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「勤怠漏れてますよ」連絡を(半)自動化した話

労務担当者なら誰もが経験のある「勤怠漏れてますよ」連絡を自動化したという、地味~な(だけど大事な)業務改善をした記録です。


労務担当者永遠の課題「勤怠漏れてますよ」連絡

労務担当者の大事な仕事のひとつに「毎月の勤怠締め」があります。
全従業員の勤怠を確定させるこの締め作業。当然ながら従業員がちゃんと勤怠打刻をしていないと勤怠を確定させられません。

例えば、従業員Aさんのある日の勤怠が「9:00出勤」だけしていて退勤打刻がされていなかったとすると、その日Aさんが何時間働いたのかが分からず、給与計算ができないのです。
そこで労務担当者はAさんに、「この日の勤怠が漏れているみたいなので直してくださいね」と連絡します。これがこの記事タイトルにある「勤怠漏れてますよ」連絡です。

こういう連絡、受け取ったことのある方も多いのでは?

この「勤怠漏れてますよ」連絡は労務担当者であれば誰しも経験したことがあるはずです。ヒトが打刻する以上、打刻漏れはあり得ますからねー。

「勤怠漏れてますよ」連絡は気が重い

さてこの「勤怠漏れてますよ」連絡。やらないと給与計算ができず給与を支払うことができませんから、とても大事な仕事といえます。
ですが、労務担当者にとってはとても気が重い仕事です。ありていに言えば気分がアガらない。気が重い理由は以下のとおり。

ただでさえ忙しい時期に時間がかかってめんどくさい

まずはシンプルに、「勤怠漏れてますよ」連絡をするのは時間がかかって面倒です。勤怠データをダウンロードし、エラー該当者と日付を特定し、エラー該当者に修正依頼の文面を作り、送信する。これを人数分行う必要があるわけです。

1人あたり2分かかるとしたら、エラー該当者が10人いれば20分。勤怠締めというタイムリミットが迫り忙しい時期なこともあり、できるだけ時間は取られたくない種類の仕事です。

気持ち的にしんどい

ほんの20分じゃん、と思われた方もいらっしゃると思います。でも、この「勤怠漏れてますよ」連絡は単に時間がかかること以上に、気持ち的にしんどい仕事なのが問題なのです。

「勤怠漏れてますよ」連絡は、その業務の性質上マイナスをゼロにするものであって何かを生み出すわけではありません。うまくできたとしてもプラスはなくゼロなので、やっていて気持ちがいいものではありません。毎月同じ人の勤怠が漏れていると「この人またか」と余計なことを思っちゃったり。

また、送る相手にも気を使ってしまいます。忙しいのは相手も同じなので、申し訳ないなと思いながら連絡することになります。勤怠勤怠と口うるさい奴だと思われてしまってないかな?とこれまた余計なことを考えちゃったり。

このように、面倒で時間もかかるし気が重いしで、「勤怠漏れてますよ」連絡は労務担当者にとってできればやりたくない種類の仕事なのです。

スプレッドシートとZapierで(半)自動化する

そんな気が重い仕事である「勤怠漏れてますよ」連絡。それならば自動化しよう!と思い、(半)自動化しました。

使ったツールはGoogleスプレッドシートとZapierです。
ちなみにZapier(ザピアー)というのは、サービスとサービスをつなげるタスク自動化ツールのことで、ノーコードで簡単に自動化アプリをつくることができます。参考:Zapier(ザピアー)とは?働き方改革を実現するiPaaS活用の極意

「勤怠漏れてますよ」連絡を自動化するために用意したものは、以下の2つ。

【勤怠漏れてますよ連絡を自動化するために用意したもの】
スプレッドシート:勤怠システムからエクスポートした1カ月分の勤怠データを貼り付けると、誰がいつ勤怠漏れしているかを抽出する数式を仕込んでおく
Zapier:スプレッドシートで抽出したデータをもとに、エラー該当者と労務担当者へチャットでDMを送る命令を作る

以下のスクショが実際のスプレッドシートです。
勤怠システムからエクスポートした1ヶ月分の全勤怠データを貼りつけると、誰がいつどんな勤怠エラーがあるかを抽出するよう数式を仕込んであります。

勤怠データを貼りつけると勤怠エラーが抽出されるようにしておく

上記のスプレッドシートで「誰が」「いつ」「どんな」勤怠エラーがあるかを抽出したら、そのシートをもとにZapierを使ってエラー該当者へDMする命令を仕込んでおきます。

Zapierでメッセージを送りやすいように同一人物複数の勤怠エラーを一行にまとめるよう数式を仕込んだり、Slackでメッセージを送れるようSlack IDを事前に突き合わせられるようにしておくのがポイントです。

これらを用意できれば後はカンタン。毎月の締め日が過ぎたら以下を実行するだけです。

  • 勤怠システムから月次勤怠データをエクスポート

  • 用意していたスプレッドシートに貼りつける

  • 抽出されたデータにZapierの送信フラグを立てる

すると、エラー該当者と労務担当者宛に「勤怠管理くん」というbotから以下のDMが送られてきます。

実際に送られるDM。エラー該当者はこれを見て修正する。

スムーズにいけば、1分くらいで勤怠エラー者全員にDMを送れます。エクスポートの待機時間をのぞけば、実際の作業時間は30秒もかからないでしょう。また、勤怠エラー者がどんなに増えても作業時間は一定なので、「今月はエラーが多いなあ」などとイライラすることもありません。

単なる時間削減以上の意味

以上、「勤怠漏れてますよ」連絡を(半)自動化した話をお送りしました。

業務時間の削減効果は1ヶ月に20-30分程度と微々たるものですが、「気が重い」「できればやりたくない」種類の仕事を削減できているのがポイントかなーと思います。ヒトがやりたくない仕事こそITの出番だと思うのです。

IT最大の長所は「文句を言わずにやってくれる」ことだと思っているので、気が進まない仕事はどんどんITで代替すると良いですよね。

freee TOGO World 2024で登壇します

さてさて。このnoteに書いた内容を、freeeさんのユーザーイベント「freee TOGO World 2024」で登壇発表します。

ひとりだけ明らかに世界観がちがう

もし会場でお会いしたら、気軽にお声がけください。最後までお読みいただきありがとうございました!!

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