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無職になった

 ※タイトルの通りである

 すでに社会の崖っぷちになけなしの握力でしがみついていたようなものなので、手を離すことができてどこかホッとしている。どこまで落ちるのかは分からない。

 「お前に社会人は無理だろうな」と学生の頃に親や友人からよく言われていたことを思い出す。人からいちいち言われなくても自身の社会不適合者っぷりには自覚があった。とにかく競争社会に適応できない。人の道を邪魔してまでお金やら幸せやらが欲しいとも思わない。仕事をこなしていくうえで上手く立ち回ったり、都合のいい抜け道を探せるほど器用でもない。性格診断に手を出そうものなら「芸術家に多いタイプの性格です」などと遠回しに社会への参加を拒否られる。小説家を目指してはいるが芸術関連のセンスは皆無。要は夢見るポンコツということだ。そんなわけで仕事を辞めて社会からはじき出されてしまうのは当然と言えば当然であるように思う。やめさせられた訳ではないのがせめてもの救い。遅かれ早かれこうなるだろうとは思ってたけど。むしろ頑張って二年も働いたのだから誉めてほしいくらいである。

 退職に至るまでに数か月の休職期間があったので、それなりに休めはした。が、会社に籍が残っているという状態はどこか落ち着かず、退職届が正式に受理されてやっと心が少しだけ軽くなった。一人で生きていくことができないくせに、コミュニティに所属することが性に合っていないらしい。なんてめんどくさい生き物なのだろうか。

 とにかく、これで一旦正社員という肩書とはお別れである。物欲なし、友達少ない、趣味は読書と散歩という金のかからなさもあって貯金だけは無駄にある。すぐに野垂れ死ぬということもない(と思う)ので、しばらくはひっそりのんびり生きていきたい。それ以上のことは何も望まない。

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