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もうすぐ北京五輪

 冬季オリンピックと言えば フィギュアスケート、スピードスケート、スキージャンプなどでしょうか。

 個人的に注目しているのは カーリング です。

 今でこそ注目される種目の一つとなっていますが、以前はマイナーで且つローカルなスポーツでしたね。

 注目される切っ掛けとなったのは、トリノ五輪(2006年)からと言っていいと思います。
男子と女子に分かれて争われる競技(4人制)とミックスダブルスという男女混合の競技(2人制)があります。
※因みに、MD(ミックスダブルス)が五輪の正式種目となったのは、平昌五輪(2018年)からです。

 トリノ五輪開幕前には、カーリングはさほど注目をされていませんでした。テレビ中継も カーリングを除いて ハイビジョン、ワイド画面での放映だったという扱いです。
 それでも女子チーム(チーム青森)に関しては、若しかしたら入賞?という実力を持っていたので、密かに期待されていた種目と言っていいと思います。※第27回世界女子カーリング選手権 9位

 トリノ五輪での結果は準決勝へ進出できず7位入賞という成績でしたが、それでもチームが帰国してからメディアの露出が増え、一躍人気者になったのをよく憶えています。

 なぜ、そんなに注目されたのか?といえば選手の活躍があったからと言うのが一番です。
 なんと言っても、強豪のカナダやイギリスを破った事が大きいでしょう。
日本のカーリング女子が、世界を相手に強豪チームと互角に戦える事を示したのは快挙と言っていいです。

 他の要因を挙げれば、トリノ五輪での日本のメダルは1個という結果となり、フィギュアの荒川静香の他にメディアで扱うネタが乏しかったから。というのも有るでしょうね(大人の事情)

 トリノ五輪直後は、カーリング教室が連日満員というブームにまでなっていましたし、「カー娘」なんて言葉も生まれました。
「シムソンズ」というタイトルで映画化もされてましたね。

※シムソンズは長野五輪の日本代表チームで、林弓枝・小野寺歩が所属し、その後、両名はトリノ五輪代表のチーム青森の中心メンバー。

とまあ、ここまでは一般的な見方?まとめ?です。


 ここからは、一般的ではない、個人的な視点で書かせてもらいますと。このブームの影に実は、インターネットがあったという点です。

 私はカーリングという競技そのものは詳しくは知りませんでした。
初めて見たのは子供の頃です。

 何やら重たそうな丸いものを、氷の上に滑らせて、ホウキのようなものを使って氷をゴシゴシやってる映像。
恐らくニュースか何かの短い15秒くらいの映像です。
私が見たのは、屋外の、多分凍った川か何かの上でやってる映像でした。
何の目的で、何をやっているのかサッパリわからない映像ですが、一度見ただけで強烈に印象に残る映像でした。

 何をやっているかわからないけど、氷に書かれた丸い的のようなものを目掛けて、丸っこい物体を滑らせているのは何となくですが分かりました。
その 的へ入れれば勝ち みたいな遊びなんだろうと。
とてもスポーツには見えませんでした。やっているのも小学生くらいの子供たちでしたので、雪国特有の遊びなんだろう。くらいの認識でした(石蹴りみたいな?)

 そんな認識だったので、五輪の種目!?と聞いてビックリ。どれどれ、どんなもんかと野次馬的好奇心でテレビにかじりつき、とは言え、つまらなければ寝てしまおうと軽い気持ちで見始めました。

 カーリングは日本ではマイナースポーツであるという前提だったのでしょう。解説の男性がルールから戦略の定石まで、初歩的な事を説明しながらの中継で「なるほど」と関心しながら見入りました。

氷の上の的のような円は「ハウス」
投げているのは天然の石で出来ていて「ストーン」と呼ばれる
掛け声の「ヤップ ヤップ」はブラシで擦れ!という指示
「ウォー ウォー」は擦るな!
「クリン クリン」は軽く擦れ(ゴミやほこりを取る程度)
ハウスの真ん中に近い順にNo1ストーン、No2ストーン
No1を取ったチームに点が入る
相手チームの投げた石より中にある自チームのストーンが得点になる
先行、後攻に分かれて投げる、最後に投げる事になる後攻が有利
得点すると次は不利な先行となる

などの基本説明の解説があり、そこには緻密な計算と読みがあり、又、狙い通りストーンを投げる技術もあり、スイープ(ブラシで擦る事)によって軌道をコントロールする事もできる。
氷にはコンディションがあり、投げてみるまで分からない上、試合中にも刻々と変化していくなど、氷上のチェスという異名に相応しい、その奥の深さに感心し、中継にのめり込みました。お陰で寝不足で仕事に行っていたという思い出が(笑)

ただ、それだけでは無かったんです。

当時「2ちゃんねる」と呼ばれる巨大掲示板がありまして(今は4ちゃんねる?)そこのカーリング女子の実況板が中継の裏で大盛り上がりでした。

日本代表である「チーム青森」の当時のメンバーは
・目黒萌絵(リード)
・本橋麻里(セカンド)
・林弓枝(サード)
・小野寺歩(スキップ)
という構成。


実況板にはカーリングに詳しい人もいて、テレビの解説では伝えきれない知られざるマニアな情報をカキコするツワモノも。
テレビだけでは到底成し得ない、深い競技観戦を享受する事ができました。

 しかも、このマリリンという愛称を、NHKのアナウンサーまで放送で使うという事態に発展して、実況板はお祭り状態でした。
これぞ、まさにインタラクティブです。

 カーリング中継の面白さは、競技中の選手の会話がマイクで聴けるという点も大きいです。他の競技にはない特徴と言えるでしょう。
初めて見た時はこれも新鮮な驚きでした。

 会話の内容は作戦や戦術、戦略に関わる事もありますので、それが相手チームにも筒抜けです。でもこの事は、そういった騙し撃ちみたいな事が不要な競技だと言う事もできます。(フェイントとか無いと思います)
 タイムを宣言して、コーチにアドバイスを受ける時ですらマイクは声を拾います。

 お互いの狙いは定石で概ね分かるので、隠す必要がそもそもないですし、どんな狙いかよりも、狙い通りに行くかどうかの結果こそが重要です。
 作戦よりも、氷の状態やその変化を、メンバーの調子、ストーンの癖、そういったものを試合中に絶えず情報収集する事が重要な要素であるというのも面白いです。

 戦略の基本は情報収集ですね。(いきなり高尚)

 タイムと言えばモグモグタイムという休憩(?)もあります。これは食事してもOKな時間なので、フルーツなどをモグモグ食べる時間のことですが、この時の他愛のない、半ばプライベートな会話すらマイクで聴けるなんて、こんな競技他にあります?

 因みにこの「モグモグタイム」という名称も2チャンネル発祥です。


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