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伊勢記

伊勢に行ってきたときの記録です。
2月の下旬くらいでしたが、寒くもなく(むしろ暑かった)、予報されてた雨もそれほど降らず、人もそんなに多くなく、めちゃくちゃいいタイミングでした。

内宮周辺のおはらい町で。丸瓦の先端、ふつうは水系の紋様(巴とか、つまり火避けのおまじない)なのですが、伊勢はそこの家紋とか店の名前とかオリジナルの模様が入っているところもありました。細かいところも見逃せない町でした。


外宮と内宮

本当に行くことになるまで、伊勢神宮が外宮と内宮に分かれていることすら知らなかったです。え、2つあるの?という感じ。天皇家や首相がたまに参拝するところ、三種の神器のひとつがある、くらいの認識でした(さすがに行く前にがっつり調べました)。
外宮は豊受大神(天照大神のごはん係)、内宮は天照大神を祀っています。詳しいことは伊勢神宮のサイトなどで。

灯籠のデザインは内宮外宮ともこれで統一されてました。帰ってきてからよくみると、近所の神明造の神社もこのタイプでした。
内宮の風日祈宮橋。人がほとんどいない状態で撮れたのが奇跡だと思います。普段はもっといるはず。有名な、入口付近にある宇治橋はこんな状態になるのは無理でしょう。

お参りするところは正宮1ヶ所だけじゃなくって、別宮やほかにも神様がたくさんいます(記憶があいまい…)。ここにくるときは5円玉を30枚くらいは用意しておかないと足りなくなる。二礼二拍手一礼を何回やっただろうか…。

わたしは伊勢マイスターの先導で行ったので、言われるがままに回ってコンプリートできたのですが、何も知らなかったらとりこぼすと思います。効率も悪そうだし。猿田彦大神がいてよかった…。
(猿田彦大神のおかげで、わたしは初回で内宮、外宮、二見浦、朝熊のフルセットもコンプリートできたのですが、これはほんとにラッキーなんだそうです)

内宮の正宮。天照大神がいらっしゃるところ。人間が行けるのは登り切ったところの鳥居と門の間までで、その奥がどうなってるのかはわかりません。神様はだいぶ奥のほうに。この空きかたも奇跡的。

テレビのニュースだと、宇治橋の鳥居くらいまでしか映らないので、わたしはあのあたりにお参りするところがあるのだろうと思っていたのですが、だいぶ奥でした。刷り込みのイメージと実際はだいぶ違うのだなあと。出雲大社のお参りするところも、あの大きな綱があるところだと思い込んでいました…。

こういうお伊勢参りの浮世絵も、今となってはどうしてこうなっているのかわかります。

広重『伊勢参宮略図 外宮拝殿・玉串御門・内宮正殿・二見ノ浦・末社順拝・古市・宇治橋・間の山・朝熊山・おかげ参りの図 高倉山・天の岩戸』,ゑひ寿屋庄七,安政2. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1302527 (参照 2024-04-07)


二見浦

二見浦は、お参りするひとがここで禊をやってたというところで、五十鈴川の河口にあります。大小ふたつの岩を縄でつないだ夫婦岩が有名です。
(と、あたかも知ってたふうに書いてますが、行くまでよく知らなかったです…この岩、なんとなく湘南海岸あたりにあると思っていた)

よく知らないでいくと、日本のテンプレ原風景みたいなのが突然現れるので、そのほうが面白いかも。このミニチュアが欲しい…

伊勢湾にひろびろと開けていて、たしかに最初にここきたら、さっぱりした気分になれそうです。海めずらしいのでいつまでも見てられる。
この夫婦岩を描いた浮世絵もたくさんあります。集めて比較してみると、画家によって見えかた(場合によっては想像のしかた)が違って面白いです。

二見浦を描いた浮世絵もたくさんあります。おおむね、実際より激しめに描かれている印象。
香蝶国貞『二見浦曙の図』,山口屋藤兵衛. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1306826 (参照 2024-04-07)

ここに二見興玉神社があり、天照大神のツアコン、猿田彦大神を祀っています。この神様の使いがカエルで、大小さまざまなカエルの石像があちこちにいます。

カエルのデザインはバラバラで、持ち寄り感あります。
観光地になっている浜ってこういう感じ。こういう旅館で何もせず過ごしたい…高そうだけど。


朝熊岳金剛證寺

お伊勢参りをするならここに来ないとコンプリートできないよ、みたいなスポットが、朝熊岳の金剛證寺です。伊勢神宮の鬼門を護るラスボスです。

ここは日本を凝縮したテーマパークのようなとこでした。
たまたま霧が立ち込めていて、最初から最後まで幻想的な空間でした。こういう気象条件に遭遇することは滅多にないと思います。雨が降る可能性がある日、みたいなのがよかったんでしょうか。時折風が吹いて、ざあっという雨音みたいな音がするのですが、雨が降りはじめたわけではなく、水滴が木々の葉っぱに当たって発生する音でした。

