見出し画像

野草食日記 362 山三つ葉と大根皮のきんぴら

20代の頃、初めて買った料理本は「向田邦子の手料理」でした。

表紙は切れてるし、中もシミだらけ
でも捨てられない大切な本

ここに載っている料理を参考に、我が家風に発展し、定番料理となっていったものもあります。
私は今でもこの本が大好き。
なぜかというと、ただのレシピ集ではなく、料理の背景にあるストーリーが紹介されていて、向田さんの人となりを感じることができるから。

いくつかあるストーリーのひとつに「どうしても大根のしっぽが捨てられぬ」というものがあります。
向田さんも妹の和子さんも、しっぽが残ったら「生しょうゆに漬けて一夜漬けにしとこう」と思うのだそうです。

私はしっぽは筋張っていて苦手、もっぱら堆肥用ボックスに直行なのですが、大根の皮に関しては、どうしても捨てられない。
「なんだか貧乏くさくて、しんみりして、うしろめたくていい」
その言葉がぴったりだなといつも思います。

冬の晴れ間が続く日には、残った皮を太めの千切りにして一度蒸してからザルに乗せて乾燥させ、切り干し大根にします。
一度蒸すと、とっても甘くなり格段に美味しくなるのです。

昨日は鶏手羽元でスープを作ろうと、鎌倉産の大根を1本丸々買ってきました。
大きめのぶつ切りにして、スープの鍋へ入れた後に残ったのは、もちろん皮。
しかも明日からの天気は曇りや雨ですっきりしなさそう。
湿気の高い時に切り干し大根を作ると、なかなか乾かず、しまいには赤みがかったかびのようなものが発生してしまうのです。

そこで千切りにした皮をきんぴらにすることにしました。
米油で炒め、砂糖、酒、醤油で味付け。
いつもはここに胡麻を振っておしまいですが、ちょうど庭で柔らかな葉をあちこちに出している、三つ葉を刻んで香りを足してみます。
三つ葉を足すだけで、ちょっと気の利いた雰囲気が醸し出されるのが良き良き。

明日の朝のおかずなのでWECKに入れて保存

三つ葉をきんぴらに、という発想もどこかで見て知っていたのだけど、ぱらぱらとめくっていたら向田さんの本にこれも載っていたのを発見しました。

三つ葉だけで作れるほど、沢山収穫できるようになるといいなぁ


山三つ葉って固いでしょ?!という人もいるけれど、出始めの時期に摘めば柔らかくて、香りが良くて本当に美味しいんですよね。

真ん中の黄緑色をした葉が柔らかい

あっという間に5月。
季節はずんずん進んでいきます。
今朝は山椒の木に、すでに実がなっているのを見つけてしまいました。

野草の勉強や観察会のために使いたいと思います。