好きな映画が「ベタだ」と笑われて
大学生の時、
映画は、”ショーシャンクの空に”が一番好きだと言うと、
「うわ~、超ベタベタだなー 」
と笑われて、恥ずかしい気持ちになった。
―――――――
あなたの好きな〇〇を聞かれたとき、
定番を外して、他の人が知らないようなセンスを見せつけたくなる。
10代20代にありがちな、
そういう自意識の渦中に私もいた。
好きな音楽は?と聞かれたら、
当時まだマイナーだった星野源とか、
デビューしたばかりのラッドが好きだと答えていた。
音楽通をにおわせて、センスがあると思われたい年頃だった。
だから好きな映画がベタベタだと言われて、
すごい普通のやつだと馬鹿にされたようで、恥ずかしくなったのだ。
思い返すと、身を隠したくなるほどの自意識過剰。
だけどそんなイタい時期の、
あの青臭くささは愛おしい。
年を重ねた今、
ベタだと思われて、それがいったい何だというのか。
人の評価など気にせず、
好きなものを好きと言える方が楽しい人生だと。
多くの若者が経験するイタく青臭い時期を通過したのち、
多くの大人が辿り着く人生観に落ち着く。
普通の若者で
普通の大人で
やっぱり、すごい普通のやつだった。
そして今でもやっぱり、
”ショーシャンクの空に”が好きだ。
―――――――
現在の伴侶であるタレちゃんにこの話をすると
「ショーシャンクってなに?」
すぐ隣に
"ショーシャンクの空に"と交差しない人生があった。
ベタだ
普通だなんて
蚊帳の中だけの位置づけだ。
蚊帳の外が怖いかい?
蚊帳の外は、こんなに広いぞ。
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