ここは曲がりくねった山道をずっと行ったところにあります。そう簡単に行けるところではないのですが、地元在住の作家さんが車で連れて行ってくださいました(しかも泊めていただきました)。感謝です。新作でるときは全力で宣伝手伝います。

大正期に書かれた伊勢のガイドブックには「ご婦人でも簡単に登れるので寄ってみては」みたいなことが書いてありましたが、昔のひとは強靭だったのか。江戸時代は各地から歩いてくるわけなので、まあこれくらいはどうってことなかったかもしれないですが。
昭和初期にはケーブルカーがあったらしく、残っていたら行きやすかっただろうなと思います。ケーブルカー、だいぶなくなりましたよね。

鳥居と太鼓橋のセットみたいな、外国人が考えそうな日本が目の前に。

iPhoneが勝手にいろいろ拾ってくれるので、写真は現実よりクリアに写っています。実際はもっと濛々としていて、水墨画の世界でした。先が見通せない状態で、木や建物は突然出現するので、ゲームのマップを歩いている感じです。

この、日本ステージに降り立った最初の画面感。
先のほう、こんなには見えないんですよ。これはiPhoneが拾いすぎてます。
瓦に波がついているものを伊勢ではよく見かけたのですが、土地柄なのか、火除なのか。ザ・葵紋なのも気になりますよね。江戸時代、そう簡単に使わせてもらえなかっただろうし。
漢字2文字「帰路」のよさ。ゲーム内の世界みたいですよ。外国語表記ゼロ、の案内看が多かった気がします。まあ、いまならグーグル翻訳使えばなんとかなるしね。

ここの御朱印がかっこよかったです。強そう。
御朱印帳、持ってはいたけど手続きがめんどうでほとんど使っていなかったのですが、伊勢は頼みやすかったです。持ってきてよかったです。

伊勢は(まわったところは)目の前でさらさら書いてくれるので、御朱印頼みやすかったです。御朱印帳あずかって、何分後にお越しください、だと頼みづらくなってしまうので。


朝熊岳展望台にある天空のポスト。お寺を見てきた後だと、別のゲームのオブジェクトが間違って配置された感ある。ここから郵便出せます。


伊勢のたべもの

チェーン店だけど、いい?
と地元の作家さんに連れて行かれたところが素敵でした。

チェーン展開しているけど、全店こういう蔵みたいなつくり。

このあたりに多いチェーンのようですが、うちの近くにも欲しいです…。

モーニングをいただきました。ちょうどいいサイズ。店内も古民家みたいなつくりで、近所にあったら居着く。

ミニストップにここのチルドコーヒーが売ってるという情報を見て、近所のミニストップにいってみたらほんとにありました。


伊勢といえば伊勢うどん。
箸で持ち上げたら切れるくらいやわらかい。
ここまでふわふわになれるという、うどんのポテンシャルをみた。
(もともとやわらかいうどん好き)

写真だとまったく伝わらないですが、ものすごくやわやわです。

戻ってから近場で伊勢うどんを探してみたら、わりとあっさり見つかり(徒歩圏内に取り扱いのあるスーパーを3軒発見)、編集も伊勢うどんをくれた(神保町で伊勢フェアやってた)ので、伊勢うどんがわたしに集まっています。わたしは伊勢うどんの依代…。
パッケージに茹で時間3分、と書いてありますが、15分くらいは茹でないと、あの柔らかさにならないです。弱火でじっくり茹でるといいです。ふつうの袋入りの生うどんも、茹で時間を長くするとふわふわになります(讃岐うどん以外)。

もうひとつ伊勢名物の赤福。
内宮近くのおはらい町に赤福の本店があり、奥の座敷で五十鈴川を眺めながら休憩できます。大正時代のガイドブックにも書いてあった楽しみかたです。ほっとかれるとたぶんずっとここにいる。

参拝はほぼウォーキングなので、餡の甘さがしみます。餡の波型は五十鈴川のせせらぎをイメージしているそうです。
座敷からの眺めがいいんですが、混んでいると人がぎゅうぎゅう詰めになります。


地元の作家さんが案内してくださったパン屋さんのパンを、自分へのおみやげ(食糧)にしました。出かけた先でパン買って帰る、っていいですね。ひとまず直近の食べ物の心配がいらない。これから習慣にしようと思います。

店名が「コクリコルージュ」、わたしが新刊に使った特色が「COQ DE ROCHE」な不思議なご縁。写真これしか撮ってないですが、どれも生地に深みがあってとてもおいしかった。


新幹線で1本、というわけにはいかないけど、思い立ったときに行けなくもないところだな、と思いました。京都あたりより混まないし、日本的なものぜんぶ堪能できるし、時間がなくて今回ほぼ素通りになりましたが、おはらい町だけでも相当楽しめそうです。

四日市を通るので、車窓から工場地帯みたいなのも見えます。

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