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ソーシャルメディアの過去・現在・未来から世界を考察する #マープス

無料のオンラインマーケティング講座「マープス」は第11回です。
今回はゲスト回。ソーシャルメディア研究者の佐々木 裕一さんです。

ソーシャルメディアとは?

インターネットで、個人や組織が情報発信や情報交換を可能にするメディアのことです。SNS(ソーシャル-ネットワーキング-サービス)だけでなく、ブログ、ソーシャルブックマーク、口コミサイトなどを指します。

そもそもなぜ、
ソーシャルメディアがあるのか?
どのような経緯で生まれたのか?
それを考えるために、人間の根源的な欲求、人間の行動を考えておかないと、このSNSの特徴は? どう使えばいい? SNSのアルゴリズムが変わっちゃったー、と次々に登場・更新されるサービスに振り回されることになります。

振り回されないためには「なぜこのSNSがはやっているのか?」を自分で考えらなくてはいけません。そこでソーシャルメディアの専門家である佐々木裕一さんのご登壇になったようです。

ソーシャルメディアの登場

ネットが広がりを見せそうな1990年代後半、作家やタレントといったプロではなく、たまにおもしろいことを言う一般の人でも、それを集めればコンテンツになるのでは? という期待があったそうです。でも、2000年ごろでも、ネットの利用率は25%に足りないくらい。まだメディアと呼ぶには小さいムーブメントでした。

2005年ごろ、ネットの利用率が60%を超え、普通の人が作ったコンテンツに広告を貼ればば儲かんじゃね? という時代が来ます。情報の流れがコンテンツ制作者から読者・視聴者への一方向ではない「Web 2.0」という言葉もこの頃に生まれています。

その後、2010年、TwitterにRT機能が実装されるなど、SNSで簡単に情報がシェアできるようになりました。ここに至って、情報発信の多くは「書く労力をかけられる人」から「低コストに投稿・転送できる人」に変わります。この頃、ネットの利用率がほぼ80%です。さらに2015年には、スマホが登場し、ネット利用者は90%に迫るようになりました。

ソーシャルメディアによって、情報を持つもの・持たざるものに分かれる、情報の非対称性が解消されたかのように見えます。企業も隠し事ができないようになりました。しかし、実際には、一部の巨大プラットフォーマーに情報が集中している現実があります。

情報にはフェイクも混ざり、その信憑性は誰が発信したか、ということで決まるようになりました。一部の発信者から情報を得ることで、多すぎる情報に溺れなくなりますが、気持ちよく言い切るタイプの有識者に騙される危険性も孕んでいます。

上記のような特性から、ソーシャルメディアは「動員が得意」と佐々木裕一さんは言います。結果、アラブの春のように、権力を倒すところまでできるようになりましたが、権威が瓦解したあとの活動はうまくいってないようですし、ソーシャルメディアがそれを助けているようには見えません。

「動員」はできても「協働」には向かないのではないか? というのが佐々木裕一さんの主張でした。

ソーシャルメディアのちょっと未来

2015年のスマホ普及から、圧倒的に情報が増えました。自分の好みに合う動画を見る人が増え、その傾向はしばらく変わらないだろうという佐々木さんの予想です。

動画視聴に時間を奪われ続けると、人生の選択に必要な情報を得られなくなる危険性があります。大事な問題に対して、同じ背景を持たない他人に、わざわざ背景や理由を説明するのも面倒になってくるでしょう。

私個人の経験ですが、息子が保育園に通ってた5、6年前、息子は、すでにYouTubeの動画ばかりを見ていて、テレビ放送をほとんど見ていませんでした。私も知らない昔の特撮にハマっていたので、その話題をできる園児も周りにいなかったでしょう。友人と共有できないものにハマっていて、この子は大丈夫だろうか? と心配になりました。自分が知らないことについては、わからないから一般論でしか語れないものですし、自分が詳しく知っていることが、世界のすべてだと思ってしまいます。自分しか知らない世界だけが広がっていくことは、おそろしいことですね。

一般の人にも利用できる生成系AIが登場したことで、AIに学習されるくらいなら無料で読める場所にニュースを出さないよ、というメディアも増えています。

一体、我々はどう情報を得て、どう情報を発信していけばよいのでしょうか?

ソーシャルメディアとの付き合い方

興味関心を引き付けるアテンションエコノミーに、我々は、どう対抗すればいいのでしょうか?

ダニエル・カーネマンの『ファスト&スロー』の中で、人には思考モードが2種類あると書かれています、システム1(生命に直結)は無意識で早く、システム2は、ゆっくり集中が必要な思考です。生活のほとんどはシステム1でできてしまいます。

刺激が強く、目を惹いてしまうシステム1に訴えた広告や記事が多い中、システム2に訴えるコンテンツに勝ち目はありません。自分たちの主張は、自分たちのオウンドメディアで見に来てくれた人に訴えるしかないし、理解してくれる人たちのコミュニティでがんばるしかない、というお話でした。

私は、情報の受け取り手として、自衛として、以下を心がけています。刺激が強いと感じたら、一歩引く、これが大事なことだと思っています。

池田さんは、人間がチヤホヤされたいという欲求は衰えないだろうという主張でしたが、疲れない、仲間うちだけのSNS「BeReal」みたいなものが流行っているのを横目で見ると、認められたい欲の手前に、つながりを感じる社会的な動物としての基本的な欲求がこれまでのSNS、ソーシャルメディアでは、満たされていないのかもなぁ、と考えつつ、今日の講義は終了しました。

今日の話を聞いて、新しいソーシャルメディアが登場したり、流行ったりした時、「なぜ?」という疑問を持って接することができるようになったでしょう。決して「これでどうやればバズるんですか?」なんて聞かないようにしないと…(聞いちゃいそう)。

佐々木裕一さんの著書

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