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それでも子供が居たほうが良い理由

私には子供が居ない。
正確に言うと、子供を作りたくないから作らなかったのだ。

上記記事にも書いた通り、私は今後も子供を設けるつもりはない。
そんな人間でもやはり、子供は居たほうが良いと考えている。
今日はその理由について書いてみたい。



少子化が止められない理由

今更改まって言うことでもないが、日本は少子化の一途を辿っている。

NHK 1からわかる!少子化問題より

少子化が進んだ原因については政府や学術機関などが長年に渡って調査・研究を続けており、とっくに理由は判明している。
では何故有効な対策が打ち出せないかというと、少子化というのは複雑な要因が絡み合った末に生じた現象であり、当然の流れだからだ。

たとえば第2次ベビーブームの最中だった1974年。
この年に開催された日本人口会議では「子供は2人まで」という趣旨の大会宣言が採択されている。

もちろん法的な拘束力はないものの、世の中に「子供は2人までで良い」という空気を作ったのは事実だ。
今振り返ってみればこの採択は間違いだったかもしれないが、当時はそれが正しいと信じられていたのだから過去を責めても仕方ない。

そうこうしている内に女性の社会進出・恋愛結婚の浸透・価値観の多様化などが進み、あれよあれよという間に少子化へと転じていった。
そして現在では子供を持つことはリスクという意見さえ出始めている。



子供を持つデメリット

以前「20代の考え方を知る」という目的でマッチングアプリをやっていた頃にケビンくんという27歳の青年と知り合った。
彼に結婚観について尋ねた時のこと。

「結婚はしたいけど子供はあんまり欲しくないですね」
「どうして?」
「だってこれからも絶対税金上がるじゃないですか。給料がちゃんと増えるかどうかも分からないし、育てる自信ないですよ」

私は彼の意見に少子化の本質を見たような気がした。
世の中が好景気に沸いているのであれば明るい未来も描ける。
しかし現在の日本は株価頼りであり、個人で毎月コツコツと長期投資を続けることが最もローリスク・ハイリターン(※投資は自己責任でお願いします)という空気だ。

子供を満足に育て上げられるかどうかも分からないのに自分勝手に作ることはできない。
彼の考え方は至極真っ当で正論だ。
「子供を作らない理由」が正論になってしまう世の中。
これで子供が増えるわけがない。



子育てをリスクと感じさせる人達

SNSが世の中に浸透してから随分と経つ。
個人で情報を共有したり新しい価値観を知ることが以前よりも容易となり、間違いなく有用な存在だ。
一方で、無用な対立を生み出している側面も。

昨今ネットニュースでも取り沙汰されているように、出産・子育てをする人に対して個人的な感情をぶつけてくる人は一定数存在する。
「混雑する電車にベビーカー乗せるな」「産休に当てつけみたいなクッキー配るな」など、個人的には「心狭すぎだろ…」と思ってしまうような意見を平気で書く人がいるのだ。

ひとつ話題が上がる度に批判派と擁護派がSNS上でくだらない激しい対立を繰り広げる。
本来なら育児は社会が支えるべきものなのに、完全に個人の責任になってしまっているのだ。
「社会に迷惑をかけない範囲で子育てしてくださいね」という考え方は異常としか言いようがない。

こうした現状を普段から目にしている若い女子が「子供を持つとこんなに叩かれるのか…」と子育てをリスクと考えたとしても不思議はないだろう。
社会が望んで少子化へと突き進んでいるようにも見える。



それでも子供が居たほうがいい理由

さて本題だ。
ご説明してきた通り、現在の日本は子育てに対して寛容性が圧倒的に足りず、また先行きの不透明さから非常に子供を持ちにくい世の中となっている。
それでも子供が居たほうがいいと考える理由は、生への執着が変わるからだ。

私は快楽主義者なので基本的に自分のために生きている。
これまでやりたいことをやってきたおかげで自分の人生に後悔というものがあまりない。
もしも今、大病が見つかったとしても「これが寿命」と考え、積極的な治療は行わないだろう。

しかし子供が居たならば。
「幼子を遺しては逝けない」と必死に治療に取り組むだろうし、そもそも病気に罹らないよう健康的な生活を心がけるはずだ。

子供が居るのと居ないのとでは人生に対する取り組み方がまるで違うと私は考える。
もちろん子供が居なくても人それぞれに生きがいというものはあるだろう。
ただ、命という生きがいはおそらくこの世で最も重い。

単純に「子供が居るから頑張れる・踏みとどまれる」こともあるが、何よりも子供は次世代へ命を繋いでくれる。
子供を作るという行為は「種の保存」という生物としての本能であり、そこにデメリットだのリスクだのという考え方を持ち込むこと自体がナンセンスなのだ。

「だからみんな気にせず子供を作りましょうね」なんていうまとめ方にする気はない。
正直、もう少子化は止められないと思っているし私自身も少子化に加担している張本人だ。

本当なら子供を持ちたいと思っている人が躊躇してしまうような世の中を、ただ憂いている。
もっと子供に、人に、寛容な社会になる日はもう来ないかもしれない。
けれどせめて個人として。
私は子供に、人に、寛容な人間でありたいと思う。


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