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Twitterでバズって作家になった奴のガチ実録


どうも、あたいもちぎ。

知る人ぞ知るネタ系ツイッタラー。
SNSの総フォロワー数はだいたい70万人くらい。
これは江戸川区の人口と同じくらいである。


これだけフォロワーが多いと、いわゆるインフルエンサーと呼ばれることも増えてくる。
インフルエンサーとは影響力を持つ個人のことだ。

自分で言うのもおこがましいが、淫蕩者のあたいにだってもちろんちょっぴりの影響力はある。
例えばあたいのアナル失敗談のツイートを見て、肛門に軽率に手を出すことを躊躇った人間も枚挙にいとまがない。
アナルに対して素人は迂闊に手を出すべきでは無い、と判断したフォロワーさんがゲイ風俗のアナル開発コースを利用したと報告してきた例もある。

人の人生や進路を変えた。
それくらいあたいにはアナルに一家言あるのだ。


むしろ「自分には影響力なんて無いです」と謙遜するのは、自分の発信で感化されたり、受け取ることによって気分の揺らぎがあった人間のことを無視してしまう無責任な発言に他ならないだろう。

どんな人間にだって、他人に言葉をぶつければそれ相応の影響を与えてしまう。よくも悪くもそんな力を持つ。当たり前の話だ。
もちろんその力の多寡を測ることは難しくて、例えばリツイート数やいいねの数は見えても、誰がどう感じたかまでは分からない。反応の薄い発信でも、意外なところで誰かの心に深く根を張っていることもある。

ゆえに発信とは発信者が意図しないほどの多種多様な反応を生んでしまうものだけれども、それが人と関わるということであるとも思う。
とにかく、発信したからには「自分に影響力は無い」なんてありえないのだ。

だからあたいは自惚れと言われてもいいから、「自分には影響力がない」とは言わない。あたいにも、みんなにも影響力がある。すごいかすごくないかは置いといて。


だがしかし、あたいのような専門家や業界人でも無いマジでガチの一般人には、威信も権威も、あるいは発言の信頼性を担保する所属機関や裏付けもほとんど存在しないのは確かだ。(出版物は出版社さんと校正さんの存在があるけれども)

そこが専門家インフルエンサー……現在だと感染症関連の学者や医師の有名アカウントとは一線を画すところだろう。
インフルエンサーと十把一絡げにしても、その実態や内実は人やジャンルによって全くもって異なるのだ。

ということで、あたいのような輩は《インターネット声おっきいパーソン》ってことになるだろう。

※インターネット声おっきいパーソンとは、フォロワー数が多く、発言に反響が生まれやすいが、中身はただの一般人のこと。

そう、それがあたい。あたいってわけ。


さて、今回はそんなインターネット声おっきいパーソンのあたいが、Twitterで自由気ままに活動して、ゲイバーで鏡月(安い焼酎)をお茶割りで飲んでたら、ダイレクトメッセージで「出版のご相談」が舞い込んできた時のそのいきさつと、門外漢が出版に至った場合、どのような打診や相談があり、実際どのように出版物が刊行されるかという過程を説明してきたいと思う。

先に断っておくが暴露やルポのようなものではなく、あくまで備忘録のような書き物になる。
しかし、出版を目標・計画としている作家志望やインフルエンサー志望の方々のみならず、ビジネスを行なっている人や、単純に物事の裏側に興味のある人々にも読んで参考にしてもらったり、何より出版業界や現代の執筆業の透明性や熱量を伝えることを目的としているので、読み物として楽しく読めるように心掛けます。

その前にちょろっとあたいの経歴を語っておこう。
あたい、自分語りだいすき。


【てきとうな経歴】

あたいは生まれた時からゲイ。

昔はウケ寄りリバだったが、今は完全にタチの老け専ゲイ。
今やあたいのケツはうんこ出る専となった。
ちなみにすけべするときは右乳首から入る派。

幼少期から青年期。
母子家庭で育ち、難ありの母ちゃんから離れるために、高校生の頃から男性相手の売春(業界用語でサポート)をしていた。

18歳になり家出後はゲイ風俗(ウリセン)に入店し、ボーイとして生きる。

風俗在籍中に大学進学し、新卒で就職するも鬱で退職。マジでしんどかった。

以降はゲイバーで働く。
そして当時いっしょに暮らしてた猫(名前はネコ)の死別後は、知人のツテで出身地ではない田舎に移住。
それから作家デビューし、現在は都市部に帰ってきてまた学生してる。
あとネチコヤン3匹と暮らしてる。
ま、人生いろいろって感じ。


『もちぎ』としては、2018年10月にアカウントをスタート。
アカウント作成自体は同年1月にはしていたが、名前もつけずに放置してた。
なぜなら作ったものの、どう運用していいかまだ決めかねてたからだ。

