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ブログをREBOOTします。一発目はあのバンドしかない。

 お久しぶりです。
 ムラ村隆一と申します。

 かつて僕は、はてなブログで90年代V系の珍妙な音源を半笑いで紹介する極めて不遜なブログを書き散らしていました。

 ある日、「これ以上輝けない」と思い、アカウントごとブログを消してしまったのですが、ありがたいことに、復活を望む聲(こえ)をLUNA SEAのLOVELESSのギターの弦の数ぐらいいただいたため、この度REBOOTさせていただきます。

 ブログ再開一発目の音源はやはりこれしかないでしょう。

Madeth gray'll『Lucifer〜魔鏡に映る呪われた罪人達と生命の終焉〜』
1.  生命の終焉
2. 『Zwei』堕胎者ト盲目ナ中絶児・・69日目ノ阻害
3. 「マリア」ガ眠ル懺悔ノ「柩」
4. 黒死蝶ノ花束
5. 追憶
6. Lucifer
7. 「M」的被虐症候群
8. 悪辣ナル「隷」に捧ぐ
9. 空中都市〜in the zalemu〜
10. Evil en Lucifer
11〜43. 無音
44. 血染めの喜劇(シークレットトラック)

 僕が初めてブログに書いた音源であり、僕の三大好きなアルバムに入っているこちらの作品ですね。(他はLUNA SEAの『STYLE』とSound Horizonの『Roman』です)

 なぜまたMadeth gray'llなのか?

 LUNA SEAがREBOOTした際は1stアルバムを再録していました。
 MURA SEAのブログがREBOOTするなら、当然これの記事を書き直すしかないでしょう。

 「90年代の音源って言っているのにこのアルバムは2000年発売だろ」ってツッコミはやめてください。
 ごめんて。

1.  生命の終焉
 まず、1曲目は90年代V系にありがちな曲数稼ぎ開幕SEですね。
 バックに名作映画『サウンド・オブ・ミュージック』の劇中歌『私のお気に入り(My Favorite Things)』のピアノアレンジが流れています。原曲は楽しげなシーンに挿入されていますが、それを哀しげな語りと「らんらんら〜」とビビるぐらい音痴な唄に乗せるところがニクい。あと、冒頭の「思い出の異空間・・・」は黒夢の『MISERY』のオマージュですね。

2. 『Zwei』堕胎者ト盲目ナ中絶児・・69日目ノ阻害
 Madeth gray'llの残虐極まりない世界観を象徴するような曲ですね。中絶をモチーフにするところは初期黒夢から通底するものですし、何が言いたいのか分からんグロテスクそうな英単語を入れたり、ドイツ語は「Eins, Zwei, Drei, Vier」しか知らんのか?だったり、ギャイギャイ叫んだり、とにかく90年代後半のコテ系のエッセンスをこれでもかと詰め込んだ傑作です。
 ラストの赤ちゃんの笑い声が、ROUAGEの『理想郷』に入っている声と同じ音源だと思うのですが、90年代V系御用達の効果音集などがあったのでしょうか?欲しいんだが。

3. 「マリア」ガ眠ル懺悔ノ「柩」
 メロディアス寄りの楽曲ではありますが、ボーカルが超音痴で初めて聞いた時は「なんじゃこりゃ」と思ってしまいます。でも、その切なげなポンコツ歌唱・悲痛なポンコツシャウトが却って彼らの狂気に満ちた耽美的な世界観を表現するのに一役買っていると思うのですよね。
 ラストがどう考えてもLaputaの『奈落の底』のパクリなのは擁護のしようがありません。

4. 黒死蝶ノ花束
 陰鬱で重苦しい楽曲で、とにかくポンコツ歌唱が際立っていて最高。ギターリフ、ベースラインが何気に結構カッコよくて好きです。

5. 追憶
 アルバムの中間として、挿入されているピアノ主体の語りとポンコツ歌唱の切ないバラードです。次の楽曲に続くための前奏曲として、絶対に聴いて欲しい名曲です。間奏の語りが好きすぎて今でも暗唱できます。好きな子へのラブレターに引用するとモテると思います。

