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ていねいな子育て③

ていねいな子育て①  ていねいな子育て② において、ABAの基本をお伝えし、褒めポイントをご紹介しました。

①あたりまえにしていること
②すでにできるようになっていること

この二つはすでに、「あたりまえ」ではないこと、褒めれば強化されて行動が増え、やがて定着していくことが理解していただけたかと思います。

さてでは、これらは?
③やろうとしている良い行動
④失敗してしまったけれど、やろうとした良い行動

全子どもを代表して言いたいと思いますが。
大人って、完璧を求めすぎているため「ちょっとできた」「やろうとしてた」ことを見過ごしていることが多いなと思います。

たとえば、なかなか挨拶ができない子というのがいたとします。
(別に挨拶ごときで死ぬこともないので、できなきゃできないで構わないんですが、特に小さいうちはできるとかわいがってもらえるという特典もあったりする。なので、あいさつできる子であってほしいと、親は思うわけです。)

私が主催する、谷戸保育のびるでは、二、三歳のちいさい人たちはもれなく、卒会するまでに、あいさつ魔になります。

谷戸出会う、知らないおじさん、おばさん問わず、誰にでもとにかく挨拶をしまくるようになる。
なぜか?
一人できる子がいて、褒められるとまねしたくなるのが子どもってものだからです。

たとえば、Aくんが、私たちスタッフが畑のおじさんに「こんにちはー!」と声をかけているのも目撃して、自分もやってみようと、元気よく「こんにちは!」と声を掛けたとします。当然Aくんは、スタッフに「ちゃんとご挨拶できてえらいねえ」と褒められます。
となりにいるBくんは、シャイで大声も出すタイプじゃないのですが、褒められたAくんをまねして小さな声で「ちやー」と言ってみました。

親としては「ちやー」じゃなくて「こんにちは」でしょ!と直したくなる場面ではないでしょうか?

違うんです、ここで、訂正してはダメなのです。
「おお、Bくんも大きな声でご挨拶できてえらいねえ」
が正解です。だって、やろうとしたんだもん。そして、実際「ちやー」と声は出せたんだもん。きっと次からは、も少し大きな声で「ちやー」が言えるようになり、そのうち、みんなに交じって「こんにちは!」と元気に挨拶できるようになっていることでしょう。

やろうとしていたことを見逃してはいけないのと同じくらい大事なことが、
ちょっと出来たら、もう「できたことにしちゃう」ということです。

何年か前、友達の先生のつてで、小学校の支援級にプールの授業の時だけお助けで入るボランティアをやらせてもらったことがありました。
一人の男の子が、「僕はまだ泳げないけど、顔つけはちょっと出来るんだ」と恥ずかしそうに言ってきました。

ここを逃してはなりません。
「へえ、すごいねえ、やって見せてくれる?」
彼は、本当は怖くてドキドキしながら、でも見たことのない新顔の私にいいところを見せようと、ちょこっと顔を水につけてくれました。
「おおお!できてるじゃん、もう泳げそうだよねえ。今、5秒くらいつけてたよね!(実際は0.5秒くらい)もう一回見たい!おねがい!」
そこで、彼が水に顔を付けてくれたらしめたもの、ものすごいスピードで数を数えます。「12345678910,12345678910!」
はたからは「いちにゃんしごろしはちくじゅう!」と聞こえていたはず。それくらい、早口でとにかくできるだけたくさん数える。
そして、顔をあげたタイミングで褒めちぎるのです。
「すごい、今20秒も顔つけできたよ。記録更新じゃない?」
輝く彼の顔。
「もう一回やるから、数えてて!!」
今度は彼も、ノリノリの本気モードですから、超速で数えたら、楽勝で50くらい届きます。そうやって、どんどん記録を伸ばし、水が苦手なはずの彼はその日のうちに蹴伸びをマスターしていました.

これ、最初に「あらやだ、ほんとにできないのね」と言っちゃってたら、たぶん、できなかったと思います。やる気がた落ちですもの。

できてなくても、できてることにしちゃう。やろうとしているんだから、そこを認める。そこを褒める。

そうすると子どもの褒めポイントは、今の3倍くらいには増えると思います。(ゼロに何をかけてもゼロだ、とか言わないの!笑)

二歳児には、同様の方法で、足先を靴にちょっと入れただけで
「えええっ!?●●くん、自分でお靴が履けるの?すごいねえ、お兄ちゃんだねえ」と褒めちぎる、という技もあります。
これなんて、本人は、まったくその気もなかったのかもしれませんが、言われてやる気になり、むつかしくてできないところを、ささっと手伝ってあげて、最後のマジックテープで止めるところを自分でやってもらうと、「おれはやったんだ!」という達成感で、満足そうにしています。
最後の達成感を取り上げないことがコツではないかと思います。

要は、こどもを観察して機会を逃さず、「できたところだけ」じゃなく「できてないところにも存在している、褒めの種」を根気よく拾って、水をやり続けることが、ABAの極意なんだと思います。
もしかしたら、その種は種じゃなくて鼻くそかもしれないし、どれだけ水をやっても芽が出ないこともあるかもしれない。
でも、見つけたそれに、根気よく水をあげることが、いつか、大輪の花を咲かせることになるのだと信じて水をあげ続けることができれば、子育てなんて楽勝です!まじで。







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