ウリセン編38 あたいと、リストカットする同僚の話 〜自称のための自傷
ある日、ゲイ風俗の個室を清掃していると、バスタオルとベッドシーツに少量の血液が付いていたのを見つけた。
肛門を使った性交をすることもあるから、そこでボーイかお客様が切って出血してしまったのかもしれない。最後に個室を利用したボーイに確認する為にも、あたいは利用表で履歴を確認して、該当の男の子の元に向かった。
その子は、控え室の隅にあるソファで、スマホをいじりながら濡れた髪を乾かしていた。
「ねぇねぇ、どっか切ったりしてない? 大丈夫?」
「え? なんで?」
「洗濯物のシーツとタオルに血が付いてたから、プレイ中にオケツでも切っちゃたのかなって。あたい、いつでもボラギノール持ってるから遠慮せず言ってね」
彼は吹き出す。ボラギノール常備系オカマを笑うな。
「もちぎ。ちょっとコンビニ行かない?」
彼は笑いながら提案してきた。あたいはその意図を深く考えずに頷いて、店長に了承を得てから二人で店を後にした。
「あの血は、これだよ。昨日切ったばっかだから」
ーー交差点、信号待ち。突然に彼は、シャツの左袖をまくって、腕を露出した。
そこにはミミズ腫れみたいな傷と、皮膚に入った横筋と、まだ新しい切ったばかりの様な痛々しい切り傷があった。
「リストカット……?」
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⑤あたいがゲイ風俗のベテランとして働いてた時と、中学の初恋の迷走期と高校時代の友達の話です。このマガジンからでも読み進められる単発モノばか…
今ならあたいの投げキッス付きよ👄