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戦争の下、ポジティブを見出す努力を

ウクライナとロシアの抗争 ー

戦争と言うと、すぐマイナス面のみに集中しがちですが、戦争が一つの経緯となって将来のプラスの土壌に変化する事は、日本自体が証明しています

戦前のインフラが徹底的に破壊される事で、戦後復興の際に新しいテクノロジーが導入できるなど、日本の経済発展に大いに貢献した側面は、賢い人ほど見逃しはしないでしょう。むしろ、戦争の悲惨さを知った世代こそ、戦争後の国家興隆を求めるものだし、次世代の子ども達が裕福に生きてるのを喜ぶもの。感情論だけに走って、戦争の悲惨さに嘆いてばかりいるヒキコモリ世界観は救われないと知っている(特にユーゴスラビア世代)。

ウクライナ首都キーフ/キエフのマイダン広場(撮影日:2016. 08. 24)

… 「戦争は悲惨なもの」と言うのは簡単ですが、そこしか見ないで正義を振りかざす生き方は非常にネガティブ。人生はクソしかないと言ってるようなものです。けど、世界にいる本当の偉人は、もっと素晴らしい視点で世界をインタプリットしています。そういった思考を得るには読書は欠かせないですが、残念ながら、ヨーロッパでも日本でも、本当に開眼できてる人は稀。日々の努力とは、今のような時代にこそ反映される。叡智のない者こそ悲惨。

では、一つの逸話を紹介しましょう。

昔、僕が読んだイタリア人の小説にあったものですが、主人公がヒロインに奴隷貿易の話をしているのです。彼女に対して、

「どうやったら、奴隷化された黒人をより人道的に救済するか?」

と主人公は問いかけます。彼女はもちろん答えられません。そこで主人公が出した回答はこれです。

『奴隷に値段をつけて、商品にする』

… 荒唐無稽(こうとうむけい)? 非人道的?

ヒロイン自身も主人公を非難しましたが、彼の説明はこうです。

「確かに非人道的に見えるかも知れないが、奴隷貿易が行われていた時は、奴隷に人権などなく、タダで運用するもんだから、奴隷の管理なんて搬送中、無慈悲なもんだった。当然、そちらに対して糾弾が行くのは理解できるが、もし、君が黒人を救いたいと願って、冷酷なボスに『奴隷貿易をビジネス化して、もっとカネを効率よく儲けよう! そのために、奴隷は大事に扱わないといけないね。なぜなら、商品だから!』と説得できたら、どうだろう? 奴隷に値段をつけて、商品にすると聞けば、奴隷売買を肯定するのかと感情論になるが、結果を考慮すれば、絶対権力の時代の下、より多くの命が救われるんだよ。」

… 発想の転換。目先の事にとらわれず、本当の正義のためにトリックを使って目的を達成するスマートさ。今のSNS時代に最も欠けてる事。

権利だの自由だの主張するばかりで、肝心の目的が何一つ得られてない生き方。SNSは情報が多い割に、人を単細胞かつ狭量にする不思議。

そう言ったイタリア人作家の様に、叡智と正義で生きてる人の視点と、自分本位でしか生きてない大衆では、世界を見る視野が全然違うワケです。

結果だけ見れば、奴隷貿易でアメリカ大陸に無理矢理運ばれたアフリカ人は後に、腐敗だらけのアフリカ諸国よりはるかにマシな生活を手に入れているのです。今だけ見れば、悲惨に映るかも知れない現実でも、将来には幸せの布石になっているかもしれない。

僕は黒人に出会うごとに、この話をよくしてきたものです。

『奴隷貿易があったから、救われた命と後の世代がある。だから、目先の事だけ見て、物事の善悪を測るな。』

虹(筆者による撮影日:2022. 08. 13)

… 僕はこの話を、特に黒人以外の信仰者にも聞かせました。近視眼的な世界解釈は絶望しかありません。ウクライナの戦争も然り。

正直に言うと、日本のSNSやメディアで展開されてる論理って、残念ながら、深くないんですよ。それでは、この世界はネガティブにしか考えられない。単純にそういう視点で生きてても、浮かばれないでしょうに。

