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SNSから離れて山に登っていた

ここ最近SNSから離れて山に登っていた。修行僧のように山籠もりしていたわけではないのだが週末のたびに近くの山をフラフラッと登っていた。私の住む奈良盆地の周りは500m級の低山が多く、見渡せば西は生駒山、東は天理エリアの山をのぞむことができる。少し南に下れば金剛山・音羽山など1000m級の山があるが、基本的には森林限界を超えない鬱蒼とした木々の立ち並ぶ登山道だ。絶景は数えるほどしかないのが実情。しかし、登り始めると景色とは別の良さがあって癖になる。そんな低山登山ライフが始まった。

最近ネット発信もしてなかったし、近況報告も兼ねてそんな話をしたいと思う。

コロナ禍の間は家にこもってることが多かったが、外の世界を見ないと流石に気が滅入る。人に会わずに外を歩きたい。できれば健康的に運動量があって、ちょっといい景色が眺められたらそれで満足。そんな思いで始めたのが低山登山だ。

まず、山に登って初めに新鮮に感じたのが、携帯電話の電波が基本的には通じないことだ。しかもグーグルマップには出てこない道を歩くことになる。(グーグルマップは基本的には自動車が通れる道しか掲載されていない)
知らなかったが登山用の地図というものが世の中に存在して、それとスマホのGPSを頼りに歩くことから始めた。

ネットも通じない知らない道を歩く訳だから、道に迷わない為には事前に登山用の地図をスマホにダウンロードしておいて、オフラインでGPSを頼りに動くのが山登りの基本になる。YAMAPやヤマレコなどそれ専用のアプリがあることが心強かった。このアプリが無ければ紙のマップとコンパスだけで始めることになっただろうと思う。スマホも動作不良を起こすこともあるので最低限紙のマップとコンパスは必要だが、動作さえしていればほぼスマホのGPSで極端な道迷いは避けられる。このアドバンテージは大きかった。

しかし、事前に道を調べてみたところでその登山道が人の歩ける状態なのかどうかは行ってみないと分からないというのがマイナールートを辿る低山登山の特徴である。これはやってみて初っ端に衝撃を受けた出来事だった。


金剛山の伏見道(奈良)

これは金剛山の伏見道であるが、はっきり言って藪である。GPS無しで歩いたら即遭難してたと思う。

金剛山の郵便道(奈良)

対して一本北の道は郵便道と呼ばれこのような形で整備されている。この辺りは登山地図を眺めているだけでは分からない。地形図を見て想像することはできるが経験則が無い限りは予想が外れることも多くやはり行ってみないと分からない。


金剛山の郵便道(奈良)

先ほど整備されていると言った金剛山の郵便道だが、途中崖崩れがあって迂回路として梯子が掛かっている個所もあった。これも行ってみないと分からない。「急になんやねん」と思うがまだ梯子や鎖があるのは良心的であり、

六甲山の石切道(兵庫)

中には階段が崩れたまま放置されているので、身体一つでよじ登らないといけないこともある。六甲山のメジャールートでもこれである。本当に酷い話だ。

そんなわけでメジャーではないルートは大体ロクでもない。

龍王山 長岳寺ルート(奈良天理)

これは奈良県天理市の龍王山、長岳寺ルートだが低山登山の登山道は大抵こんなもんである。蛇も出てくるし、夏場ならブヨが周りを飛んでずっとまとわりつく。環境が良くない。

低山は生物が多い。急にスズメバチに追いかけられるし、イノシシに出くわすこともある。
こんなところを一人で歩いていて足でも挫いたら終わりである。助けを呼ぼうにも携帯電話の電波が届かないのだから。

しかし、険しいルートの良いところは道の先に大体不動明王が出迎えてくれるところにある。天理の龍王山に登った時、長岳寺の奥の院の不動明王を拝んだときは心動かされるものがあった。

長岳寺 奥の院


龍王山 不動明王


龍王山 不動明王

もしかしたら気軽にハイキング気分で登る山ではなかったのかもしれないと思ったりもしたが、私が選んだ道にはいつも不動明王が出迎えてくれているのでもうこれは呼ばれているものとして気にしないことにした。

龍王山 展望スポットからの眺め

そして数少ない見晴らしの良いスポットが視界に現れた時ちょっとだけ気分が良くなるのである。

あと消費カロリーが大きいのが登山の特徴。5~600m級の山でも1000kcal程度は消費するし、1000m級ならば2000kcalは消費する。つまりめっちゃ食べても痩せるのである。しかし、そのうちダイエットとかはどうでもよくなってくるのも登山の特徴だ。逆に途中でバテないように登山前に3kgくらい体重を増やしてから行こうかと変なことを考えだすから怖い。

服選びをお洒落ではなく、防御力で選び出したらもう駄目である。

話はそれたが低山登山は以上の理由で少ない見返りの割に遭難率が高い。

とまあ観光ルートに載ってないような登山道は自己責任でしか登れないという事実をつらつらと書いたわけだが、対してメジャースポットは家族で登るとソロでは味わえない良さがある。具体的には公共の交通機関から近かったり、ロープウェイがあるような山である。

若草山からの眺め


葛城山 山頂付近

奈良北部から中部にかけて視界が広い山は若草山と葛城山くらいだ。この辺りは誰かと登るのがいい。歩行時間も1時間ちょっとでそれなりに楽しめる。
金剛山も大阪の千早赤阪村の方から登ると子供でも登頂可能だ。(奈良側から登ると往復で7時間くらい掛かるのでこちらは体力の自信がある物好きな人が挑戦すれば良いと思う)

危険な山は無理のない範囲、つまりは遭難しない程度に自己責任で開拓してほしい。ちょっとの健康目的の為に命を引き換えにするのは割に合わないと思う。適度に運動負荷があって見晴らしがいいのが登山の魅力だが下手を打つといきなり終わりを迎えてしまうのが山という自然の脅威である。

以上、近況報告でした。



ここのコメントを目にしてくれてるってことは最後まで読んでくれたってことですよね、きっと。 とっても嬉しいし ありがたいことだなー