見出し画像

自分が撮影したMVの中から平成のプレイリストを選んでみた。

noteのお題で「平成をかざるプレイリスト」というのがあって、思い返してみたら、ちょうど自分がミュージック・ビデオの撮影を始めたのが昭和から平成への元号の変わり目でした。こんな機会なかなか無いので、平成のはじめから自作を追いつつ思い返してみようと思います。音楽的にも、撮影技術的にも平成という時代は変動の時代でしたね。ちょっとした自分史にもなってしまっていますが、付き合ってもらえると嬉しいです。

思い起こせば平成の始まりと一緒にミュージック・ビデオの撮影を仕事にするようになった。

年号が平成に変わった頃、自分は大学3年目。もともと学生ながら映像制作をやっていた竹内鉄郎が、自分のいる映画サークルに入ったことで、そのサークル自体が映像制作チームの形を呈するようになって来ました。それが「竹内芸能企画」の始まりです。当時はPV(プロモーションビデオ)と言っていたのですが、CMを撮っている人に頼めば良いのか?映画を撮ってる人に頼めばいいのか曖昧な時期だったんで、学生でも新人アーティストのPVの制作に入り込みやすかったのかもしれません。

平成3年スピッツのデビュー曲「ヒバリのこころ」のバックのスクリーンに流れるオフショットを撮ったのが自分のカメラマンとしてのキャリアのスタート時期です(メンバーのスタジオ撮影は小笠原さん)。
その翌年、ウルフルズのデビュー曲「やぶれかぶれかぶれ」を撮影。トータス松本自ら綿密な絵コンテを書いてくるも最初に撮った引きの1カットで押し通すことで決定!(ここら辺からメインで撮影するようになるのだが、1カット、カメラ据え置きなんでカメラマンの存在感0ですけどね、、、)
そんな風に音楽とか全く知らなかった自分がこの世界に入っていった時期でした。

初めて自分の撮った曲が巷で流れるを体験したのはSpitz「ロビンソン」からだろう。

平成7年、デビューからずっと撮り続けていたスピッツが「ロビンソン」という曲で一躍脚光をあびるようになります。演奏シーンとロードムービー的なイメージとの二軸で構成されて、映像的にも自分なりにかなりの手ごたえを感じたMVだったので嬉しかったです。MV中、演奏シーン以外、Gの三輪くんが寝たままなのは竹内監督が「レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ」にインスパイアされて生まれた設定だと記憶しています。

その翌年にウルフルズが「ガッツだぜ!」で爆発的ヒットを飛ばす。

毎回、次こそ売ってやると言う意気込みをMVにかけながら「やぶれかぶれ」から「借金大王」「すっとばす」「トコトンで行こう!」「大阪ストラット」「SUN SUN SUN」と来て7曲めのMVにしてやっとのビックヒット!
この時すでに次に控えてる曲が「バンザイ~好きでよかった~」だというのはスタッフ内では分かっていて、監督である竹内鉄郎のその時の話が印象に残っています。「バンザイは良い曲なんできっとヒットするだろう。でも、それで売れてしまったらウルフルズというバンドは世間に誤解されてしまう。だから絶対このガッツだぜ!で売れなきゃいけない!」そして、この曲で第1回MusicVideoAwardsのグランプリを授賞する事になります。

BONNIE PINK「Do You Crush?」の撮影にスウェーデンのトーレ・ヨハンソンのスタジオへ。

BONNIE PINKはデビュー2曲めの「Surprise!」から「Forget Me Not」までの6曲の撮影してて「Do You Crush?」はデビューから3曲めのシングルになります。多分、これが初めての海外ロケ!スウェーデンのマルメに行って、カーディガンズなどをプロデュースしていたトーレ・ヨハンソンタンバリン・スタジオで収録したのは平成8年のこと。監督の竹内と自分の二人だけで行くというのも今にして思えば無謀だけど、どんな国でも同じような連中というのはいるもので、スウェーデンの映像作家の二人組と一緒に4人でレコーディングの合間を縫って撮影しました。このMVだけトーレが出演してる事もあってかYouTubeで見ること出来ないんで違うとこのリンクになっています。

