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新世代VRゴーグル分類マップ&解説【PICO4・Quest Pro・VIVE XR Elite・MeganeX】

現在「メタバース」ブームを受けてぞくぞくと新世代VRゴーグルが登場していますが「多すぎて違いが全然わからない」と言う声を多く頂きます! また、メディアも全く方向性の違う機種を値段だけでヘンテコな比較してしまっていたり、大きな混乱が見られます。そこで、VRヘビーユーザーで『メタバース進化論(技術評論社)』の著者である私「バーチャル美少女ねむ」の「独断と偏見」に基づき、超絶分かりやすい「分類マップ」を作成しました! 解像度の比較表と各機種の詳しい解説もこの記事にまとめたので、ぜひ購入や理解の参考になればと思います。

※仕様や価格は2023/1/17本日確認時点のものです。2020年から本日までに発売・発表された最新機種に着目してまとめています。
※なお「6DoF+PCVR対応のフルのVR体験」ができる高性能VRゴーグルのみをまとめており、スマホVRなどには一切触れていません。
※1/19 追記:本記事はネットの旬な情報を紹介するWebメディア「ねとらぼ」様・「Yaboo!ニュース」様にも転載して頂きました!

新世代VRゴーグル分類マップ

まず価格帯によって、リーズナブルな価格の「低価格普及機」とヘビーユーザーやビジネス用途の「ハイエンド機」に分けました。さらにハイエンド機は進化のトレンドが大きく2つあると感じているため、「(A) スタンドアロンMR機」と「(B) ライトハウス高解像度VR機」の2つに更に分類してみました。こうすることで、数ある機種の進化の方向性の違いが理解しやすくなるのではないでしょうか(分類名は私が勝手に命名していますw)。

新世代VRゴーグル分類マップ

※1/23 お詫びと訂正:図中右下で「MeganeX」は「スタンドアロン運用も可」と記載してしまっていましたが「ライトハウス環境ナシでも運用可」が正しいです。お詫びして訂正いたします(ご指摘ありがとうございます)。

新世代VRゴーグル解像度マップ

それぞれの機種の片眼の「解像度」をまとめた比較表がこちらです。現在「低価格普及機」でも最新機種では両眼併せて約「4K」前後の高解像度が主流になっています。これは民生用のVRゴーグルが初めて発売された2016年の「VR元年」の初代VIVE CEが「フルHD」程度だったことと比べると信じられない程の高画質で、ここ数年でのVRゴーグルの劇的な進化がよくわかります。

新世代VRゴーグル解像度マップ ※数字は片眼のもの

さらに現在「ライトハウス高解像度VR機」では約「5K」もの超高解像度になっています。なお、VRゴーグルの映像性能は、解像度だけでなく視野角やリフレッシュレート等さまざまな要素が影響してくるので、この表はあくまでひとつの目安だと思ってください。真の性能は被ってみないとわからない。

ここからは、各最新機種の詳しい解説をしていきます。

1.「低価格普及機」

Quest 2 (2020)

「低価格普及機」の代表格は2020年に登場したMeta「Quest 2」です。「6DoF+PCVR対応のフルのVR体験」が可能な4K解像度のマシンでありながら、それまでの常識を根底から覆す超低価格でVRを大きく普及させ、2022年の「メタバース」ブームの大きな原動力になりました。Metaは出荷台数を公開していませんが、2022年6月時点でなんと「1,500万台」という推計もあります。

Quest 2 (2020)

価格 : ¥59,400 (税込) ※128GBモデル
解像度 : 1,830 x 1,920 px (片目) 約4K
重量 : 約503g

Quest 2 (2020)

2023年の後半に待望の後継機(Quest 3?)が登場する予定です。

PICO 4 (2022)

そんなQuest 2一強だったVRゴーグル界に、2022年に彗星のごとく登場して大きな話題になったのが、TikTok を運営する中国ByteDance社の「PICO 4」です。Quest 2より高解像度で低価格、さらにフルカラーパススルー対応という洒落にならないマシンです。

PICO 4 (2022)

価格 : ¥49,000 (税込) ※128GBモデル
解像度 : 2,160 x 2,160 px (片目) 約4K
重量 : 約589g ※MoguLive計測
フルカラーパススルー対応

PICO 4 (2022)

2. ハイエンド(A)「スタンドアロンMR機」

Quest Pro (2022)

ハイエンド機のうち、単独で動作するスタンドアロン性と、物理現実と仮想現実(VR)を融合する「複合現実(MR)」体験や高解像度フルカラーパススルー機能を重視しているのが「スタンドアロンMR機」です。これらはエンタメだけでなくビジネスの利用も想定されており、各種業務用アプリケーションとセットで提供されています。代表格は2022年に発売されて話題となったMeta「Quest Pro」です。Quest Proはなんと「アイトラ」と「顔トラ」を標準搭載しています。

