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「民主党」按分票400万で「有権者の思い反映されず」の犯人

「有権者の思い反映されず」とはどういうことだろうか?

按分票の意味が分かってない人が多い

得票数に応じて按分(案分)される」「得票率に応じて比例配分される

という説明で正しいのですが、どの媒体もこうした表現で説明している一方、それを「単純に2分の1票として両党に振り分ける」という誤った理解をしている人が相当数存在します。

票数を例示すると正しくは以下の通りです。

・A党(略称X)の比例票:200
・B党(略称X)の比例票:50
・総有効投票数:250

この場合に被っている「略称X」が25票だったとして、得票数に応じて按分するというのは、【A党が20票、B党が5票】に振り分けるという意味。

計算式:25×200(A党)÷250(総有効投票数)=20

計算式:25×50(B党)÷250(総有効投票数)=5

この場合、1票の案分票があったらA党が0.8票、B党が0.2票を得るという説明もできることになります。

国民民主党と立憲民主党の得票数

案分された後の数字かは分かりませんが、朝日新聞HPによると南関東ブロックの立憲民主党の得票数は1,651,562、国民民主党は384,481でした。

実に4倍の開き。

正式名称が書かれた票が仮に単純に160万と40万だったとして、「民主党」1票は立憲民主党が0.8、国民民主党が0.2に振り分けられることになります。

なお、比例区と小選挙区に重複立候補した場合に比例議席を獲得するためには小選挙区で一定の得票数が必要です。

今回、「れいわ新選組」は東海ブロックで1議席を確保できる票を得ましたが、比例名簿に登載された2人の候補者が、いずれも重複立候補した小選挙区で有効投票の10%を得票できなかったことから名簿から削除され、本来得るはずだった1議席は公明党が獲得することとなりました。

2019年参院選では「りっけん」だった立憲民主党

このように、「民主党」と書かれた場合には、立憲民主党の方に多く配分されます。

しかも、立憲民主党は2019年の参議院通常選挙の際には「りっけん」の略称で届出をしていました。

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2019年当時の立憲民主党が引用している朝日新聞の記事は安倍総理(当時)が立憲民主党について「民主党」と呼んでいることを「間違い連発」(政党名をコロコロ変える(民主党⇒民進党⇒立憲民主党)ことを揶揄しているという意味でかっこ書)などとして非難する記述でしたが、立憲民主党は2017年の衆院総選挙時は「民主党」の略称で届け出ていました。

立憲民主党2017

魚拓はこちら

なお、国民民主党は2019年参院選から「民主党」が略称でした。

立憲民主党2019

参院選岡山県HP

それが今回の2021年の衆院総選挙では国民民主党が従前から届け出ていた「民主党」の名称を使用する方針のところに立憲側が被せてきた、というのが実情です。

2020年9月に現行の体制になった際に「民主党」の略称で届け出を出し、昨年12月には名簿上に記載されました。それ以前の立憲民主党は一般に旧・立憲民主党と呼ばれ、以下の系図があります。

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現在の立憲民主党は、ここからさらに旧・国民民主党の一部議員や無所属議員などが合流してできた政党です。

仮に「有権者の思い反映されず」としたら犯人は立憲民主党

案分票は得票数に比例して配分されるので、1票を平等に扱うとすれば「有権者の思い反映されず」というのは成立しません。

しかし、実際には「民主党」と記入した人の意識では立憲民主党と国民民主党のいずれかに投票する意思の方が多い、ということはあり得る。

投票時のことを思い浮かべて欲しいのですが、比例代表の政党を投票所の記入台で記入する際には眼の前に貼られている政党名の票を見ながら書くと思います。

この際に自分があらかじめ投票しようとした政党名の正式名称をみつけ、その下に書いてある略称を書くという事が多いと思います。

他方で、あらかじめこれを書くと決めていた人も居ます。

他の政党と名称が被っているということを認識しつつ「民主党」とした方はどれほどいたでしょうか。

今回、国民民主党は従前の「民主党」から変えてません。

他方、立憲民主党は2019年参院選時に「りっけん」としながら今回は「民主党」にしています。

したがって、投票所の記入台で正式名称の下の略称を見ながら記入したという人以外では、「民主党」と記入した人の中で国民民主党に入れる意思の者が多くなることが予想されます。

それが総得票数に応じた按分にどれほど影響したのかは測定のしようが無いので分かりませんが、仮に今回の件で「有権者の思い反映されず」という実態があったとしたら、【犯人は立憲民主党】ということになります。

公職選挙法が悪い?制度変更で対応可能だが

冒頭で紹介した毎日新聞の記事は何を言いたいのかよくわかりませんが、立憲民主党が略称を被せてきた事実を載せていません。

公職選挙法で同じ略称名にできないというルールにしろと言いたげですが…

仮にそうしたとしましょう。

「自民党」で届け出た政党があったらどうでしょうか?

「NHKなんちゃら」の政党なんてコロコロ変えてるでしょう。

「自然民権党」とかにして略称を自民党にすれば可能でしょう。

この場合にどうやって「自民党」の略称を独占的に使用できる政党を決めるのでしょうか?

①両党の協議
②くじ引き
③従前届け出ていた政党が優先

①はあり得ない。最初からケンカを売ってきてるんで。

②はどうか。自民党からしたらずっと利用してきた略称を突然奪われたということになるでしょう。また、選挙の度に略称名がコロコロ変わることになって、有権者の投票意思を正確に反映させることを妨害することになります。

とすると、③を採用するしかないんじゃないでしょうか?

※あくまで同じ略称名にできないというルールを作った場合の想定です。

その観点から今回の「民主党」を見ると、2019年参院選で国民民主党は「民衆党」、立憲民主党は「りっけん」と届け出ていたのですから、上記ルールを仮に採用したとすると2021年衆院選では立憲民主党の方が「民主党」を使えなくなるということです。

いずれにしても立憲民主党が「有権者の思い反映されず」の犯人ということ。

実際には投票所の記入台に貼られている表を見て記入している人が多いでしょうから、得票数に応じた按分ルールによって大枠の民意を反映した配分になっていると思われますが。

なので、毎日新聞の記事は何が言いたいのか意味不明だということです。

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