町田市立国際版画美術館(東京都町田市・町田駅)
町田駅から北側にある芹ヶ谷公園。こちらは駅から10分程度の立地にありながら崖線に位置しており敷地内には日本庭園も備えているなど割と広大な公園である。この公園の隅に一際おおきな建物として構えているのが町田市立国際版画美術館である。こちらの公園はアートなどのカルチャー発信の場として整備が進められており、いずれはこの敷地内に町田私立国際工芸美術館を建て、版画美術館とつなげる計画となっているという。
国際版画美術館には1階にある市民ギャラリーを除けば大きく分けて3つの展示室がある。L字型の大きな階段を上った2階が中央を吹き抜けにした回廊型のフロアとなっており、企画展示室1と企画展示室2、それと常設展示室はそれぞれつながっている。企画展示室1は次回の小中学校作品展の準備中だったため閉室中で、今回は目的である企画展示室2から見学。
企画展示室2では国際版画美術館の新収蔵作品を展示している。必ずしも版画というわけでもなく、ゆかりの作家から寄贈されたものもある。東海道の大津宿周辺で売られていた大津絵の画家である石井佛心の作品に始まり、洋画家の岸田劉生も作品もある。これらは漫画家の田河水泡から寄贈されたもの。他にも版画では川瀬巴水や前川千帆、浜口陽三や瑛九に畦地梅太郎といった画家の作品が新たに収められている。さらに注目なのは草間彌生の作品だろうか。なぜかぼちゃをモチーフにした作品が多いかというと実家がかぼちゃを作っている農家だったというのもあるという。それに和田誠の作品も『マザー・グース』や『二人のシネマ』からの作品が展示されている。
隣接する常設展示室ではミニ企画展として「パリのモダン・ライフ」として1900年代の版画や雑誌・ポスターのデザインが紹介されている。アルフォンス・ミュシャをはじめ、テオフィル・アレクサンドル・スランタン、キース・ファン・ドンゲン、アルベール・ギョームといった当時に活躍した画家の作品を展示している。今から100年以上も前の作品にも関わらずその作品はどれも精巧で、中には油彩かと思えるような細かい色調の作品もある。版画ということは量産もできるわけで、このクオリティの作品が大量に作られていたのかと思うと驚きが止まらない。
トイレは和式と洋式。1階では実際に申し込めば版画の体験ができる他、展示されていない作品を映像で公開している映像室もある。映像室は見学者がゼロで独占状態。日本の版画を中心とした紹介をしており、葛飾北斎や歌川国芳などの作品の紹介をしている。隠れた名所と言えるかもしれない。
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