Quest Pro (2022)

価格 : ¥226,800 (税込)
解像度 : 1,800 x 1,920 px (片目) 約4K
重量 : 約722g
アイトラ & 顔トラを標準搭載
セルフトラッキングコントローラー搭載

Quest Pro (2022)

「アイトラ(=アイ・トラッキング)」や「顔トラ(フェイシャル・トラッキング)」というのは、眼の動きや顔・口の動きをリアルタイムにアバターに反映して、表現力や没入感を劇的に高める技術です。VIVEシリーズでは、私が普段使っている「VIVE Pro Eye」がアイトラを標準搭載しており、オプションの「フェイシャルトラッカー」で顔トラも導入可能になっています。

スタンドアロン機の弱点は手足の動きを検出するトラッキング性能が低いことなのですが、Quest Proの「Pro コントローラー」は「セルフトラッキング」と言って、コントローラーにチップセットとカメラ3台を内蔵するという訳の分からない力技によって高いトラッキング性能を実現しています。要は、このコントローラー一つ一つが自分自身の位置計測をするための小さなパソコンみたいなものなのです。

セルフトラッキング対応Quest Proコントローラー

(余談ですが、将来的にセルフトラッキングに対応したトラッカーなどが登場すると、後述するライトハウス環境がなくても高精度なフルトラなどができるようになるかもしれませんね)

VIVE XR Elite (2023/2~発売予定)

VIVEが最近2023/1のCESで発表して話題になった新機種がHTC「VIVE XR Elite」です。こちらはバッテリーを外した「メガネモード」では273gという超軽量で、さらにこの路線としてはかなりの低価格を実現して話題となりました。また、焦点調整により眼鏡ナシで利用ができる機能も搭載しています。有線・無線でのPCVRに公式対応しています。

VIVE XR Elite (2023/2~発売予定)

価格 : ¥179,000 (税込)
解像度 : 1,920 x 1,920 px (片目) 約4K
重量 : 約625g → バッテリーを外した「メガネモード」だと 273g
焦点調整で眼鏡ナシ利用可

VIVE XR Elite (2023/2~発売予定)

後頭部のバッテリーを外すと超軽量の「メガネモード」になります。

VIVE XR Eliteの「メガネモード」

3. ハイエンド(B)「ライトハウス高解像度VR機」

VIVE Pro 2 (2021)

ハイエンド機のうち、ライトハウスによる高精度なトラッキング性能と超高解像度によるVRへの高い没入性を重視しているのが「ライトハウス高解像度VR機」です。代表格は2021年に発売されたHTC「VIVE Pro 2」です。VIVE Pro 2は5Kの超高解像度だけでなく、視野角120度・リフレッシュレート120Hzと、あらゆる面で高い映像性能を実現しています。VR空間でオブジェクトにギリギリまで近づいても荒が目立たないレベルで、細かい文字も読みやすかったりと、かなり物理現実に近いレベルの精細感が体験できます (PCの要求スペックも上がりますが) 。

VIVE Pro 2 (2021)

価格 : ¥103,400 (税込) ※VRゴーグル単体
解像度 : 2,448 x 2448 px (片目) 約5K
重量 : 約830g

VIVE Pro 2 (2021)

「ライトハウス」というのは、部屋に「ベースステーション」と呼ばれるセンサーを設置して部屋全体でトラッキングを行う規格のことです。複数のオブジェクトを同時に、かつ非常に高い精度でトラッキングすることができ、後述する「フルトラ」なども可能になります。高性能のモーションキャプチャーが個人の自宅で実現できてしまうというのは、まさに革命です。これなくして現代の個人VTuberシーンは語れないでしょう。導入時に設置の手間があるのと簡単に持ち運べないという欠点はありますが、私などは自室でしか使わないので全く問題になりません。

ライトハウスによるトラッキング

「フルトラ(=フルボディ・トラッキング)」とは、こうしたトラッキング技術によって全身の身体の動きをアバターと連動させることによって、高い表現力と没入感を実現する技術のことです。一見面倒なようですが、本当に没入感が全然変わって来ます。私などは「毎日フルトラでメタバースに入らないと物足りない」レベルになってしまいました。最近はライトハウス環境がなくても実現できる安価で手軽なフルトラ機器も多数発売されていますが、やはり毎日使うものなので精度や安定性を考えると、現時点ではやはりライトハウスが最強だと個人的には考えています。