とりあえず、まずはTwitterでは主にゲイ風俗時代の経験談やネタツイートをしつつ、業界分析や自叙などのしっかりした文章はnoteに残す方針で活動を始めた。

Twitterは文章量や拡散の性質上、たくさんの方々に見てもらえるコンテンツになれても、本質的な情報を見やすいように整然と貯蔵するにはやや心許ないツールだと思ったので使い分けを定めたのだ。

感覚としてはTwitterはゲイバーにノンケ(異性愛者)がいらっしゃった時の観光的な営業に近い。
パワーワードとキャラ付けによる売り方はできても、実際のゲイ業界やエッセイのような個人的な話はしづらいし、多分大まかにしか伝えられない。
なので二つのツールで《広く浅く》と《深く長く》を書こうと思ったのだ。


とにもかくにもネットという舞台で発信を始めたわけだけれど、その目的は何となく今までの人生を振り返って、いろんな人に伝えたいと思ったからというのが主だった。
別に出版や広告収入を目的としたわけでは無い。
趣味の一環と言った方がいいかもしれない。

思い返すとあたいは今までゲイ業界にいるゲイやバイの男性、あるいはゲイバーで知り合った人ばかりと絡んで交流してきた。ゲイ尽くしの人生だった。
そこ以外の環境ーー高校や大学、他の場所で出会う人間にはゲイだとほとんどカミングアウトしていなかったので、その子達と会話をしていてもゲイ部分のあたいは心の奥底ですっかり身を縮こませて眠っていたのだ。

そんな時、あたいは感じていた。
あたいがゲイ業界で出会ってきた尊敬する人間達の話を、自分がゲイだって言えないだけでこっそり隠して闇に葬るようなことをするのは、なんか勿体無いなってことを。

もっとたくさんの人にーーつまりゲイ業界に足を踏み入れないタイプの人々に、あたいが出会った人達との話を聞いてもらいたかった。
ゲイってすごいやつもダメなやつも、いい奴も悪い奴もいるんだと。
あたいみたいなおバカでも、いろんなことを学ばせてもらえる世界だったと。
そして、ゲイ業界で生きてこれてよかったんだとあたいが感じていることも。

それを叶えるために、昔懐かしき個人ブログのように、自己満足的な趣味の延長線上として発信用のアカウントを開設したのであった。


そんな気楽な始め方でスタートを切ったSNS活動だけど、今や何やかんやで7社以上の出版社さまとお付き合いして、14冊も本を出してもらい、海外出版やグッズ化も経験した。
さらにこの2年間はメディアに取り上げられたり、テレビに出演したり、何だか不相応なほど作家としてお仕事をさせてもらっている。

もちろん物事には盛りや旬があるので、こうもご依頼をいただくのは今だけだろうけれども、あたいのようなただのおバカなすけべに社会問題に対しての意見を求められたりするのはやや恐縮する。
セックスワーカーとして、あるいはLGBT業界に携わったものとしてコメントを求められているとは理解しているが、表に出てきてないだけであたいなんかより優秀で知見のある当事者の方々はたくさん存在するというのに。

ましてやあたいは社会経験に乏しいので、いつも「すんません……男のケツしか見てこなかった人生なので……ペンよりちんちん握ってきた人間なので……へへっ」って申し訳なくコメントするのだ。ちなみにこれで笑いが取れたこともない。


ただ、そのおかげで都市部に出戻りして、現在二度目の学生生活をすることが叶ったし、家で飲むときは甲類焼酎じゃなくて本格焼酎を飲むことができている。まだまだ売れてない弱小な作家だけども、やはり大手出版社の印税パワーは様様だ。家で毎日8時間から10時間くらい仕事してるだけで同年代のサラリーマンと同じくらいのお金をなんとかいただいていることには感謝しなければならないだろう。(といっても不安定な仕事なのでひと月の収入が16万円くらいの時もある)
そして毎日酔っ払っている。

それは勿論、あたいの実力ってよりかは、先人のLGBTの方々が社会運動やコミュニティ形成によって獲得してきた地位の恩恵、平成から令和に巻き起こってきたSNS文化の時流による運、あとはなんかまぁ編集者の方々を含めて様々な巡り合わせのおかげでしかないだろう。
そもそも、そういう歴史の変遷が無ければ、あたいのような浅識かつ才能に乏しいただのゲイが本を出版することも叶わなかったはずだ。


複雑な気持ちだがLGBTは流行りと囃される時代になり、その白羽の矢の一つがあたいに立ったに過ぎない。

つまりブームとムーブメントの中でたまたまあたいに声がかかっただけだと、あたいは認識している。

そう、ゆえにあたい自身はまだまだ作家としても人としても至らない、先生と呼ばれるには弱輩過ぎる、ただ美しいだけの人間だ。

ただ、美しいだけの人間なのだ。



今回、この記事ではあたいが作家としてデビューさせていただいた際の流れや、出版やメディアなど多岐にわたる活動の裏側をガッツリ紹介させていただくが、
(と言っても再三書いているが個人名や契約書などの詳細、守秘義務に抵触する内容は差し控える)

