【読書記録】ごはんぐるり
おすすめ度 ★★★★☆
「西加奈子さんのノンフィクションは好きだけど、小説は苦手派」にちょうどいいのがエッセイ。軽やかな文章と、美味しそうな食べ物で息抜きできて、とても良かった。
*
食べ物の話を読むのが好きだ。
小説でも好きだし、グルメ漫画も好きだ。
同じようなことを西さんも書いていて、嬉しくなった。
そう、時に活字のごはんは、本物のご飯よりも美味しそうに感じられる。
外国の、聞いたこともない食材や料理に憧れてヨダレが出る感覚、わかる。
「パンプティング」に憧れ、実物を口にした時の西さんの気持ち、わかる。
*
その活字のごはんを楽しませてくれる、後半の各国の料理エッセイも良かった。
トルコ・セネガル・ベネズエラ・フィンランドの4カ国。知らない食材、知らない料理ばかりなのに、なんだか胃がむずむずするほど、美味しい感じ。
たまらない。さっきお昼ご飯にラーメン食べたのに、なぜこんなにそそられるのだ。みたこともない食材や料理が、脳内に色鮮やかに盛られていく。たまらん。
*
食の表現というのは、一つの文学ジャンルにしてもいいんじゃないかと思う。あらゆる本の、美味しそうな表現だけを集めた本があったら、家に置いておきたい。食欲のない時に読みたい。
あとがき、にも書いておられるが、この本は西加奈子さんのエッセイの中では比較的「上品」で「素敵」な部分に寄っている。でも西さんの独特の文体はそのままなので、まさに「美味しいとこどり」の作品じゃないだろうか。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?