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1つの漫画にいただいた4つの講評、その相違点と共通点を自己分析してみる

最近の私のnoteを読んでくださっている方は、この話を聞くのはもう100回めくらいかと思いますが、いま私はマンガチャレンジに取り組んでおります。具体的には商業漫画家をめざしていて、「デビューに通じることならなんでもやるぜ!2024」を絶賛開催中です。

その一環として、描いたマンガを編集部の目にとまるかもしれないサイトに投稿したり、オンライン持ち込みしたり、新人賞に応募したりしています。昨年末から5本の読み切りマンガ(30ページ前後)を、各出版社めがけて撃ち込んだ結果、2本に講評をいただきました(3本は空振り)。

そのうちの1本に合計4社からアドバイスを得たのですが、それぞれまったくと言っていいほど内容が違っていて興味深かったので、自分の記録用にその内容を記載します。

完全に私のための記事ですが、ご興味ある方の参考になれば嬉しいです。

講評いただいたマンガはこれです。人間とヴァンパイアの友愛話。


1、A社

Aと匿名にしてありますが、この講評について描いた涙のエッセイ漫画をnoteにも公開しており、そこではばっちり出版社名を明記しているため、隠す意味はまったくないがとりあえずA社としておきます。

絵はクセがなく、手慣れていて、見やすい画面構成ができています。ですが、ヴァンパイアがいる時代、ヨーロッパの舞台が、絵でもセリフでもしっかり表現できていないため、絵空事のように感じました。

またキャラクターに親しみやすさはあるのですが、浮世離れした雰囲気で、マルクとレオの交流の日々に現実味が感じられず、全体的にフワフワした印象に。ふたりの心の絆が感じられなかったせいか、ラストの結末に納得感がなかったです。

漫画という空想の世界を現実感があり、自分事のように読者に感じさせられる作品作りを期待します。

(私が勝手につけたレート)
・絵:⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
・キャラクター:⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
・構成:⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
・ストーリー:⭐︎⭐︎
・読後感:⭐︎

(自己分析)
絵柄と画面構成はこれでよいが、ストーリーに難あり。全体的に軽い。世界観の描き込み不足。読者を物語に引き込む力が弱い。ラストまでぐいぐい読ませる努力を。

2、B社

オンラインでの対面で30分のアドバイスをいただきました。20〜40代女性向けの漫画誌です。私の印象に残った言葉をまとめます。

すでに完成されたマンガという印象。最後まで読みやすかった。

ヴァンパイアを題材にしている作品は多いが、このマンガには作者の独自の視点が感じられて、オリジナリティが出せている。キャラクター同士の軽妙な会話のやりとりも楽しかった。

女性誌に掲載されるには、絵の線が太すぎる。また、やわらかさや華やかさにも欠ける。

お仕事や恋愛などを扱った日常マンガと違い、ファンタジー作品は読者から遠い。冒頭でうまく誘導してあげる工夫が必要(たとえば主人公の女性が不思議な世界に迷い込んだ設定など)。

(私が勝手につけたレート)
・絵:⭐︎⭐︎
・キャラクター:⭐︎⭐︎⭐︎
・構成:⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
・ストーリー:⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
・読後感:⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

(自己分析)
読めるマンガにはなっているが、絵に工夫が必要。演出に華やかさをプラスして、読者をうっとりさせる意識を。ファンタジーは難しいので、より一層の努力を要す。


3、C社

オンライン持ち込みに対してメールでいただいた講評です。少年誌のイメージが強いけど、青年誌や女性誌も出版しています。

設定が良くできていて、ストーリーの展開も面白かったです。切ない話なのですが、「秘密の美容液を使っているから」「そんなことされたら誰でも死ぬよね」等、少し笑いも交えているので、重くなりすぎずに楽しく読めました。ラストも良かったです。