山崎まさよしをワンカットで撮りきった「 One more time,One more chance」

同時期にデビューから撮っていたアーティストに山崎まさよしがいます。最初のビデオクリップ集に収録されてる全7曲を撮影しています。やはり山崎くんが注目を浴びたのは「One more time,One more chance」でしょう。自身が主演している映画「月とキャベツ」の主題歌ですが、この主演に抜擢された経緯が面白い、映画のプロデューサーが当初主演に予定していたアーティストを観にライブハウス(当時のエッグマンだったと思う)に来ていた時に、対バンで入ってた山崎くんが演奏中にギターの弦が切れるというハプニングがありました。その時、弦を張り直しながら間を持たせるために話してる姿を見て彼にしようと決めたらしい。
役者も出来る山崎くんだけに普通に撮るとちゃんと二枚目になってしまうんです。それで、「セロリ」や「アドレナリン」に至っては密室に複数の女性と閉じこめながらも平常心で歌い続けようとする照れた表情を狙うような試みも何度かしちゃってます(*´ー`)

カメラ目線がこんなに強い女性はなかなか居ないと思う。Cocco「強く儚い者たち」

Coccoはコンベンション映像から撮らせてもらっているアーティスト。コンベンション映像とは基本的に世間にそんな出回らず、関係者だけに向けたプロモーション映像です。(と書きつつも、ニコ動で見つけたので興味あったら見てください「」のワンカット長回しは物凄いですから)その撮影前にレコード会社の人から「今回のアーティストは特殊なんで、みんなでBBQとかして親交を深めてから撮影に入りましょう。」という話を受けて、多摩川の土手でBBQした想い出があります。
そして「強く儚い者たち」は「カウントダウン」の後のメジャー2曲め。今思えば、よくこの歌詞でJALのイメージソングになったなぁと思います。16mmフィルムで撮影してアナログ合成という状況は今見るとかなりの無理をしてる感が強く、それをごまかすために試行錯誤しているのが良い効果になっていますね。

平成11年は椎名林檎の「ここでキスして。」でしょうね。

これも同じ竹内芸能企画制作ですが、ここまでの作品が全て竹内鉄郎監督作ですが、椎名林檎のMVはウスイヒロシ監督作です。デビューの「幸福論」から撮影してて、2曲めの「歌舞伎町の女王」を聞いた時に「こんな良い曲二度と書けるもんじゃない。この曲で売らないと!」と思い、撮影に挑んだのですが、そんな思いを軽く超えるくらい良い曲を次々と生み出せる才能を持ち合わせた方でした。
そして3曲めの「ここでキスして。」。これ当初は演奏シーンとドラマシーンで構成されていたんです。ドラマシーンは当時、神戸連続児童殺傷事件など猟奇的な事件が取り沙汰されていた時期で、それを彷彿とさせる犯人を椎名林檎が追っているという裏テーマがあり、印象的なカットが積み上げられてゆくという、自分でもかなり気にいった出来だったのですが、監督のウスイに当初の予定通りのものと演奏シーンだけのもの、二つの編集バージョンを見せられて、1シチュエーションの演奏シーンだけでも充分に一曲見せられる説得力ある仕上がりに、演奏シーンのみでいくことに同意しました。ビデオクリップ集「性的ヒーリング~其ノ壱~」には両方のバージョンが収録されているので気になる方は是非そちらを見て下さい。(遊び半分でつくったCM集も見応えあります)

そして10年続いた竹内芸能企画の初期メンバーが二十世紀の終わりとともに距離を置くようになるのです。

今まで大学のサークルの延長線上でやって来たチームが平成11年公開のギターウルフ主演の映画「WiLD ZERO」の製作を契機にみんな其々別々の方向を探り始めるのです。まあ、会社というよりはバンドみたいなものでしたからね。こんな日は遅かれ早かれ来ることは分かっていたのですが、世紀の変わり目というのは、そういったことを浮き彫りにしてくれるのでしょうね。