通常の3点トラッキング・6点フルトラ・10点フルトラ

ちなみに、私が普段使っている「VIVE Pro Eye」は同じProシリーズで、高解像度の代わりに「顔トラ」を標準搭載したもう一つのハイエンドモデルです(HTC NIPPON児島社長、 早く全部入りの「VIVE Pro 2 Eye」を出しましょう!)。被ったまま飲み物を飲んだりするのには十分過ぎるパススルー性能がありますし、私はぶっちゃけ「VRをやっている最中に現実なんて見たくない」と思っているのであまり「MR機能」に魅力を感じておらず、どうせボイチェンと有線で繋がっているので「スタンドアロン性」も全く求めておらず、こちらのライトハウス路線がもっと盛り上がることを個人的に期待しています(非常に偏った意見)。

MeganeX (2023/3~4発売予定)

つい先日2023/1に発表され大きな注目を集めたのがShiftall「MeganeX」です。5.2Kの超々高解像度、有機ELによる高コントラスト、385gの超軽量という超絶スペックのモンスターマシンとなっています。ライトハウスに対応するためのアダプターを外すと320gとさらに軽量となり、ライトハウス環境が無くても運用が可能となっています。

MeganeX (2023/3~4発売予定)

予定価格 : ¥249,900 (税込) ※VRゴーグル単体、通常版
解像度 : 2,560 x 2,560 px (片目) 約5.2K 有機EL
重量 : 約385g → ライトハウスアダプターを外すと 320g

MeganeX (2023/3~4発売予定)

まさしく長時間利用するVRヘビーユーザー待望の宇宙最強VRゴーグルなのですが、唯一残念なのが価格です。この性能で当初発表していた「10万円未満」で発売されていたら、VR界の天地が引っくり返っていたはずなのですが… 部材価格高騰の煽りを受け、残念ながら「約25万円」と大幅な価格アップを余儀なくされました(これはVRゴーグル単体での価格で、当然ながらライトハウスで利用するためには、ベースステーションやコントローラーなども別途必要になってきます)。

同時に発表されたライトハウス対応の衝撃の新コントローラー「Flip VR」がこちらです。手の甲に装着して「握らない」で利用できる前代未聞のコントローラーとなっており、ボタン類が「フリップ」して移動し装着したままキーボードや楽器の操作・飲食が可能と、VRヘビーユーザーの需要をがっつり掴んだ素敵仕様となっています。

Flip VR (2023年内発売予定)

このように片手を振るだけで変形できます。トンファーみたいでかっこいい!

ただし構造上、Flip VRは高機能な「指トラ」は搭載していません。「指トラ(=フィンガー・トラッキング)」というのは、指一本一本の指の動きをアバターに反映する技術のことです。表現力と没入感が(以下略)ですので、私は指トラ性能を重視して「Indexコントローラー」を使っています。ライトハウス規格のVRゴーグルと自由に組み合わせて使うことができます。

以上、私の独断と偏見による分類マップに基づき、新世代のVRゴーグルや関連技術を紹介しました。最新VRゴーグルがいかに盛り上がっているか、どういった方向に進化しつつあるのか、感じて頂けたのではないでしょうか。購入や理解の参考になれば幸いです。

メタバースで日々生活するために必要なVRゴーグルは電子機器というよりは服やアクセサリーに近いもの。カタログスペックだけで判断が付かないことも多いので、購入検討中の方はレンタルで遊んで実際に使用感を試してみるというのも一手です。

2023年は「Quest 3」をはじめ、まだまだ新製品が続々と登場しそうな気配です。ますます広がっていくVRの世界がとても楽しみですね!


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参考図書:『メタバース進化論(技術評論社)』

バーチャル美少女ねむ『メタバース進化論(技術評論社)』は、メタバースに興味を持った幅広い読者の方を対象に、現在のメタバースの真の姿、そしてその革命性をわかりやすく伝える「メタバース解説書の決定版」です。自身も黎明期のメタバースで暮らす"メタバース原住民"の一人である著者・VTuber「バーチャル美少女ねむ」が、自分自身の体験、数多くのユーザーへのインタビュー、そして全世界のユーザー1,200名を分析した大規模調査「ソーシャルVR国勢調査」を元にメタバースのリアルを明らかにする、世界初の「仮想世界のルポルタージュ」です。

この記事で紹介したVRゴーグルやトラッキングなどのVR(バーチャルリアリティ)技術についても、より詳しく紹介しています。

1/16には「ITエンジニア本大賞」でなんと「ベスト3」に選出されました! 2/9に行われるプレゼン大会と決選投票で大賞が決定されますので、応援よろしくお願いします。


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