僕が日本に帰国して思うに、読書天国の日本の割には思考が広くない事ですよ。よく損得勘定とか言ってますけど、僕からすれば、今の日本人って、メリット・デメリットの弊害を考えて行動してない。余計な事を喋り過ぎるクセに、他人に対してはアレコレ裁いている。間違いなく、損な性格だなと思いますよ。

ともかく、本題に戻すと、ウクライナで「侵略」が発生して、マイナス面ばかり強調するのは、実は当事者のウクライナ人民(ロシア系ウクライナ国籍者含む)も聴きたくないのです。ウクライナ歴6年の僕だから、そこはよく解ってますよ。だって、腐敗と貧困で嫌な事ばかりの世界ですよ! そこでいかにポジティブな面を見い出してウクライナ人民に希望を与えるかとか、そういうアプローチを取らないと、結局は「戦争屋の片棒担いでるヤツだろ、コイツも?」と疑われるのが関の山。それくらい、不誠実な自称ウクライナ支持者が多いのです。

国家・政権の支持不支持だけに酔って、現地の人に何もせず、対立する意見の人に害を成す政治かぶれの連中は、ウクライナでも嫌われています。実際、ウクライナの生活は悪くなる一方ですから。

(筆者撮影日:2016. 05. 18)

… 繰り返します。

A:国家としてのウクライナを支持する
B:ウクライナ現政権を支持する
C:ウクライナの地元民を支持する

これらは同じではないのです。安倍政権=日本の全てではないし、岸田政権とて同じです。岸田政権支持者が安倍政権を支持しなくとも、反日本と言われたらおかしいでしょう。逆に自分の利益だけ気にする日本の上流国民は、日本の腐敗政権を支持してはいても、日本国民は支持してません。このケースはどうですか?

つまり、AとBとCを一緒くたにしてくる奴は、頭の悪い人間は除いて、何らかの裏があるって事です。

ウクライナ国内でほとんど何もしてこない自称ウクライナ信者が、ウクライナ国外で水を得た魚の如く、荒らし活動を大っぴらに行なうのと一緒。そういう輩は、ウクライナ人民にとって、どうポジティブに生きるか、考えてませんから。

ウクライナの都市オデーサ/オデッサでのハイパーインフレ(筆者による撮影日:2017. 12. 25?)

… では、我々はどんなポジティブな面を語れるでしょう? そこで、僕なりの視点を並べてみたいと思います。

1.戦後復興時に、最新のテクノロジーを導入できる

先ほど述べた事ですが、ウクライナやルーマニア等の東欧国家は旧世界大戦時代のインフラを未だに使い回しているので、それが経済発展の足枷になってるのは当然。まだ遠い話かも知れませんが、未来を考慮すると、古い設備が戦争で滅んでしまうのは決して悪い話ではありません。

2.ソ連時代の建築物の崩壊

僕自身は反ソ連ではないですが、ウクライナ人にとっては、ソ連による建造物やシステムが消えてくれる事を喜ばしく思えるでしょう。ウクライナの自立・独立を考慮するなら、それは精神的にラクになる結果と言えるでしょうから。気持ちの問題かも知れませんが、国家のモチベーションには重要です。

3.霊的影響力の除去

過去の物品には、霊的パワーが宿りやすいもの。特に発展途上国では、地元民が怪奇現象を起こす木や岩を恐れてますが、近年、スマホ・ケータイの普及で目覚めた人達がブルドーザーで無理やり破壊したりする『革命』が起こっています。ウクライナの戦争で、そういった災いを水面下でひっそり引き起こしている物品・公共物が破壊されていく事で、ウクライナにある貧困と争いの呪いが無くなっていくかもしれません。

4.腐敗行政・権力者の死去ないし引退

ウクライナを永らく支配してた腐敗体制は、戦争で否応なしに崩壊させられてます。将来を見越すと、それはそれで良い事でしょう。

5.現地ウクライナ国籍者の亡命

極貧国家ウクライナに苦しめられた地元のウクライナ人やロシア人は、自分の行きたい方へ逃亡し、国連/EU/ロシア連邦が難民援助してくれます。極貧生活を強いられるよりは、遥かにマシです。

6.世界はウクライナ人民を見放してないという新しい現実

過去には、現ウクライナの土地で何度も飢餓・戦争があり、現地人は幾度も見殺しにされましたが、今は違います。超田舎のウクライナでは外からの情報を知らされずに、時間が止まったような生活が展開されてましたが、今回の紛争を通じて、過去の追体験の中、『世界は変わった! 人類も捨てたもんじゃない!』と再認識できる事でしょう。戦争が起こったからこそ、なのです。これこそ、本物のポジティブ・シンキング!