RIP SLYME「楽園ベイベー」がヒットした事で独立後の自分にやっていけそうだと自信がもてた。

竹内芸能企画自体はフリーランス集団だったので、自営業という立場は変わらないのですが、今まで組んでたディレクターと袂を分かつというのは、かなり勇気が要りました。
そんな思いを払拭してくれたのがRIP SLYMEです。groovisions伊藤弘監督でデビューから2曲めの「雑念エンタテインメント」から撮影してて「楽園ベイベー」は、デビューから5番目にあたる曲です。RIPは撮っていて映えるMCが4人もいるわけですから撮影冥利につきる被写体です。ただ、撮影当日夕方から豪雨に見舞われ、それが落ち着いてから撮影を再開した思い出が。そんな事もあって「楽園ベイベー」よりも「One」や「FUNKASTIC」「BLUE BE-BOP」の方が撮影的に納得いく出来なのですが、やはり印象に残るのは、この曲になってしまうんでしょうね。

つじあやの「風になる」がジブリの主題歌に!

デビューの「クローバー」から撮り続けてきたつじあやのが6曲めの「風になる」で映画「猫の恩返し」の主題歌に抜擢されました。ビックタイアップという追い風を受けて「風になる」はロングヒットに。
高木聡監督の実家である大分と熊本の県境周辺で撮影。道すがら会う人が、今で言う「いいね」マークの親指を立てるシーンがあるのですが、恥ずかしながら地元の人と2ショットで登場しています、、。平成14年6/27リリースというのに撮影時にあった杖立温泉の鯉のぼりは画はご愛嬌で。
因みに前出の「楽園ベイベー」は6/26リリースと1日違い!
高木監督の作品ではクラムボンの「サラウンド」や花*花の「さよなら大好きな人」などとりあげたい作品が他にもあったのですが、映像のリンクが無かったので割愛させてもらいました。「サラウンド」は、それまでにクラムボンで培ってきた撮影技法の集大成とも呼べる作品だったんで、ぜひ見てほしかったのですが、できれば是非「clammbon music V 集」を観てください!

東京事変という事件。「群青日和」

平成16年。5年ぶりに撮る事になった椎名林檎はバンドになって登場してきました。シンプルながらも力強い演出は内野政明監督によるもの。以前、CMの撮影現場でライトを振るだけで成立するのか?と聞かれたときに、かなり難易度は高いんじゃないかと会話をした覚えがあったのですが、それをこのタイミングでぶつけてくるとは! 単純なように見えて、代役のバンドをたてて、きっちり完成系に近いタイミングを探った仮のMVを作ってから本番に挑んでいます。本番では1カット撮っては編集に組み込み、ズレてたらもう一度撮り直すという繰り返しで、スポットライトを振ってくれた照明マンも元ドラマーの人を起用して1フレーム単位で調整。林檎ちゃんのラストカットを撮ったのは明け方近かったのではと記憶しています。ラストの笑顔はやっと終わったという安堵感かも知れません。。。
(その次の「遭難」は撮影終了がかなり押して翌昼になるという、撮影自体も遭難しかけた現場でした)

20周年のB'zを軍艦島で撮る「MY LONELY TOWN」

平成21年、デビューから20年目をむかえるB'zが記念碑的に出したシングルが「MY LONELY TOWN」。軍艦島で撮影するという無謀な企画を出して高木聡に監督が決まりました。軍艦島を観光地化する直前で宣伝したいという市の想いとB'zというビッグネームが無ければ実現しなかった企画でしょう。
地上のカメラは35mmで、空撮は安田光さんに16mmでヘリから撮ってもらいました。ドローンなんて考えもしなかった時代がたった10年前とは、、、
撮影が終わるころには潮が満ちすぎて船が桟橋につけられず、松本さんや稲葉さんまで水路を伝って島の反対側の堤防の外側に出てもらい、船に飛び乗るという、撤収までアクロバティックな撮影でした。軍艦島が世界遺産に選ばれる5年前の事ですね。
B'zは「MY LONELY TOWN」と25周年の時の「Q&A」を高木監督で撮らせてもらいました。「Q&A」もかなり無茶やった作品なので、良かったら検索して見てください。