掴みのある設定で作品の世界観に入りやすかったです。起承転結のメリハリもついていて、物語としてしっかり成立していたと思います。これからも、どうやったらストーリーを通じて作品のテーマをより表現できるか、伝えられるかを意識して頑張ってください。

絵にしっかり個性がある点、丁寧に描かれている点は好印象ですが、デッサン力や漫画的な表現力で、あと少し未熟な部分があります。特に体のデッサンで気になる箇所がありました。画力を向上させるためには、作品の模写をする、苦手意識のある部分をとことん練習するなど努力が必要です。また、画面が単調にならないようにキャラクターを様々なアングルから描いてみる、登場人物の感情をダイレクトに伝えるために表情にバリエーションをつける等、意識してみてください。画力が上がると、さらに作品の説得力が増すと思います。

(私が勝手につけたレート)
・絵:⭐︎
・キャラクター:⭐︎⭐︎⭐︎
・構成:⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
・ストーリー:⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
・読後感:⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

(自己分析)
構成やストーリーは全体的によい。ひとつの物語として最初から最後まで楽しめる。絵に未熟さがあるので、もっと努力が必要。キャラクターを魅力的に見せるマンガ的効果についても勉強すべし。


4、D社

最後は少年誌です。noteのマンガ企画で得た講評なので、またしても名前を伏せる必要はないですが、ひとまずD社で。

物語冒頭に紡がれていた少しシュールな会話がとても記憶に残りました。また後半では序盤の少し柔和な雰囲気とは打って変わり、「愛」をテーマとした重厚なドラマも演出できていたと思います。

一方で後半は少しテーマに寄りすぎた印象で、展開が静かに感じました。起承転結の「転」の部分を一番盛り上がる形にするため、今後は動きのある展開を後半に持ってこれるように意識してみてください。

私が勝手につけたレート)
・絵柄:ー
・キャラクター:⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
・構成:⭐︎⭐︎⭐︎
・ストーリー:⭐︎⭐︎⭐︎
・読後感:⭐︎⭐︎⭐︎

(自己分析)
登場人物の会話が印象に残った。テーマに沿ったドラマの演出もできている。後半が盛り上がりに欠けるので、読者の気持ちがぐっと盛り上がるよう工夫を。


以上、4社の編集部からいただいた講評と、自分なりの解釈を紹介しました。みなさんはどのような印象を持たれましたか?

私はここまで書いてきて、いますぐ布団にくるまって3日ほど眠りたいです。現実はキビシイ・・・

・・・

それぞれの講評内容にはけっこうバラつきがあったと私は感じていて、絵はいいよというところもあれば、デッサンから勉強せよというところもあり、ストーリーについても起承転結ばっちりOKと褒めてくれる人もいれば、ラスト全然納得いかねえという人もいた。

うん、そうだよね。「編集部からの講評」って書くとその出版社全体の総意、みたいに捉えがちだけど、ジャッジしたりアドバイスをくれたりするのは「人」なんだよね。

めちゃくちゃ売れてるマンガを全国民が好きかと言えばそうでないように、まったく同じマンガを読んでも感じることは人それぞれなんだ。ということが今回よくわかりました。

ただひとつ、4社の講評に共通して言えること。それは、私のマンガには「何かひとつ物足りない箇所がある」です。絵か、展開か、演出か、世界観か、それが何かは人によって違うけど、とにかく何か足りない。

たとえば椅子からひっくり返るほどめちゃくちゃおもしろい話だったら、絵が多少下手でも「ぜひうちで描きませんか?」ってなると思うんですよね。実際にそういうマンガが巷にはあふれている。そうならないってことは、やはり私のマンガにはまだ、商業で描けるほどの魅力が足りていないのです。

そこを打破するにはどうすればいいか。

とにかく描くしかあるめえよ。

描いて、見せる。この繰り返しで成長できると信じています。

「ムーンリバー」より


このままで全然よくないので、いただいたアドバイスを胸に、描き続けます。

最後まで読んでくださってありがとうございます。あなたにいいことありますように。