7.新しい人との出会い

5と6の延長上で、外国に直接、足を踏み入れて、違う環境で生活する事は、閉じられてきたウクライナ人民(ロシア系ウクライナ国籍者含む)の思考を解放してくれるでしょう。環境が変わる事は重要です。

… どうですか? これだけでも、相当にポジティブな側面がありますね! 戦争と言うと、すぐに偽善者や活動家が声を大にして反対を叫びますが、大局的に見ると、地元民にとって大きな利点もあるのです。

欧米人や日本人のエセ人道家が主張する『国境を侵害してはいけない』なんて薄っぺらい正義は、実は民衆を苦しめる独裁者にとって都合良い理論なのは、想像したでしょうか?

戦争で腐敗国家から救済される人もいるのです。侵略者の方が地元民を丁重に扱ってくれたなんて事は、歴史上、よくある事です。今のアメリカや国連の謳う平和主義がいかに危険か、考えてみたらどうですか?

貧困で苦しむ地元民に『国境を侵害してはいけないから、侵略国家は悪だ』と安易に説く事は、その地元民に

「お前の生活なんてどうでもいいから、その独裁者の主権の下で、黙って永遠に生きてくれや」

って、言ってるようなものです。

はっきり言います。あなた達の信じる、そういう正義は単なる偽善です。

本当に普通のウクライナ人ないしロシア人を救済すると言うなら、そういう思考が如何に邪悪か、一度考えてみて下さい。

ウクライナの都市キーフ/キエフ郊外にて(筆者による撮影日:2014. 05. 09)


PS:僕の視点からしたら、ほとんどの日本人のウクライナ論は上から目線です。

平和な世界で、現地の状況も知らない人間が傲慢に持ち出す正義。それが地元民を余計に苦しめるとか、想像力がない。そういうエリート主義ほど危険なものはない。

… なに? 俺の意見が気に入らない?

じゃあ、そんなに他人のウクライナ支持/ロシア支持に怒り狂ってるなら、もうウクライナなりロシアなりに行って、戦争に従事すればいいじゃないですか? 各個人の意見の保持が保障された民主主義国家の日本で、何を他人の誠実な意見にムカついてるのでしょうか? そんなに自分の信念が正義で重要なら、自ら戦場に行って、自分の支持する勢力のために戦えばいい。それが本来の解決法でしょうが。

俺はウクライナかロシアかのニ極論に反対だし、現地人を知ってるので、戦争を煽るだけの正邪論には興味がないんだよ。

俺は戦争は煽らないけど、そこで得られるポジティブな部分を人々に説いてる。そうすれば、戦争の当事者が心の平安と明日への希望を得られるように。戦争を肯定も否定もしないけど、必然で動く何かを見い出してくれたら、人は不必要に他者を敵対せずに生きられると確信してる。

ウクライナ=政権=人民
ロシア=政権=人民

こういう奴はマジで○んでくれ。人間はお前らのチェスの駒じゃないんだよ。普通のウクライナ人の命を気遣う人をロシアの裏切り者呼ばわりしたりとか、その超絶な上から目線が気に入らん。そう言われたくないなら、テメーで戦場に行って、筋通してくれ。

俺はロシアがロシアらしく、ウクライナはウクライナで自治的に独立して、他国の戦争屋とかの干渉なしに自由に価値観を保てる世界が正しいと思ってるから。

ウクライナか!ロシアか!という、戦争屋が大好きなナラティブに便乗する気はない。あんたら自身がその戦争屋の奴隷になってる事に、そろそろ気づいてくれ。

(写真の出典・引用先:РАБКОР /http://rabkor.ru/columns/editorial-columns/2015/03/07/maidan-in-russ ia/)

❗画像は単なるイメージです。小生はボリス・ネムツォフ (Борис Немцов) の支持者ではありません。

* Я не про-Болис Немцов.




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