今も思い起こすのは最初に見た少女の姿だ。WISE「By your side feat. 西野カナ」

平成の終わりとともに結婚と無期限休業を宣言した西野カナもこの時代を象徴した存在でしょうね。Coccoのところでコンベンション映像のことを話しましたが、彼女の貴重なコンベンション映像も撮らせてもらいました。その時のインパクトが強烈でした。デビュー曲になる「I」の原形となる曲ともう一曲を収録したんですが、デビュー時とは全く違うスッピンに近い17歳の透明感ある少女は物凄い存在感を放ってました。(その時、プロデューサーで入ってた末吉さんが全盛期から休業までMVの監督をすることになります。)
私はというと2曲めの「glowly days」「 Style.」「MAKE UP」を福居英晃監督で撮り、土屋隆俊監督でWISEBy your side feat. 西野カナ西野カナ遠くても feat.WISE」の2曲を撮っています。西野カナの事を書きつつWISEのリンクとは申し訳ないですが、これが一番納得いく西野カナになっているからかな?(あ、これ韻を踏んだわけじゃ無いです)「By your side」の出演してる川口春奈はちょうどコンベンション映像で西野カナを撮った頃と同じくらいの歳で、その当時の事を思い出させてくれました。

**club EARTHでの4人の演奏がスタジアムの7万人の観客に響き渡るまで。

SEKAI NO OWARI「スターライトパレード」**

SEKAI NO OWARIは自分にとっては「世界の終わり」という方が馴染みが深いです。昔から付き合いのあるLustramのマネージャーが「やっとお願いできそうなアーティストに出会えたかも」と三軒茶屋のバーで聞かせてもらって「幻の命」「虹色の戦争」と2曲めが流れたころには「これ、俺にやらせて下さい。」と言っていました。
撮る前に自分達の演奏を見てほしいと、メンバーが自分たちで作ったという小さなライブハウス「club EARTH」で、観客が私だけのミニライブを開いてくれました。そういう事もあってか自分が演出するMVには必ずメンバーの息吹を感じるものを入れるようにしています。「幻の命」では間奏部分のフラッシュバックにclub EARTHを設営している当時のスナップ写真を。「虹色の戦争」で最初に地球からどんどん近づいていく場所は大鳥居のclub EARTHの場所に。そして、「スターライトパレード」では、冒頭と最後に出てくるFukaseの部屋は実際にセカオワハウスの本人の部屋で撮影しています。
Wikipediaとかで「スターライトパレード」の監督の表記が自分になっていますが(スペースシャワーのサイトだと「ヒロカズ/小林基己」になっています)実際はヒロカズくんとの共同演出です。Fukaseの企画をアースカンパニーのヒロカズくんが演出する事になって、MVの経験が少ないことから自分が共同演出という立場で参加しています。
スターライトパレード」以降はMVを撮る機会はありませんが、ツアーは毎回、観に行かせてもらってます。富士急ハイランドのコニファーフォレストでやった「炎と森のカーニバル」を観たときの感動は忘れられないですね。最初にclub EARTHでライブを見せてもらったあとにFukaseが語っていた世界がそこに存在していました。

天候をも味方に付ける力がスターにはあるんだな。そう思える瞬間だった。Girls' Generation 少女時代 「Time Machine」

平成後半の音楽シーンは韓流を抜きには語れないでしょう。少女時代もそれを代表するグループなのは間違いありません。監督は、東京事変も一緒にやっている内野政明、監督本人が熱烈なファンだけに気合いの入り方が尋常じゃありませんでした。「Time Machine」は、テヨンが足を怪我したことで少女時代定番のダンスチューンではなく、このバラードが選ばれたという経緯。文字通り怪我の功名というか、ダンスを封印することで一人一人に対して丁寧に撮ることができたのは自分にとっては幸運でした。平成24年の2月の終わり、1日目のスタジオ撮影が終わり、翌日はロケという段取りだったのですが、東京は例年に無い雪の予報。撮影終わりで本国に帰ってしまうため予備などは無いのです。屋根のあるロケ地など天候に左右されない情況を探すも、その場しのぎにしかならず、当初の予定通りいくことを決行!
そして当日、天気予報通り表参道には雪が降りしきっていました。5年前にできたばかりの表参道ヒルズの前にロケバスが並び、そこからウェディングドレス姿のユナが降りたちます。最初のカットは、遠くから走ってきて、カメラの前で立ち止り、レンズを見つめて涙を流すシーン。これぞ神が降らした雪なんじゃないか?ファインダーを覗きながら、そう思っていました。

