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メタ―バースで再現した美術館内で芸術鑑賞を可能にした秋田県立近代美術館。美術館のプロモーションセオリーはエンターテインメントにまで昇華するのでしょうか?

こんにちは、DJムッチーです。
長いことアーティストのタマゴをやってる息子が、連休をボーット過ごしている僕を見かねて、秋田の美術館の新しい試みを教えてくれました。
秋田県横手市にある秋田県立近代美術館ではインターネット上の仮想空間「メタバース」につくり出した館内で、収蔵されている美術作品が鑑賞できるようになったというのです。
息子の勧めに応じて、秋田県立近代美術館のホームページから、観賞用のアプリをダウンロードしてみましたが、そこで手が止まってしまいました。
よく考えると、目的もなく美術館に行った経験が無かったからです。
まずは、所蔵作品をホームページで確認しないといけません。何より、僕にとって芸術鑑賞はかなり力のいる作業なんです。

メタバースで再現された秋田県立近代美術館の展示室 

メタバースに対するお決まりの評価

メディアの評価記事を読んでみると「作品は高精細な3Dモデルで再現され、傷つけることがないため、作品に触れられるぐらい近くで鑑賞するなど仮想空間ならではの楽しみ方もできます。」とメタバースを使った他のサービスの評価と代わり映えがしません。

美術館は「距離にも時間にも縛られない作品鑑賞」をアピールしているそうで、「高精細な3DCGで再現した作品群を、心ゆくまで楽しめる。」と胸を張っておられます。でも、絵画は2次元で、3次元なのは美術館の内部です。
美術館に行くという独特の感覚は、醸していないようですね。

秋田県教育庁によると「美術館を丸ごとメタバース化し、作品を常時公開するのは全国でも珍しい」とおっしゃってますが、この考えが進めば、人を呼べないリアル美術館は資料館になってしまって、展示空間はメタバースに変わって行ってしまいます。
メタバースで鑑賞してもらう意味が、メディアも美術館の広報も県教育庁もあまりお分かりでないようです。

ゴーグルがあった方がいいみたいですね

初代桂春団治のエピソードからメタバーズの必要性が見える

初代桂春団治のエピソードってなに?と訝しがるかもしれませんが、実は美術館や博物館とメタバースの共存の糸口が見えるので、ご紹介しますね。
初代桂春団治は、古典落語にナンセンスギャグを取り入れたネタを天才的な話芸で展開する近代まれな落語家で、爆笑王という異名をほしいままにした戦前の上方落語界のスーパースターでした。
その春団治に目をつけたのが大阪NHK。春団治にラジオ出演を依頼します。
(当時ラジオはエンターテインメントの最前線メディアでした。)
ところが、所属の吉本興業はラジオで落語を聴かせると、寄席の入りが悪くなるからと、春団治にラジオ出演を禁じました。それでも、新しいもの好きな春団治は、禁を破ってラジオに出演します。激怒した吉本興業ですが、数日すると寄席は大入り満員が続くようになります。お客さんは「ラジオで大笑いした、あの春団治を生で観たい」と寄席の関係者に来演の理由を異口同音に告げたそうです。
それ以来、吉本興業は芸人のラジオへの出演を解禁。戦後テレビが普及し始めると、吉本テレビ制作室を作って積極的にテレビを演芸のプロモーションに利用しました。
ここまで話すと、新しいメディアや技術とリアルな芸術、芸能の在り方が分かっていただけると思います。これこそ、エンターテインメントのプロモーションセオリーなのです。
(プロモーションですよ、マーケティングではありませんよ!)

爆笑王 初代桂春団治

美術館も演芸場も人が来てなんぼ

家に居ながらにして高精細な美術作品が楽しめることだけで、メタバースの美術館や博物館を作ったのでは、人を呼べない美術館や博物館は厳しい現実にさらされて加速度をつけて姿を消してしまいます。
リアルを見たくなる、展示物や仕掛け、出し物やネタが必要です。MTVやメディアからの音楽では飽き足らず、ライブに出かける行動が、芸術や芸能にも必要です。
秋田県立近代美術館は、これからリアルで観たくなる作品展の企画に大忙しになるはずです。プロモーションの前には必ずプロダクトが必要なんですよね・・・そして、その前には美術館の使命つまり来場者との約束(ブランド)を結ぶことが大事です。
幸い、芸術鑑賞には音楽ライブへ行くのとは違う独特の雰囲気があります。文化の香りとでも表現したらいいのでしょうか?その香りは、リアルに嗅がないと幸福は醸し出されませんし、それはかなりの力仕事です。そしてより深く学べばその香りはより豊かになります。
僕が、秋田県立近代美術館のメタバースをダウンロードでやめてしまったのは、この力仕事へのモチベーションが湧かなかったらでしょうね。
(メタバースで体験できるだけでは、魅力的じゃないですものね)

これからたくさんの美術館がメタバースを採用するでしょうが、資料館になってしまわずに、是非リアルな文化との触れ合いを演出する機会にしてもらいたいものです。
僕が見つけた、秋田県立近代美術館のお勧め所蔵作品は、ジャン・コクトーの「横顔」というリトグラフです。
ロンドンでジャン・コクトー展に足を運んで、作品を貫くウィットを感じて以来、コクトーファンです。
是非、メタバースでご覧になって下さい・・・
(まだ観れないかもしれませんが・・)

ジャン・コクトー 横顔

メタバースを体験したい方は、こちらからどうそ・・・

それでは、今日はこの辺で失礼します。
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じゃあまたこの次
DJムッチーでした。

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