きっとみんなは、あたいのような素性も明かさぬ《ぽっと出の一般人がSNSから出版に漕ぎ着ける過程》が一番気になるところだろう。

LGBTやSNSの流行りがあるとしても、いったいどういう人間が、どういう基準で、どのような流れがあって出版やメディア露出の道に進んでいくのだろうと疑問に思う人も多いはずだ。

ちなみに言うとあたいも話がトントン拍子で進んだこともあり、感覚としてはいまだに一般人が本を出しているという状態だ。執筆のお仕事をもらうためにも作家だと名乗っているが、自分の感覚としてはプロツイッタラー、あるいは職業《美人》って言った方が差し支えがないだろう。

あたい自身は何も昔から何も変わっていない。昔からの友達に作家先生と言われると強く否定する。恐れが多いし、執筆家の実感も無い。とにかく環境と時代だけがぐるぐると身の回りを巡回して、こうも発表する舞台や機会を与えてくれているだけに感じて仕方がない。運だ、ほんと気運だ。

それに、なんせあたいも出版を目論んで活動を始めたわけでも無いので、アカウント開設当初は出版業界やインフルエンサービジネスにも疎く、もっと言えば興味もあんまり無かった人間だ。
筆も遅く、本を読むことは好んでも、書くことに傾倒してこなかった。
だから自分が当事者になるまでまったくといって分筆の裏側を知らなかったし、知ろうとも思っていなかった。ましてや出版業界のいち当事者になるだなんて夢にも思わなかった。

なので、本を上梓して売り出すという行いは、原稿を出版社に持ち込むか、何か文学的な賞を受賞するか、あるいは芸能人や文化人、教授や専門家などの地位に立たねば叶わない遠くの世界のことだと思い込んでいた。
それほど作家や物書きなんて縁の無い存在で、知名度も作家歴も無い一般人の立場に出版の打診が来ることなんて想像もしてなかったのだ。

たしかに、SNSの盛りを迎えた現代では「Twitterでバズったら出版の声がかかる」だなんてことも一般に広く知れ渡ってきたが、それでもやっぱり半信半疑な部分も多いだろう。
元から漫画の連載をしている漫画家だったり、出版社に繋がりのある人がTwitterから広報を始めて出版をしているんだと考える方が自然だ。正直あたいもそうだと考えていた。ステルスマーケティングや出来レース、とまでは言わないが、結局一般人には無関係なことなのだと。

その点あたいは、みんなが見ても分かる通り、漫画の絵もまだまだへたっぴな素人だし(なんせ今まで絵を描いたことも無かった)作家としての地力も薄い。
それに経歴もゲイ風俗のボーイやゲイバーの店子といった夜の世界の人間だったので、陽の目を浴びるメディアに関わることは一度も無かった。

つまり本当に、これを読むほとんどのみんなと同じ立場であるだろう。
一般的な、文化的商品の消費者側の一人だった。
いやむしろどちらかと言えば闇の部分に隠れて生きていた人間だったと言ってもいいかも知れない。ゲイ業界以外の人前でゲイだと明かして生きるとは夢にも思っていなかった。


長く導入として語ってきたが、とにかくあたいのような経歴の無い一般の人間が、いかに作家を名乗らせていただけるに至ったか、ようやく書き連ねていこうと思う。

先ほど述べた通り、これを読む層やターゲットは、なにもSNSから出版や商用展開を狙うワナビやクリエイターにだけ向けたものではなく、本やメディアが好きな人、なんとなく業界や物事の裏側が気になる人など(そもそもあたいの発信テーマであるゲイ業界エッセイを読んでくれている方は世の裏側が好きな探究家の一人だろうけど)、多様な方々に読んでもらうことを想定している。

またこの記事は、遠い世界に思われる出版業界や作家業にスポットライトを当てるだけでなく、SNSにも注目をしている。

SNSが、立場・属性の違う者同士の軋轢や分断、あるいは自己肯定感を損ねるような殺伐としたツールになりうる側面を持つだけでなく、あたいを一例とした《一個人の人生の転機にもなりうる前向きな様相を持つ》と伝えられることを願っている。


SNSには意外とまだまだ希望が転がっているのだ。

そんな風に前向きに読み進めていってもらえると幸いである。

ここからは有料部分なので、購入して読んでちょ。
結構長いのでお茶とお菓子でも用意して読むのよ。




①漫画でバズったら2日で6社11人の編集者の方からダイレクトメッセージが


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長く続いたウリセン(ゲイ風俗編)最終章です。3年間を振り返ったコラムなども書き下ろしで入れてます。

今ならあたいの投げキッス付きよ👄