あーすぐポチッとしたらだめだよ。
これは持論にすぎないけれど、
いい町には、いい本屋がある。
わたしの暮らす人口1万5千人に満たない小さな町にも、本好きの主人が営むとても素敵な小さな本屋がある。
新刊も古本も扱っている、行くたびに思いがけない出会いがある本屋。
それなのに。
引っ越してきてからというもの、気になる本があるとネットで調べて、そのままポチッと買っていた。
「新刊以外なかなか置いてないよなー」と思いながら、ついついネットで買っていた。
若い友人と本の話題になったとき、彼はタイトルの言葉をさらっと口にした。
「あーすぐポチッとしたらだめだよ〜。あそこの本屋さん、取り寄せてくれるよ!」
そうか、お取り寄せ!
なんでいままで思いつかなかったんだろう。
だけど……と、心配性のわたしは考える。
店主1人でやっている小さなお店、わたしのためだけに1冊の本を仕入れてもらうなんて、迷惑じゃないんだろうか?
顔なじみの店主に直接聞いてみた。
返答はもちろん、リアクション的にもほんとうに迷惑じゃなさそうだ。
「急ぎのものじゃなければぜひ」と、とびきりの笑顔で言ってくれた。
日常的にインターネットの恩恵を大いに受けているし、いろんな事情で直接買いに行くことがむずかしいとき、ECサイトの存在は心強い。
一方で、行くたびに思いがけない出会いがある本屋は、きっとその町のゆたかなカルチャーを育む土壌になる。
「お買いものとはどんな社会に一票を投じるかということ」
学生の頃にインターンをしていた会社が掲げる言葉を、心のなかで反芻する。
これからはよほどの急ぎでないかぎり、本は町の本屋さんで買おう。
この町もこの本屋さんのことも大好きだから。
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