6. Lucifer
 ハぁあああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
  オアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!
 どう考えてもこの世で一番名曲!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
失礼しました。好きすぎて取り乱してしまいました。
 イントロは『悪魔城ドラキュラ』の『Bloody Tears』に似ています。
 ボーカルは音痴極まりないですが、それがこの楽曲の悲壮感溢れる歌詞や壮大なバッキング、怒涛のように押し寄せる叙情的展開と渾然一体となって、唯一無二の稀代の神曲に昇華させています。
 この曲は、人によっては聴くに堪えないと思うか、信じられないほどの名曲として慟哭するかの二択だと思いますが、僕はこれを聴いて90年代V系の奥深さに目覚めました。
 全人類に聴いてほしい。
 音楽の教科書に載せるべきです。

7. 「M」的被虐症候群
 前曲とは打って変わって、彼らのグロテスクかつダークな作風に振り切った名曲です。
 これがToshl(5文字目は大文字のアイではなく小文字のエル)などのような歌唱力があったら成立しない、ポンコツだからこそなせる性的倒錯に満ちた残虐極まりないコテコテ楽曲。
 歌詞カード読んでると、フツーにイヤな気持ちになるので、音痴で歌詞が聴き取りにくくて良かった。

8. 悪辣ナル「隷」に捧ぐ
 なんで「ナル」だけカタカナなん?って疑問は置いといて、ブラックメタルっぽささえ若干感じさせるリフが印象的。初期黒夢のツタツタドラムを彷彿とさせる疾走感があって僕は好きです。

9. 空中都市〜in the zalemu〜
「帰ろう……母なる……空へ……」という語りで始まるのが最高。イントロの疾走メロディアスギターがたまらん。
 楽曲のモチーフとしては木城ゆきと先生の名作サイバーパンク漫画、『銃夢』ですね。タイトルの「zalemu」は同作に出てくる空中都市の名称です。僕はこの楽曲から原作を全巻買うに至りました。普通逆だろ。
Madeth gray'llのメロディセンスの極致とも言える名曲です。
 ちなみに、ベストアルバム『悲劇ノ終幕』にボーカルだけ再録されたものが入っていますが、なぜか再録の方が音痴という奇跡みたいなことが起こっているので、それも併せてどうぞ。

10. Evil en Lucifer
 ベートーヴェンの『歓喜の歌』のピアノアレンジに赤ちゃんの泣き声が入っているSE。
 怒涛のようなアルバムだったな〜と余韻に浸れるものですが、1stプレス盤には続きがあります。11〜43曲目が 無音のトラックになっています。この間にお気に入りのコーヒーなどを淹れて待っていると良いでしょう。

44. 血染めの喜劇(シークレットトラック)
 シークレットトラックに、デモテープに収録されていた楽曲の再録が入っています。ツタツタドラムギャイギャイシャウト早口すぎて何言ってるかわからない歌詞ベースソロ、ライブでループしまくってバンギャに暴れさせることを想定しているであろう構成、全てが完璧なコテ系暴れ曲です。
 これが聴きたかったら国家予算ぐらいの大枚叩いて1stプレスを買おう!

 このアルバムの総評としては、「全てが絶妙なバランスで成り立っている名盤」だと思います。
間違いなく音痴だし、演奏もポンコツですが、これが彼らの世界観とマッチしており、単純な楽曲のクオリティでは語れない良さがあります。
 アルバムの構成も、メロディアスな楽曲ばかりでも暴れ曲ばかりでも飽きるし、ギリギリのラインをちょうど反復横跳びしている感じですね。
 また、Madeth gray'llが他のコテ系と一線を画している点として、過去のV系以外の映画、漫画、ゲーム、クラシック等の題材のオマージュや引用があったり、ブックレットに架空の小説の一節を載せるなど、メンバーの知識の広さが垣間見えることですね。これによって作品に奥深さが生まれているのではないかと。
 単純にポンコツ音源として一蹴するにはもったいない、不思議な魅力が詰まっていると思います。
ダメな人はとことん合わない、好きな人は死ぬほど好きな、パクチーみたいなアルバムですね。
 なぜか音源の価格が高騰していますが、全人類聴いてください。

 こんな感じでまた好きな音源を紹介していきたいですね。サボってたら僕のことを血染めの喜劇にしていただいても構いません。

また春に会いましょう。

【おすすめ楽曲】
6. Lucifer
 一生のお願いだから聴いてください。できれば「追憶」からの流れで聴いて欲しい〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜お願いしま〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜す!!!!!


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