デジタルのミューズをアナログに撮りきる。Perfume 「Cling Cling」

Perfumeの「Cling Cling」という曲は特殊な流れで自分がスタッフィングされたと思っています。監督は島田大介さんで、なによりも美術監督で種田陽平さんに頼みたいということから、照明は中村裕樹さんに、そして、この3人と仕事したことがあるということで自分が選ばれたに違いない(多分ね)と思っています。
この撮影、NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」の種田さんの密着取材が入っていました。打ち合わせからTVカメラが入ってるものだから予算とかスケジュールとかかっこ悪い事言えなくてセットは大きくなるわ、35mmフィルム撮影になるわ、現場は肥大する一方で、ほんとプロデューサーには頭が下がります。何しろスタジオいっぱいにセット作ってもまだ入り切らなくて導入部分はセットの入口から外にはみ出した部分で撮っているという始末。ただ、それまでのPerfumeとは大きく変わってアナログな合成無しの重厚感ある異色作に仕上がったと自分では思っているのですがどうでしょうね。

センターの存在感とはこういうものかもしれない。欅坂46 「サイレントマジョリティー」

これ以前は、AKB系のグループはカップリング曲ぐらいしか撮影していなくて「乃木坂の妹分的な存在なんで」という言葉に撮影前は意外と気楽に考えていました。監督の池田一真くんとは意外にもこれが初めて。
そんなゆるく考えていた自分の気持ちが渋谷駅横の工事現場でのダンスシーンを撮り始めたときに、そのセンターの子の存在感に圧倒されたんです。ダンスが上手いとか可愛いとか、そんな事どうでも良くなるくらいの、、、信念の強さなのかも知れません。カメラ目線の威力が半端なく凄いんです。そして、翌日は彼女のソロショット。ダンスレッスン場でひたむきに踊る姿はまるでドキュメンタリーを撮ってるようなリアリティーでした。それが初めて見た平手友梨奈でした。
多くのメンバーの中で一番注目を浴びてるのがセンターなのではなく、他のメンバーを次の次元まで引っ張り上げられるセンター、そういったものを平手友梨奈には感じたんです。

『「いいんですか?」のビデオ、やりなおしても「いいんですか?」~雨天中止!?~』RADWIMPS

RADWIMPSは2回だけ撮影させてもらってます。ただ、2回と言っても両方ともこの「いいんですか?」だけです。そう、平成18年に一度撮影していて、その時もエキストラをファンから500人呼んで、その囲われた真ん中でメンバーが歌うという、シチェーションもスタッフも一緒で。大きく違うのは天候です。500人のファンは弁当箱に白飯だけを入れて、真ん中で演奏するRADWIMPSをオカズに食べるという設定ですが、極寒の雨の中。かなりシュールな作品に出来上がっています。
島田大介監督からは雨バンドということで聞いていましたが、これ程とは、、、
そして10年後の平成28年12月。見事に晴れ渡り、こんな青空を撮ることができました。
ちなみにYouTubeでH18年版は2354万回再生、H29年版は870万回再生。オリジナルを超えることはできるんだろうか?

SHINeeの撮影でアイドルのプロフェッショナルというものを感じた。シャイニー 「Get The Treasure」

二宮“NINO”大輔監督との初めての作品で、ストップモーションを多用したロングカットが見せどころのMV。画龍によるCGが素晴らしい!グリーンバックなど使わず、マーカーも最低限でステディカムの動きを追えるのには感服しました。それにも増して、その日の朝に日本に来たというSHINeeのメンバーが、ロングカットの複雑な動きを一発で覚えてアクションも的確に決めていく手腕はさすがです。
このMVが公開された平成29年1月。同じ年の12月にメンバーのジョンヒョンが亡くなりました。このアルバムタイトルが「Five」。もう5人でいる姿をもう映像でしか見れないと思うと残念です。ジョンヒョンの遺書と脇腹に入っていた黒い犬のタトゥーの意味を時間があったときに検索してほしいです。もしかしたら自分の周辺にも同じようなSOSのシグナルを出している人がいるのに見過ごしてしまっているかもしれません。ジョンヒョンの御冥福をお祈りいたします。

