観察する芸術・コンタクトシートの楽しさ
はじめに
遡ること一ヶ月ほど前の話です。「永遠のソール・ライター展」が、拡散を続けるコロナウイルスの影響を受けて早期閉場してしまいました。見れなかった方はとても残念な思いでしょう。自分ももう一度に行きたいなと思っていたところだったので非常に落胆しましたけれど、このご時世じゃ仕方ないのかなと思います(関西での展示も中止になったとか。。)
この記事は展示内にあった「コンタクトシート」がとても面白かったので、それをきっかけに書いています。
本来であれば「ソール・ライター展に行ったらガラスケースに入ってるコンタクトシートも見逃さないでね!」とお伝えするつもりだったのですが。。いつか大手を振って写真展に行けるようになったときの為の参考として読んでいってみてください。
コンタクトシートとは
シンプルに言うなら「フィルムなどを一覧にして、ひと目でわかるようにしたもの。インデックス。」作品ではないので基本的には世に出回らない代物です。
現代の写真愛好家的にわかりやすく言うのであれば、Lightroomの一覧表示画面。iPhoneのカメラロールなんかもある意味そうかもしれません。先の展示ではフィルム1ロール36.7カットぶんまるまる並べられたものが複数展示されていました。
↓こんな感じの見たことありますよね。
このコンタクトシートには役割があって、それぞれのカットの横に○や✕、あるいは数字などの文字を添えて、選別作業(レーティング)をする目的があります。
これらは、本人にとっては撮影の全体を見て選別する作業にすぎないです。でも第三者がこれを見ると「最初のカット」から「何を察知して」「どのように動き」「どれを最終的に選択したか」が感じ取れ、撮影方法の参考になりえるわけです。
Photography is an art of observation. ー写真は観察する芸術だー
というのはマグナムの写真家、エリオット・アーウィットの言葉。
本人が言及までしてくれるケースは多くないと思いますが、それでも「何を良しとして、何を嫌ったか」を察することは自分の撮影にも大きく参考になるものだと考えています。
想像するのがめちゃくちゃ楽しい
自分の写真をレーティングしている時はあんなに嫌気が指すのに、他人のコンタクトシートはどうしてこんなに面白いのでしょう(←膨大な量のセレクトに辟易してたり…やっぱり撮ってるときが一番楽しいのです)
特にフィルムの場合、今のデジタルカメラみたいに途中で削除なんてこともできません。撮影の一連のプロセスをああだこうだと思いを巡らせながらガラスケースのまでで20分くらい腕組んで見てたのは、あの時間では自分しかいなかったと思います(笑)
余談ですが、マグナムからコンタクトシートに関する本が出ていて、自分は立ち読み程度しかできていませんけど、それでも十分面白かったです。こちらは本人が言及してくれているタイプのもので(エリオット・アーウィットのブルドッグの写真は、借りたカメラで撮ったとか等々)もう絶版だと思うのでデッドストックや中古でいつか欲しいと思っている本の一つです。
プロファイリングしてみよう
最後に、お時間ある方はちょっと遊んでみましょう。
「コンタクトシート/ 高橋直哉の場合」と称し、Lightroomの一覧表示をサンプルにして「このとき、どういった思考で一連の写真が撮られたか」考えてみてください。
なお、解説部分は有料にしておこうと思います。
各々の考察で留めておくのもよし。当事者が言及する内容に踏み込むもよし、です(例えその先にある思考が凡庸であったとしても)もし気になる方がおりましたら、コーヒー1杯付き合う気持ちで200円出してみて頂ければと。
あと「こう考察した」とか感想めいたものがあれば、コメントやツイッターなんかでお気軽に教えてもらえれば嬉しいです。
ではでは、ここから自分の例です。
OKカットとコンタクトシート
機材:GR
撮影時間:13時44分10秒〜13時44分35秒
R0000952のファイルが2つあるのは、複製してカラーとモノクロの二種類のパターンを試した為です。
解説
なんとなくイメージできましたかね。ここから撮影思考について色々綴っていきます。
▼1カット目(R0000946)
昼食から戻るときに「ボーダーの日傘にボーダーTシャツのセットアップ」という、自分では到底予想だにできないポテンシャルの女性が視界に入り、これは横断歩道とセットで撮りたいと思い、構図の取りやすいポジションをゲットして撮った一枚。
作品性は皆無で「AFの駆動位置を被写体に合わす為に撮った」ものです。
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