ニュージーランドのアフター スクール プログラムでのボランティア体験
ニュージーランド在住で、総合診療科医、ライフコーチ、Havening technique ®️プラクティショナーなどをしています。
うちの娘はニュージーランドで生まれ育ちました。
その為、学校は全てこちらニュージーランドだったのですが
親としては、学校との接点は、時々(年に1回?)親も行く行事があれば参加するくらい。
授業参観もないので、実際のニュージーランドの学校の毎日の様子はよく知りませんでした。
ニュージーランドでも、日本でも子育てや教育に介入するなら
もっと実体験が必要だ、と思ったので、
去年(2023年)、私の住む街にある「I Have A Dream (IHAD)」というcharitable trustのボランティアをしてみました。
一つは、「子供のメンターになる」というもの。
これは結局、子供達とその親が協力的でない家族が多かった様で、
去年は、途中で中止になってしまいました。
(私の感想としては、「これが本当に子供とその家族が求めていたサービスなのか」という詰めが足りなかったのではないかと思いました。)
もう一つは、アフタースクールプログラムで
「I Have A Dream」のスタッフのサポートをする、というもの。
これを週一で、約一年続けました。
私が参加したのは、地元の、経済的にあまり恵まれない家族が多い地域の小学校。
このプログラムは、学年別で行われており、私がサポートしたのは
日本でいうと小学校6年生のグループでした。
他にも、同じ学校では、有料の授業後学童保育みたいなものがあり
親の仕事とかで子供の面倒を見て貰いたい親は
そちらを使っているのだと思います。
「IHAD」のアフタースクールプログラムは、任意参加で
参加費は無料。
ただ「IHAD」のスタッフの都合で、当日にキャンセルになることもあり
そんな時に、誰かが子供を迎えに来られるか、子供が1人で家に帰れる状況の人しか参加できない様です。
私の仕事は「ナビゲーター」と呼ばれる、プログラムを行う人のサポート。
荷物を運んだり、おやつの果物を切ったり
アクティビティで使うものを子供に配ったり
片付けをしたり。
時には、一部の子供達を監視したり
プログラムに来ているのに、アクティビティに参加しない子に話をしたり。
アクティビティは、スポーツとかゲームとかクッキングとかアートとか。
学期の始めに、子供達の希望を聞きつつ、大体の学期中の予定を立てます。
私がいたので、寿司作りとか、折り紙をする週もありました。
最初の感想は
「こんなに多くの子供達が、ナビゲーターの言う事をフォローせずに勝手な事をしていて、いいの?
私の小学校時代の記憶にある子供達とは全く違う!
これは、学校の先生達も大変だろうなあ」
参加者の数は、毎回10人から20人くらいでした。
私が思うに、多分4分の1、いやいや3分の1くらいは
ADHDの診断されているのじゃないか、という感じでした。
とにかく
ナビゲーターが話していても、友達と喋り始める。
何か大人が質問をし始めると、その説明中に自分の答えを言い始める。
アクティビティをしていても、全く関係ない事をし始める。
ボールとかペンとか、何かを手に持って遊んでいないと、人の話が聞けない。
注意された事をやめても、またすぐやり始める。
などなど。
これが、教科を教えないといけない学校の授業であったら
先生は本当に大変だろうな、と思いました。
この学校には、教室の片隅にカーテンでカバーされ、ビーンバッグとかが置かれたスペースがあり、
気分を落ち着けないと、授業中に他の子供に迷惑をかけてしまう子供は、そのようなスペースに自発的に(または、先生に言われて)行くようです。
クラスルームの外にも、係の大人がいて、クラスルームに居られない子供が言って時間が過ごせる静かなスペースがあるらしいです。
多分、当事者の子供のためにも、その他の子供のためにも
そしてクラスルームの先生のためにも
そういったスペースが用意されていないと
先生が教室で教科を教えつつ、全ての子供達に対応するのが難しいだからだろうなと思います。
私がいた時に、一人の男の子(かなり体が大きい)が周りの子供をランダムに叩くという事件が起こり、
ナビゲーターがその子の後ろに回り込んで、彼の腕も含め抱きかかえて
彼の動きを止め、
同時に他の子供達に部屋の外に出るように指示していました。
ナビゲーターはこういう事態の対処法も、トレーニングを受けているようでした。
また、その学校には、メンターをしているボランティアのおじさんがいて
彼は「問題児」とされている子供達をよく知っているようでした。
ナビゲーターは、こういう事が起こると保護者やメンターのおじさんに連絡し、フォローアップをお願いしていました。
中には、周りの大人による虐待が行われていて
既に、政府の機関が関与している子供達も少なからずいます。
彼らは、虐待する大人から引き離されて、他の家族と一緒に住んだりしているのですが、
その大人達にも、ひどく扱われている子供もいるようです。
ナビゲーターは、全ての子供のそういう状況も、良く把握しています。
プログラムが終わった後に、ナビゲーターが一人の子に「どう?」と声をかけていました。
「今日はxxの家に帰るんだ」(その日や大人の都合によって、色々な家族のところに住んでいる様子)
「そうなのね。あなたはそれは大丈夫なの?」
「まあね。前は便器の中に頭を突っ込まれたけど」
「そうなの」
私はその会話を聞いていて、
(そんな所へ子供を帰らせていいのですか❗️❓❗️❓)
と言う感じでした。
でも、家庭のことまで介入するのは、政府の機関でなければできないし、
子供が言った事は、既に周りの大人には周知の事実のようです。
そんな酷い扱いを受けていても、子供には他に行くところがない。
大人の気分が悪くないか、ビクビクしつつ
(中にはドラッグやお酒をしている大人も多いので、大人の気分は予測困難)
また、大人の気分が悪くならないように、自分の言動に注意しつつ
毎日、この子がそんな風に暮らしているのだったら
それがこの子の人間としての成長、発達にどれだけ影響を与えているのだろうか。
この子の親に言いたい。
子供を作るんだったら、それだけの覚悟をして作って欲しい、と。
それができないのにセックスするなら、避妊して欲しい。
(ニュージーランドでは、収入の少ない人は無料、または超安価で避妊のインプラントとか子宮内避妊具とか注射とかできます。)
もちろん、この子の親も、その前の世代から酷い扱いを受けてきた可能性があります。
でも、大人になった今は、自分のケアや子供のケアは、
自分で責任を持つことを考えてほしい。
「自分一人で解決する」と言うことでなく、必要なサポートを求めると言う意味で。
こんな感じで、私のボランティア体験は、私が医師として話に聞いていた事
(子供達の「問題行動」や家庭での虐待)
が証明された、と言う感じの経験でした。
学校やアフタースクールプログラムという場では、
最も子供に影響を与えている家庭問題については何もできないという、
もどかしさを感じました。
でも、少なくとも学校にいる間は、子供に
「ここは安全で、周りの大人は自分の言うことを聞いてくれるし、理解しようとしてくれる」
という経験をしてもらえるような大人の関わり方が、
大切だと思いました。
(それも、学校の字とでも足りないから大変なんですよね。)
今日も長文を読んで頂き、ありがとうございました。
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