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統一教会の解散とトロッコ問題

善悪の二元論を超えて


統一教会の解散。もし今後、このニュースが流れたとき、多くの人が「ようやくか」と安堵の息をつくでしょう。
しかし、その一方で、この解散がもたらす影響を真剣に考える必要があると思います

特に、統一教会の信者である親を持つ宗教二世にとって、この解散は心理的、経済的にも大きな打撃となるのです。

トロッコ問題それは選択のジレンマ


この状況は、よく知られている倫理的ジレンマ、トロッコ問題に似ています。トロッコが暴走し、前方には5人の作業員がいます。進行方向を変えれば、1人の作業員しかいない別の線路に進むことができます。どちらの選択をするかはとても難しい問題です。
線路を切り替えて1人の死を選ぶのか、5人を見殺しにするか。

元宗教二世が動かせるレバー


私たち宗教二世には、このトロッコ問題のレバーを動かす力があります。なぜなら、私たちは問題となっている宗教団体の中で育ち、その実態を知っているからです。
私たちが声を上げれば、統一教会は解散に追い込まれ、多くの今後の被害を防ぐことができるでしょう。

しかし、その代償は?


しかし、その選択には代償があります。統一教会の教会長や職員として働いている人々の子供、すなわち"現"宗教二世は、この解散によって大きな打撃を受けるでしょう。彼らの家庭は統一教会の献金によって生計を立てています。この子供たちは、トロッコ問題でレバーを動かした結果、犠牲になる一人なのです。

統一教会とオウム真理教、その違いとは?


オウム真理教で何が起きたか、その教訓を生かすことも必要です。
私たちはオウム真理教が解散命令を受けた後に関心を失ってしまったのではないでしょうか。
オウム真理教の家に育った子供たちをケアしてあげたのでしょうか?
オウム真理教の被害を根絶することができたでしょうか? 後継団体の名前を全て言えますか? この後継団体が新たな被害を生み出していないか監視できていますか?
結果的に最も弱い子供たちが、さらに苦しい人生に追いやられ
オウム真理教のカルト性は根絶できていないのが現実だと思います。

集団心理、その罠


統一教会内での階層構造は、加害者と被害者が複雑に絡み合っています。この集団心理に取り込まれた人々は、自分が何をしているのか、その重大性に気づいていないのです。

自分が何をしているか分からない。親戚や周囲の人々や自分の子供にさえ心理的、経済的被害を与えてしまっています。それも善意で。

このように宗教に絡めとられた信者はオレオレ詐欺に引っかかったおばあちゃんと似ています。
被害者でありながら、その行動が家族の財産を失う結果となり間接的な加害者にも見えなくはない。ただし、オレオレ詐欺の場合はカルト宗教の信者と違い、このおばあちゃんが責め立てられることはありません。
まず第一に悪意をもっておばあちゃんに近づいた人の責任を追及し、おばあちゃんに寂しい思いをさせてしまっていた。
家族は日常の忙しさで思いやりの心をなくしてしまっていたのではないかと。

これは宗教にすがらざるを得なかった人々に対する社会の冷たさに通ずるのではないでしょうか。

真の解決、その道を探して


統一教会の解散は必要です。統一教会の韓部達は悪意を持ち、人を騙しています。そして、宗教法人が会計情報をブラックボックス化する隠れ蓑になっています。

ただ、解散だけでは解決にはなりません。この集団には善意と悪意、加害と被害が複雑に交錯しています。
統一教会の解散命令はスタートラインでしかありません。
善意と悪意、加害と被害を慎重に切り分けて解明し、新たな被害者を生まないようにするための、より深い洞察と対策が必要です。

トロッコ問題を超えて


現実の統一教会問題は、トロッコ問題とは異なり、両者を救う方法が存在するはずです。その解決策を見つけ出すためには、善悪の二元論を超え、多角的に問題を考える必要があります。
そして何より、弱者を理解しようと寄り添う気持ちと、あらたなカルト宗教が芽生えることのない優しい社会を模索していくことが
本当のカルト対策になるのだと私は信じています。




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