモンも持ち帰る。
クサイチゴは、そろそろ終わりかけだ。

今日のきくらげの収穫量は、スーパーでもらえる小さいビニール袋に2つ分、あわせて890gであった。
手の届かない樹上のキクラゲは採集を諦めて帰ってきたので、山全体では、どれほどのキクラゲが採れることだろうかと、ついそろばんをはじきたくなる。
この山には雨の翌日なら、確実に大きく育ったキクラゲがわんさか生えている。
ライターで食べられなくなったら、農協の販売所に生キクラゲを置いてもらって、生活しようかなどと夢想しながら山を歩く。

よくよく見てみると、キクラゲが生えやすい木と、そうでない木があることがあることがわかってきた。
スギやヒノキのような針葉樹には、キノコが生えていない。
腐食が進んで倒れる寸前といった風情の木にも、生えていない。
立ち枯れしかけている広葉樹、落ちたばかりの藤の枝に、キクラゲはよく生えている。
樹木には詳しくないのだが、広葉樹の中でもどんぐりの実がなるコナラ、ミズナラに多い印象だ。

樹上のキクラゲ
フジの蔓に生えたキクラゲ
枯れきった木には、そもそもキノコが生えていない

もっと詳しくキノコのことを知りたくなって、つい買ってしまったのがこちら。

これによると、私は重大な勘違いをしていたことがわかった。
私が本体だと思っていた「キノコ」は、一時的に出現する繁殖用の器官であった。
彼らの本体は朽ちかけた木の幹の中、腐葉土の中、弱った木の根っこの中にいる「菌」なのである。

クワガタの幼虫を育てたことがある人なら、もしかすると「菌糸ボトル」を買ったことがある人もいるかもしれない。
あれは、天然のクワガタの幼虫が食べている「朽ち木」を再現したものだ。朽ち木は、勝手に朽ちてくれるわけではなく、菌類が木材の硬いセルロースを分解してくれるから、朽ちていくのだ。
ただの木と幼虫を一緒に入れておいても、幼虫はセルロースを分解できないため栄養が摂れず、死んでしまう。
菌がセルロースを分解し、幼虫が食べられる栄養価の高い物質に変えてくれるから、育つことができるのである。
その生育環境を再現するために作られたのが「菌糸ボトル」だったのだ。
(おがくずなどを滅菌処理したのち、キノコの菌糸を植え付けてある)

なんとなんと、納豆に付着した白いねばねばみたいな、あれがキノコの本体だったとは。
「白色腐朽菌」(はくしょくふきゅうきん)という名前で大きく分類されているらしい。
知らなかった。

キノコ、面白いぞ。
ちょっと勉強してみようと思う。

**連続投稿829日目**


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