「絶対に無痛分娩一択！」と、苦労して探した病院（しかもめちゃくちゃ諸費用が高い）で産むため、逆子や血糖値もなんとか切り抜けたのに、直前で予定帝王切開（日程を決めてする帝王切開の手術）を言い渡された。

いままでありがたいことに、手術はおろか点滴すら打ったことのない私が「お腹を切るなんて…。」とすごく落ち込んだ。出産日が近づき、夫は「あと出産まで○日だね〜。」と、日数を数えるだけでは満足せず、「あと出産まで○日だね〜。つまりあと●●時間ということだね！」「あと出産まで○日だね〜。つまりあと●●秒ということになるね！」と、電卓をたたいて時間や秒に換算して胸を高鳴らせていた。（←いま考えてもやりすぎでは！？笑）
私は「あなたが手放しに楽しみにしているのは、同時に私がお腹を切るまでのカウントダウンということを分かってるの！？」という気持ちがふつふつと湧き上がってしまい、手術当日の朝に残ったごはんをレンジでチンしている夫を見たときに「私が絶飲、絶食なのにのんきに朝ごはんを食べるなんて！！」と、爆発してしまった。笑（いま考えるとすごくくだらないので割愛）

そんなこんながありつつ、今となっては無事に産まれてくれた赤ちゃんはもちろん、フライング気味のスタートダッシュで赤ちゃんに愛情を注いでくれている夫、励まし話を聞いてくれた友だち、転職後すぐの妊娠出産を受け入れてくれた会社（の人）、電車で席を譲ってくれたインド人のカップル…。色々思い出して、私の人生のスペシャルサンクスに載せたいくらいありがとうという気持ち。

※※↓予定帝王切開の備忘※※

前日
23:59 帝王切開そのものもこわいけど、のどかわき症の私は絶飲も恐怖！0時から絶飲のため、ギリギリまで水をガブ飲みして備える。「頼む！あと1分だけ飲ませて、おねがい！！」と、もはや発言がアル中の域。

当日
08:30 入院。お医者さん、助産師さん、とにかく会う人すべてに「術後、水を飲んでもOKのタイミングですぐに教えてください！」と訴えかける。

12:50 腰に下半身の麻酔開始。「大丈夫、手術は麻酔打つところが一番痛いからね。ここだけ我慢！」と言われ、覚悟を決める。足に痺れが走る感覚が不快すぎた。そこまでは痛くない。麻酔が終わり一安心。
しばらくして「足上がりますか？」「これ、冷たいですか？」と聞かれるも、余裕で足上がるしびっくりするほど冷たい。「冷たいです。あがります。」の押し問答を繰り返したあたりで先生が「おかしいな…。」などと言いはじめ、震える。

13:00 「効いていないのでもう一回、腰に麻酔打ちます！」と言われ絶望。いましがたこれが一番痛いと聞いたことを2回もするハメになるなんて。でも仕方がない。その後また「足上がりますか？冷たいですか？」の質問攻め。足も上がるし普通に冷たい。何度も同じことを聞かれ、もう嘘でも「足上がらない、冷たくない。」と言ってこの場をおさめてしまいたい。「でもここだけは絶対流されちゃだめなやつー！なろう、NOと言える日本人に！！」など頭の中で自分を大袈裟に鼓舞しながら答えつづける。先生が「そんなはずは…」などと徐々に首をかしげはじめる。このとき恐怖感と緊迫感MAX。

13:20ついに先生が「麻酔効かないので全身麻酔に切り替えます。」と判断。「（え！？意識なくなるな怖い）」と、一瞬曇った私の表情を見逃さなかった先生は「あ〜産声が聞けなくなるのはいやですよね。そうだ、産声の瞬間は旦那さんに動画で撮っておいてもらいましょう！」と、斜め上方向からの気づかいをいただく。手術に立ち会うのって、ただでさえメンタルに負担かかりそうだけど、その上当人には意識がないなんて立ち会うほうがめちゃくちゃ怖いだろうな…私は別に動画撮らなくていいんだけどな…とぼんやり思う。ここで意識なくなる。（いつのまにか立ち会い召喚され、動画撮られてた。一生再生しない動画かも。）

15:00 真っ暗闇の中「お父さんー、お母さんー、夫ーー！！」と泣き叫びながら赤ちゃんの泣き声のする方向に必死に走る私。そうすると光が見えてきて極彩色の花畑みたいなのがパァァッと見えて目が覚める。（薬物の幻覚ってたぶんこんな感じなんだろうな。めちゃくちゃきれいで現実離れしててこわかった。ほぼ臨死体験。）

15:10 目が覚めたらすべて終わっていて手術前に待機していた部屋に運ばれていた。手術室に入ってからの記憶がすっぽりなくなっていた私は「ここどこ？いま、私はなにしてるの？」「あ、これから手術？」「え、もう赤ちゃん出たの？？」と、意識朦朧としながら状況を把握。（夢の中で号泣していたから現実でもウッウッ…と嗚咽していたらしく嘔吐してもいいように受け皿が用意されていた。いや、泣いてただけなのよ。）

術後〜翌日　ものすごく痛いと効いていた傷の痛みと後陣痛はありがたいことに私はわりと大丈夫だった。少しだけ我慢していたら次の日助産師さんに「あれ？全然痛いって言わないから、結局痛み止め使うの忘れてたわ〜。」と言われて「オイ！」とは思った。麻酔は効かず痛み止めも使わず、私ってなんだろう。

その後は、ひどい首の痛みや頭痛（麻酔の副反応？らしい。人より多く麻酔使ったからひどかったのかも。）に悩まされた。個人的にはこれがすごくつらかった。
後から目が覚めたときの動画を見たら朦朧としながらも「あの〜、ところで水はいつから飲めますか！？」と言ってる自分が映っていてその執念にびっくり。

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