二つの才能のハーモニーに驚嘆。絢香&三浦大知「ハートアップ」

絢香は再デビューの時に「The beginning」を撮らせてもらってて、この「ハートアップ」が2回め。そして、ここ数年の活躍めざましい三浦大知とのコラボレーション。彩香の表現力豊かな歌はもちろんのこと、それと並んで引けを取らない三浦大知の歌唱力に驚かされます。せっかく三浦大知を撮るんだったら踊ってもらいたいという要求にも快く答えてもらい、即興の要求にクオリティーの高いコンテンポラリーダンスを披露してくれています。こういった才能あるアーティトが評価される契機になった曲が子ども向け番組の主題歌というのも皮肉です。最近は新しいアーティストが入りこむ枠がそれぐらいしか残されてないのでしょうか?広告媒体が既存の評価を意識しすぎているのでしょうか? この平成の流れで自分の撮影してきた作品群を見てきただけでも、そんなこと考えてしまいました。

平成29年の締め括りに紅白のグランドオープニングを撮れたのは運命的なものかも知れない。

この年の紅白歌合戦は例年に無いグランドオープニングムービーなるものを制作するということになり、池田一真監督のもと、NHK外部のスタッフも集めて、内外混合チームで製作しました。紅白出演の46組全アーティストが出演し、テーマはNHKのある渋谷。11月から準備を進めるものの出演者が決まるまでは細部の詰めができません。関係者には教えてくれるのかと思いきや、誰が出るか知ったのはネットニュースです。。。

撮影が中盤に差し掛かったくらいにサザンと安室奈美恵の出演が決定しましたが、それは特別枠ということで撮影しない事に。自分の30年の撮影人生の中で安室奈美恵さんは一度も撮影をする事なく引退してしまうという事に残念な思いも。
実際に渋谷でロケ出来るのが一番良いのですが、師走の渋谷にビッグスターが現れるわけですから混乱しない訳がありません。ちなみにジャニーズのスカイバス、三代目のリムジン、天童よしみとブルゾンちえみのForever 21前、そこから出るところのSHISHAMOからの乃木坂46、三浦大知の裏渋谷、SEKAI NO OWARIと竹原ピストルののんべえ横丁、松たか子とSuperFlyの公園通り、それらは実際に渋谷の街中で撮影してます。後半の練り歩く所も全員同じタイミングで撮れるわけもなく、渋谷の背景だけ先に撮りスケジュールの合う出演者からNHKのスタジオでグリーンバックで撮影しています。歩くのに合わせてトラックバックというのもモーションコントロールなど使えるわけでもなく、音に合わせて動いたものを編集で微調整して合わせていくという複雑な作業で、大晦日ギリギリまで作業してくれた編集スタッフには脱帽します。撮影期間は述べ10日間以上、平成最後からひとつ前の紅白ですが、46組が一同に会する姿を撮れたのはカメラマン冥利に尽きる映像になっています。


これから令和へ、このシーンはどうなっていくんだろう?

去年末に公開されたTHE RAMPAGE from EXILE TRIBEの「THROW YA FIST」もかなり重厚な大作感ある仕上がりになりました。デビューから「Life is Beautiful」まで撮り続けた平井大もそろそろ脚光を浴びそうな気配だし、Lustram時代から応援しているあいみょんにはこのまま突っ走って欲しい。YouTubeから支持してて偶然のめぐり合わせで「しあわせの詩」を撮ったUruも今年度の注目株でしょう。

音楽映像に関しては厳しい時代が続いていますが、何かシステムが変わることによって、映像製作者にも還元出来る方法が配信などを使って出来そうな気がします。何よりも面白いものを作り続けていかないと人は離れていってしまうので、この音楽映像シーン自体が活気付く未来になると良いですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?