ありがとうの記憶

https://twitter.com/hikegami2/status/677353011060994048


このツイートを見かけたときに、ふと思い出した。


それはまさしく「ありがとう」に類似する記憶なのだけど…
(べつに今すぐ死ぬわけじゃないと思うが書いておく)


今の仕事になる前は、県立病院で食器洗いをしていた。
食器洗いだけでなくて、食堂の掃除や病棟への配膳もするのだけど。


もちろん、上の階で働いている医者や看護婦さんと違って
こちらはごく単なる、低賃金パート。


ある日いつものように早番で、朝の7時ぐらいに食事を配膳していたら
広間の椅子に腰かけているお婆さんに言われた。

「私達のために、こんな朝早くから、すみませんねぇ…」

建前とか演技とかじゃなくて、本当に気弱そうに、
心底そう言ってるように見えた。
実際、病で気持ちが弱っているからかもしれないけれど。


これを聞いた時、いろんな意味で衝撃を受けて揺らいだ。


だって実の所、身も蓋もないけれど、脳内では、
「あなたのためにやっていたわけではない」のだもの。
むしろ自分が生きるためにする、仕方のない、それほど好きでもない業種。
ただ、これを選んだのは確か、自分も幼い頃に長期入院したことがあるから
そこと同じ病院の片隅で働けば 少しは恩返しになるかな、という程度の
動機はあったのは覚えているけど。
(同僚との関係に苦して1年しか続かなかったのがハイライトだけども。)

何にせよ、この病気のお婆さんがいたからこそ
たいして学歴も資格も持っていない私が働き場を得ていたのだから、
むしろ現実的には、感謝するべき立場はこちらのほうなのに、
そういう人間が見境なく感謝された(謝られた)ということに
よくわからない複雑な気持ちになったあの日は、確かに忘れられない。


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