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あなたにとっての旅とは

旅に病で夢は枯野をかけ廻る 

阿蘇山の景色

松尾芭蕉最期の俳句です。病に倒れても夢では野を駆け巡る、旅をし続け日本中を巡った芭蕉らしい句。私にとっての旅とは何であるかを今一度振り返ってみました。

旅の喜びを実感したのはいつの頃であったか。この瞬間とは言えませんが、一つ一つの経験が体に染み渡り、その刺激が忘れられずまた次なる新たなる場所へと誘われる。この繰り返しが蓄積し、旅は素晴らしいという思考が形成されました。

スペイン、トレド旧市街の景色

もう少し紐解くと、私は昔から読書が好きでした。本の中の世界はフィクション・ノンフィクション含め、夢の中であり別世界であると考えていました。何故ならば、実体験をしていないから。その非現実を疑似体験できるのが本の世界であり、
時に登場人物時に傍観者になれるのが本の世界。

ヴェルサイユ宮殿

いつしか幼い私は現実世界にどこかで見た読んだ"設定"を現実に落とし込んで遊ぶようになります。誰しもが行う所謂"ごっこ"遊びなのですが、水場では人魚となり、山では探検家になり、草原では見習いの魔女となり、などなど。自然の中で育まれたものでもありますが、そういった妄想を現実世界に投影していく内に、本の中の世界・景色を実際にこの足この身この眼で確かめたいという願望に変わっていきます。

ミュンヘン ノイシュヴァンシュタイン城

特に西洋への憧れが強かった私は、やっと大学時代に上の写真ノイシュヴァンシュタイン城を訪れるという夢を実現させます。狂王と呼ばれ謎の死を遂げた正にフィクションのかのような世界を現実にした私の中の代表作。またその彼も中世に過剰な憧れを抱き陶酔し作り上げたお城。しかし現実は正面入り口面が改装中でお城としての完璧な外観を見ることはできませんでした。(写真をよく見るとグレーのカバーが掛かっています)その後、パーフェクトなこのお城を見る為に3度この地を訪れます。

観たい触れたい!という欲望が解放された時の快感と喪失。探究心が更に掻き立てられます。訪れたその土地には現実と人間の生活、営みがあり、それはこの目と肌でしか感じられない空気。今ここに私が生きていて、彼らも生きていて、育んできた文明文化がある。全ては地球があり、宇宙あって、こうして悩み考えこの地にいる。という実感ができる。

これが私の旅する理由、好奇心と探究心です。
私の生まれた月日の5月16日は、松尾芭蕉が奥の細道に旅立った日として"旅の日"となっています。
これも運命かしらと考えたり。

あなたにとって旅とは?


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