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地政学で考えるカネと政治と外交問題。

この記事を読んで高校生のキミが得られるかもしれない利益:ウクライナ侵攻がやまないのは、中露の地理的ポジショニングが一因だ。しかし、この物理的な条件は、日本人が想像できない。日本が世界に貢献できる可能性を、地政学的に、またそれを超えた想像力で考えてみよう。トップ画はhttps://qr1.jp/EG4gXq

中露は生まれついてのビジネスパートナー

ロシアのウクライナ侵攻を、影で、いや堂々と支えているのは中国だ。

でも、それは国というものの性質を考えると、やむを得ない。

要するに、国は経済最優先せざるを得ないってことなんだ。

例えば、中国とヨーロッパを考えよう。

中国といえば人権問題で必ず槍玉に上がる国家だ。

近年では、中国・新疆地区におけるウイグル族やカザフ族などイスラム教徒の少数民族への集団拘束や監視、拷問をしていたことが国際的な非難を巻き起こしたことは、記憶に新しい。

しかし、ヨーロッパ各国は、人権問題を棚に上げて中国との交易を続けている。(少なくともウクライナ侵攻前までは)

経済優先だ。

中国の安い産品の輸入が途絶えたら、ヨーロッパ各国はインフレに見舞われてしまう。

国境という共栄圏と火薬庫

国が国境を接していると、これは愛憎問題に発展する

つまり、隣人がいれば友愛があり、喧嘩もあるという、人間である限り避けられないさだめ、だ。

隣人との折り合いがうまく行けば友好になるが、下手をすると戦争になる。

地続きの隣人は基本的に信用できない。

国家はスキあれば領土を拡張しようとする、潜在的な悪を持っているからだ。

ロシアとウクライナの例を出すまでもなく。

前者の例、つまり見せかけの隣人愛は、現在進行系で順調に育まれているようだ。

中国とロシア、だ。

いま、国境の都市、中国のヘイホー(Heihe)はロシア需要で沸き立っている。

国境の町ヘイホー、中露友好の象徴ともされる https://qr1.jp/uO4ucL

倉庫の建設、20階建てのオフィスタワーの建築に中国人労働者が大量に動員されているからだ。

国境の街ヘイホーは世界の縮図

ヘイホーは、ロシアのウクライナ戦争後の世界の縮図(microcosm小宇宙)だ。

それは経済制裁を受けたロシアがクルマからコンピューターチップに至るまで、すべての輸入を西欧から中国にスイッチしたという、新しい現実である。

欧米が揃ってロシアへの制裁を強化する中、世界のサプライチェーンの中心、中国が世界の秩序を乱し、ロシアへの物資供与を続けている。

ロシアはこの中国の支援に天然ガス、石油を格安で中国に販売し、ロシア産チョコレート、ソーセージ等の日用品は、ヘイホーのスーパーに大挙して並んでいる。

中露の交易額は2023年当初からの11ヶ月で、過去最高の2000億ドルを突破した。

ニューヨーク・タイムズWeekly2024年1月28日China profits from having more trade with Russia(中国がロシアとの交易拡大で儲けている)より

中国はけしからん、と非難するのはたやすい。

しかし、キミが習近平だったら、どうするか。

中国は不動産不況で経済が急速に落ち込んだが、この「ロシア特需」で一息ついたはずだ。

https://qr1.jp/tBiwbq

この国境にまつわる諸問題は、地政学、つまり地理的な条件を軸に、国と国との関係性や国家戦略などを分析・考察する学問の範疇だ。

しかし、学問を実践に使うには想像力が必要だ

国境という、生の人間が交錯する現場は、一筋縄ではいかないことは、わかる。

特にカネが絡んでくるから。

高校生のキミは、ぜひ世界をその目で見て、「自分だけの新しい地政学」を開発していってほしい。

日本が世界に何ができるか

今日から新しいマガジンを立ち上げたいと思う。

題して「日本が世界に何ができるか」だ。

今日、テレビで池上彰さんと中東出身のタレントの方が議論をしていた。

いい話をしていたと思ったんだ。

池上さんがハマスvsイスラエルの戦争に関してこんなことを言っていた。

「かつてパレスチナ・ガザ地区で日本が資金を出して設立した病院があった。日本はガザ地区にも、イスラエルにも友好的な国出ある。この中立的なスタンスは日本の資産である」。

2013年、日本政府の支援のもとできた、UNICEFによりガザ市のアル・シファ病院新生児集中治療室https://qr1.jp/pnHeK2

人間関係と同じく、国と国との関係も是々非々でいくべきだと思うが、基本的に世界中の国との友好を重んじる日本のスタンスは、僕は池上さんの意見と同じで評価したい。

でも、日本のこのスタンスも、日本は海に囲まれており、国境を接した国がないという地政学的な条件がもたらしたものだと思うのだ。

それは等距離外交、どんな国とも仲良くやっていくという姿勢と同時に、政治的に難しい隣国を持っている国を理解することが困難というマイナスも生んでいると思う。

高校生の皆さんは、リーダーになったら、どう世界と付き合っていくのだろう。

今日の戯言が参考になれば幸いである。

野呂 一郎
清和大学教授






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