見出し画像

風俗嬢との恋⑫

彼女から

『もうだめかもしれない』と連絡が来ていた。

一瞬にして直ぐに察した。
お仕事のことなんだろうなって。

すぐに電話してあげるのが良いのか。
LINEを返すべきなのか。
返さない方がいいのか。
と少し考えたが勝手に手が動いておりLINEで
返信をした。

行きたいとーっても美味しい
お店があるから誰か一緒に行ってくれないかな。

って、お店なんてどこも知らなかった。
大丈夫?とか、どうしたの?って言いたくなかった。
もうだめかもしれないの一言に全てが込められていたかもしれない。
だから聞けなかった。

少し経って彼女から返信がきた。

『今すぐに会いたい。何も言わず抱きしめて欲しい。』

って。

いいよって返した。
普段から明るく、人を元気にしてくれそうな笑顔
今にも私みたいな女はいないからしっかり見とけよと
言わんばかりのない態度や口調、前にLINEで大丈夫って?
聞いた時は、何が?って言ってくる彼女。
優しくて、人の思いや気持ちに沢山寄り添える彼女

もっともっと奥底にずっと溜め込んでいた何かが
溢れ出したと思った。

『仕事後1時間で終わるんだけど待たせてごめんね』

うん大丈夫だよって返して、仕事を終わらせようと
パソコンに明日の日程を打ち込んだり、簡単な事務作業を
して会社を出て彼女のところに向かった。

彼女のお店から少し離れた場所に車を停めて鍵をして
少しでも早くと思って待ち合わせの場所に向かった。

向かう直前に『もうすぐお店でます』って来てたらから
ちょうどいいくらいかなって思いながら、歩いていたら
『つきました』って来た。

待ち合わせの場所は前回と同じところで
直ぐに彼女を見つけた。
沢山の荷物を持ちながら直ぐにこっちに気づいて
くれたのか、今にも限界そうな顔で笑ってくれた。

『急にごめんね。来てくれてありがとう』って
言った顔には涙は無かった。
直ぐに、お腹空いてる?って聞いたら。
『今日もペコペコ』ですって返ってきた。

週末の繁華街はとても煌びやかで人も沢山。
仕事終わりの彼女を思ってこっちに歩こうって言って車の
方まで向かった。

『どこに向かうの私をさらって襲う気でしょ?』
って冗談混じりに言っていたので、そうかもねって言ったら
クスっと笑っていた。

『そんなことできないくせに』って言っていた表情は
今でも忘れない。

停めていた車が見えて彼女が
『ああ車でどっかいくのね?』って言ったので
なんか軽くすぐ食べれるとこいこって言ったら
『そうしよ』って返ってきた。


精算機で精算して車に乗り込むと


『手繋いでいいですか?』って言った。
何も言わず手を差し出すとこっちを見てニコっと
笑いながら『ありがとう』って言ってくれた。


彼女の手を握ると
さっきまでお店で仕事してきたあとなんだなとも思わず
そっと前を見てお疲れさまって言った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?