BaseBallBear「DIARY KEY」

「表紙がBUMP OF CHICKENだから」当時そんなザ・高校生な理由で買った音楽雑誌に載っていたのがBaseBallBearだった。

「ただ感情を叫ぶような季節は彼らはもう卒業ずみだ」うろ覚えだけれど、そんな感じの言葉が書いてあった記憶がある。
気になって、メジャーデビュー後の初フルアルバム「C」を聴いた。
1曲目「CRAZY FOR YOUの季節」のイントロが流れた瞬間に「うわ!好き!」と心を掴まれた。
「海みたいな彼女が笑った」「一口齧ったレモン」「街と海の狭間で指で作った銃を誰かが撃つ」などなど印象的な歌詞、爽やかさの隙間から覗かせるドロっとした愛や恋のドラマチックさ。とにかく衝撃的だった。
次のアルバム「十七歳」「(WHAT IS THE)LOVE &POP?」は正直当初はそんなに熱心に聴いていた印象はなかった。
銀魂などの人気アニメのタイアップ曲もあり、世間的な知名度も上がった時期である。
今でも「Stairway Generation」を聴けば「あ~銀魂の」となる人も多いだろう。

自分がひたすら「C」を愛聴していた高校時代が終わり、社会人として働き始めた時期にBaseBallBearが二枚同時発売した3.5アルバム「CYPRESS GIRLS」「DETECTIVE BOYS」が大きな影響を与える。

それまでの青春時代を生きる少年少女、恋、甘酸っぱさみたいな爽やかな青さではなく、どこか不思議な雰囲気があった。人気アニメのタイアップやMステへの出演で世間知名度も上がり、BaseBallBearはネクストステージに突入した。このアルバムは初のセルフプロデュースアルバムであり、BaseBallBearのフロントマンである小出祐介の意思がより色濃く血肉となってアルバムが出来ている印象がある。
YouTubeには当時、予告CMのような感じでアルバムの制作風景、演奏風景が撮影された映像が公開されていた。
これがBaseBallBearのバンドの生の肉体を観たような感覚があり、ここで一気にBaseBallBearの好き度が加速した。

そのタイミングでシングル曲「yoakemae」「short hair」「Tabibito In The Dark/スローモーションをもう一度part.2」がそれぞれリリースされる。このシングルCDには「僕の目(仮)」と銘打たれたツアードキュメント映像が収録されている。このドキュメント映像もまた好きでリアルな熱量と表情のBaseBallBearに夢中になった。

そしてアルバム「新呼吸」が完成。アルバム「新呼吸」と同時発売されたビデオクリップ集「映像版バンドBについて第二巻」もそうだけど、この頃のBaseBallBearがとにかく自分には強く刺さった。
慣れない新たな環境で働き始め、自分自身の将来や現在に悩みながら生活する毎日。どことなく青春時代が終わり、真夜中の暗闇を抜けて次の朝へと繋げるようなそんなグラデーション的な希望を描いたこのアルバムにとにかく救われた。
ビデオクリップ集に収録されている「kodokuno synthesizer」のMVも好きだった。小出祐介さんが街の中を歩くだけなのだが日常のなんでもない風景がドラマチックだと気付かせてくれるような感覚がある。
歌詞にも注目したい。
「何も変わらない部屋の中 何も起きない夢をみてる」
「真夜中 ど真ん中 部屋の中 ひとりきり 窓の外 家の外 僕の外が別世界に鳴る」青春時代の甘酸っぱさやときめきではなく、青春時代が終わりリアルな現実を生きるようなフレーズが多くなる。ちなみにこの当時、初めてBaseBallBearのライブにも行った。
その後の作品「初恋」や「THE CUT」も岡村靖幸やRHYMESTERとコラボしておりそのかっこよさの化学反応っぷりにもふるえた。そしてアルバム「二十九歳」があり、BaseBallBearは「C2」を世に放つ。

青春時代を終えて年齢も重ね、大人になって、現実社会を生きる僕らに向けて鳴らしているようなリアルでドラマチックな楽曲たち。
とにかくもう夢中になった。「文化祭の夜」なんてストレートな曲もある。「C2」以降から、またBaseBallBearは青春というテーマをまた描いていってるような気がする。
青春時代をもう一度見つめなおし、新たな価値観やアングルから描くことで違う味わいが出てるような魅力がある。

まさかのメンバーが脱退し3人組となったBaseBallBearはアルバム「光源」「ポラリス」「C3」をリリースしていく。

そして最新アルバム「DIARY KEY」が最近発表された。バンドは20周年に突入、人生の多感な時期を支えてくれたのはBaseBallBearだったし多分これからもそうだ。フロントマンの小出祐介さんの映画などのカルチャーに造詣が深いところもすごい憧れている。

「DIARY KEY」相変わらず良かった。心にすっとしみこむような感覚は健在。「プールサイダー」「SYUUU」などのギターロックのカッコよさ。「生活PRISM」のラップの切れ味と描写力。

「C」「C2」「C3」みたく価値観や視点を変えて、この現実社会をサバイブしていくしかない。

青春時代のど真ん中から抜け出し、あらゆる角度から日常生活の感情の機敏やドラマチックさを丁寧に切り取っていくその手腕が好きだ。

#DIARYKEY
#BaseBallBear

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