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おみくじ昔話

幼少の頃、近所の神社でおみくじを引いて大凶が出た。
一緒に行った友人たちは、大吉だったり、中吉だったりで結構喜んでいたのだが、
私の大凶を見て、みんな固まった。
そのうちの一人が「大凶は、一番悪い結果で、これからどんどん不幸が押し寄せてくるんだよ」と教えてくれた。
自分じゃなくてよかった、とか、かわいそうに、と思う人たちが多かった。
何が書いてあったのかはもう忘れているが、「大凶」と出てる割には、
いいことも書いてあった、ように記憶している。

帰宅後、母に「おみくじで大凶を引いた。今でも十分不愉快なのに、これから私は不幸になるらしい。」と伝えた。

母は一言、「あらよかったじゃない。」
喧嘩を売られたと思った私は、「ふざけるな、何がいいものか!」といった後、
repeat after me のようにもう一度、「おみくじで大凶を引いた。今でも十分不愉快なのに、これから私は不幸になるらしい。」と逆ギレして叫んだ。

母曰く、おみくじの大凶は数が少ない、と。
もちろん、真偽の程は定かではない。
「数の多い中吉や吉を引くより、少ない大凶を引き当てると言うことは、ある意味ラッキー」だと言う。
要は、宝くじに当たるようなものと同じなので、引きが強いと言うことになるので、今後は自信を持つといい」と言うのが母の言葉だった。

そして最後にトドメを刺すような一言
「おみくじは隅々まで全て読んだのか?あれには、大吉だろうが大凶だろうが、教訓が書かれているんだから、記憶に残っている教訓を生かして過ごせば良い。」と。

その後おみくじを引いた時は、隅々まで読んでいた。
確かに、大吉も、中吉も、凶にも全て、良い意味の言葉も、あまり良い意味にはとらえられない、教訓(諺や慣用句)がたくさん書かれている。

その後、大凶は一度もお目にかかったことがない。
数が少ないのは本当なのかもしれない。




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