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人は「自分だけは特別扱いしてほしい」生き物である。


”誰かを特別扱いできる者は「強者」であり、
 特別扱いしているように見せかけられる者は「詐欺師」であり、
  特別扱いしてほしいと思っている者は「弱者」である。
    ー21世紀の解脱者 武庫川散歩ー


 この世界で世渡りをしてゆく上で、たったひとつだけ覚えておけばよいのは

「人は、自分だけは特別扱いしてほしい生き物である」

ということだけである。実にシンプルだが、奥深い。

 このことは「自分自身」に対してもそうだし、「相手や他者」に対してもそうだ。

 相手が常に「自分は特別扱いしてほしい」と思っていることを見抜けば、その心を自在にコントロールして、今度は自分の立場を優位に持ってゆくことができる。
 逆に、「自分自身を特別扱いしてほしい」という願望に支配されていれば、罠に落ちる。もしかすると滅びへ向かうかもしれない。

 実際に特別扱いという「優遇措置」を取るか取らないかも自由自在である。優遇措置を取れば、それは温情であったり、施しに相当するだろうし、優遇措置を取ったように見せかければ、それは詐欺師のテクニックである。

 その境界線は非常にあいまいで、「善悪」という単純な二元論では分けることができない。なので、詐欺的に善行を施すことだってできるし、温情が結果的に詐欺的になることもあるだろう。


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 この「特別扱い」のテクニックは、別に難しいことを言っているわけではなく、この世界にはごくありふれた概念だ。

 たとえば、「今だけ30%オフ」「タイムセール」といった商品の売り方もそうで、買い手は「自分だけが得したような気持ちになる」から食いつくわけである。

 アマゾンさんのプライム価格は、いま月額600円だが、年間契約にすると5900円になる。明日死んだら、先に5900円払った方は丸損なのだが、それでもなんだか儲かった気持ちになるから、一年間生き延びるつもりになって喜んで高いほうの金額を払ったりもする。

 このように、「価格に差をつける」というテクニックも「特別扱いを演出する技法」なのだが、別に悪でも詐欺でもなく、そんなもんだと受容されている。


 逆に、カスタマーハラスメントやモンスターペアレントなどは、「自分だけを特別扱いしてほしい」という欲望の直接的な発動である。これも、どこにでも転がっている。

 彼らは「自分が特別扱いされなかった」と感じることにものすごく敏感で、他の誰かと同じような処遇をされているにも関わらず「自分だけがものすごい損をした」と感じる精神構造になっている。

 これはまさに弱者の考え方で、強者であればそんなことにいちいち目くじらを立てない。自分に権力権限があるので、誰かに何かをしてもらわなくても、自分でやれるからである。

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 一方、強者は誰かを特別扱いすることができる。これは良い意味でも悪い意味でもそうなのだが、たとえば政治家などは、特定の子飼いの議員に現金を配って派閥を作ったり、社長が誰かを意図的に選択して管理職に引き上げたりできる。

 誰かを特別扱いする、ということが権力をさらに盤石なものにする原動力でもあるのだ。

 あるいは純粋な施しでも、同じである。どこかに大金や必要な物資を寄付したりするのも、一種の「特別扱い」であって、その他の万人に施しをしているわけではない。
 その選択は恣意的に自由に行うことができるので、「被災者」に何かを送ろうが、「障害者」に何かを送ろうが、「勤労学生」に対象を限ろうが、全然自由である。誰を特別扱いするのか選ぶ権力があるのが、強者の特徴と言えるだろう。


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 さて、ここで勘のいい読者諸君なら、気づくに違いない。

「特別扱いする」という強者のしくみと
「特別扱いしろ」という弱者のしくみとが、意図的に混ぜられている

という実態が、この世界に存在するということを。

 賢者は、強者と弱者の仕組みを知っているから、これを整理し、切り分けて考えることができるが、愚者はコロッと騙されたりする。

 この「特別扱いする強者」と「特別扱いされたい弱者」の仕組みを、うまく混ぜて発言するのが、詐欺師の腕の見せ所なのである。

 まあ、このたとえを用いると、いろいろと燃え上がるのだが


「女性を特別扱いする姿勢の者」と「女性を特別扱いしろという姿勢の者」がどちらもフェミニストという言葉で表現される


 なんてのは、わかりやすい良い例かもしれない。

 もちろん、ここでは「女性を特別扱いするべきか」という議論については、まったく関与しないので、誤解なきように。

 理解できない人たちも多いだろうが。

 ここで述べているのは「権力者であり、恣意的に女性を特別扱いできる層」が存在することと、「弱者であり、特別扱いを求める女性の層」が存在することだけである。

 そして、この2つの層の間をまぜこぜにしながら、「権力の側を自分たちの都合のよい方向性へ持っていこうとする詐欺師」が紛れ込んでいるということである。(それは本来の弱者のためを思っての行動でなく、「自分が特権をもぎ取りたい場合があるから、注意が必要なのである)


 まあ、フェミニスト論については、あれこれ細かく言うと、炎上の火種になるので、これくらいにしておくが、この世界で起こっている紛争やトラブルのほとんどはこの「特別扱いの処遇」を巡ってのものなので、みなさんにはぜひ、その「構造・仕組み」を理解してもらって、詐欺師に騙されないように、してもらいたいと切に願うものである。


 逆に言えば、「あなたが詐欺師になれば、人生は思い通りに進められる」ということでもある。

 これは禁断のテクニックだが、それほど難しいことではなく、誰にでもできる。

 取り込みたい相手を「特別扱い」すればいいのだ。そうすれば相手は、もしかすると今度はあなたを「特別扱い」してくれるかもしれない。

(サラリーマンだったら、周囲を見渡していると、自他ともに覚えがあるだろう)

 特別扱いのやりとりは、別に悪ではない。以外と世間は、そのやりとりで回っているところもある。それが権力や立場というものだからだ。


 実は夫婦間でもそうで、互いに特別扱いがしっかりできていれば、夫婦は円満である。こどもだってそうだ。


 いずれにせよ、あなたの人生がより良きものになるのも、うまくいかないのも、「特別扱い」というものの仕組みをしっかり理解しているかどうかにかかっている。

 ちなみに、一番どうしようもないのは「特別扱いしてほしい」ということだけを願いつづけることだ。

 これは、運がよければ「特別扱いしてくれる」強者と出会うこともできるだろうが、大抵は詐欺師に引っかかって色々なものを失う可能性が高い。

 なんといっても詐欺師は「特別扱いしてほしい」というサインを出している者をカモとして最初から狙っているからである。

 その辺は「闇金ウシジマくん」でも読んでおけば、十分である。特別扱いしてほしい人間の末路が、すべて描かれている(笑)

 健闘を祈る。



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