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イーロン・マスクはあり?なし(英文記事の翻訳)

この記事を読んであなたが得られるかも知れない利益:イーロン・マスクの非情な解雇こそ、彼が人間を信じてない証拠だ。これでいいのか。英語記事だと、そこら辺がしっかり伝わる。あえて日本語に訳してみました。ブッキッシュ(bookish ぎこちない)なのがいいのだ。

この記事は、先日配信した下の記事の日本語訳です。

資本主義の権化としてのイーロン・マスク

先日NHKのイーロン・マスク特集で最も印象深いシーンは、マスク氏にクビにされた女性たちがさめざめと泣いているシーンでした。

https://qr1.jp/hUnBUe

しみじみ思ったのは、アメリカ人の労働者も人間なんだな、ということです。

話し合いもなく一方的にクビを切られれば、人間はショックを受け、悲しむのです。

なぜならば職を失うということは、経済的な安定を失うことだけでなく、人間としてのプライドも失うことだからです。

この意味で、日本の人的資源管理は首切りを避けることを旨としていることは、評価できます。

日本企業は終身雇用こそ、人間の誇りを尊ぶシステムと考えているのです。

労働者のクビを切るのは、経済合理性はあるかも知れませんが、長期的利益を考えるならば、百害あって一利なしです。

一利なしの理由

  1. 労働者に失業の恐怖が広がるから

日本人労働者と違い、アメリカ人労働者は、生産性が低くなればクビになることをわかっている。

しかし、頭でわかっていても、実際に経験してみないと、解雇される痛みはわからない。

誰もがクビを切られれば、ネガティブな感情になる。

仕事でしくじれば、解雇の憂き目に合う、アメリカ人は常にその脅しの中で働いている。

イーロン・マスクの労働者の扱いは、「ヘマをすればクビにしてやる」である。

これは、最も非人間的な企業がやる行いだ。

しかし、厳格なルールを押し付ける企業は、解雇されないで生き残った従業員からの信頼も失う。

なぜならば、次々とクビになっていく同僚たちを見て、ここでは長く働くことに、嫌気がさしてしまうからだ。

2. 人間性重視のトレンドに逆行しているから
ここ30年間、HRM(人的資源管理)のトレンドは、利益重視ではなく、人間性重視であった。

解雇は経営陣の、他にチョイスがないときの最終手段であるべきだ。

きょうびの消費者は企業の行動をよく注視している、特に企業活動が新しい社会的モラルに合致しているかどうかを、である。

経営者と労働者の相互理解がない解雇は、会社にとってアンチの論議が巻き起こるのは必至だ。

3. 人材欠乏に百害あって一利なし
エクセレントな人材獲得競争が、ますます激しくなっている。

競争力のある人材候補は、より多くのカネとよりよい労働環境を求める。

例えばリモートワークとか、残業なしなどである。

そういう贅沢な条件が与えられるようになるまで、企業は解雇なんかすべきじゃない。

イーロン・マスクの時代錯誤

イーロン・マスクはそのNHKのテレビ番組で、「要するに仕事への献身と異常な熱こそが大事なのだ。俺は組合なんか嫌いだ」とのたまった。

ワークライフバランスはどこへ行った、労働者のケアは?働くものの福祉は?

彼の言ってるのは時代錯誤?

私にはそう聞こえる。

投資家も間違ってる

どんなに非人間的に見えようが、男性至上主義、民主主義不在に思われようが、イーロン・マスクは我が道を行く。

なぜならば、投資家が彼の道を認めているからだ。

投資家たちは無慈悲な首切りを是認し、民主主義を訴える労働者をイーロン・マスク信者と取り替え、社会的公正を求めるツイッターへの投稿を消し去る、そんなマスクの行動を支持している。

まあ確かに、公平や誠実さは絶対ではないかもしれない。

日本はいったい、いったい、イーロン・マスクをどう見るのだ?

労働者の福祉(幸福)をぶち壊す悪魔か、それとも金持ちをさらに金持ちにする天使なのか?

野呂一郎
清和大学教授

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