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2023年8月読了本まとめ【13冊】

今月は一時帰国し、本屋やブックオフを見つけては入り、気になる本、ずっと欲しかった本を気の済むまで購入できた。
毎度のことながら、一時帰国後の楽しみは積読本がたくさんある幸せを噛み締めながら読書をゆっくり楽しむこと。
観たい番組やNetflixも溜まっているので、仕事以外の時間はしばらく家に閉じこもる生活になりそう…



【1冊目】i/西加奈子

シリアで生まれたアイは、アメリカ人の父と日本人の母に養子として迎えられ、大事に育てられた。幼い頃から視野が広く、世界情勢に敏感なアイ。自分のアイデンティティや信仰する神、学校の友達との接し方など、悩んだり考えたりすることが多い。戦争や事件で亡くなった人一人ひとりには確かに人生があって、それぞれの苦しみや悲しみがある。渦中の人しか苦しみを語ってはいけないなんてことはない。悲しみを想像して、一緒に苦しむことはできる。
最初から翻訳本を読んでいる感じが抜けなくて、多少の読みづらさはあったけど、最後まで読めてよかった。

【2冊目】Z世代 若者はなぜインスタ・TikTokにハマるのか?/原田曜平

若者研究の第一人者の著者が、Z世代の特徴や考えていることをわかりやすくまとめた本。知っているようで全然知らなかったんだなと思い知らされた。情勢とともに流行や価値観はものすごい勢いで変化していくし、それについていこうとすると大変だけど、自分の幅を広げるためにも知ることは大切だと思った。

【3冊目】ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい/大前粟生

ぬいぐるみとしゃべる人たちが集まるぬいぐるみサークル、通称”ぬいサー”。
そこには繊細でどこか”生きづらさ”を抱えている人がいる。
世間によって植え付けられた”〇〇らしさ”という言葉に苦しめられている人がいる。女性にフォーカスしたものはよくありそうだけど、男性にフォーカスしているのは珍しい気がした。
昔と比べたら多様性が尊重される世の中になってきたなとは感じるけど、尊重してますよ、みたいな空気に苦しめられる人たちもいることも事実。
心が繊細でやさしすぎるが故に悩んでしまう人に、是非読んでほしい一冊。

【4冊目】静かに、ねぇ、静かに/本谷有希子

最近好きな本谷さんの小説を初めて読んでみた。
ネットに翻弄される人たちが登場する短編集。
スマホ、ネットが発達し便利になったけど、その反面人間が変わっていく怖さが描かれていて現代っぽい。旅行だって、いつの間にか経験することそのものより写真を撮ってネットにアップすることが目的になっている。どの話もそこで⁉︎というところで終わっていて後味悪い。でも中毒になりそうな。

【5冊目】天才はあきらめた/山里亮太

南海キャンディーズ・山ちゃんの自叙伝。
「何者かになる」という夢のゴールを隠し持った「モテたい」というパワーから芸人を目指し、ずっと熱意を持ち続けて突っ走ってきた感じが伝わってくる。
千葉出身の山ちゃんが、初めて大阪に行って大学に入り、寮で生活しながら養成所に入り、周りにどんなことを言われても確固たる自信を持ち続けて夢を追う姿はかっこいい。

【6冊目】翻訳できない世界のことば/エラ・フランシス・サンダース

ずっと欲しかった本をついに購入!
1語対1語で翻訳できない世界のことばたち。
聞いたことのない言語にも、それぞれの国の文化や歴史が背景にあってこのことばが生まれたんだなと想像しながら読み進めるのが楽しい。
微妙なニュアンスとか、感性とか、まだまだ知らない感情ってたくさんあるんだな、と思わされる。絵もカラフルで可愛くて、絵本のよう。

【7冊目】殺人出産/村田沙耶香

10人産んだら、1人殺せるという「殺人出産システム」で人口を保つ日本。
10人産み終えるまで誰か1人に対して殺意を持ち続けることが当たり前の世界。
もし自分だったら、怖すぎてびくびくしながら生活してしまうだろうなと思う。
「もし世界にこんなシステムがあったら」が詰まった短編集。
読みやすいSFという感じがあるけど、途中から気持ち悪くなってきて、休憩しながら少しずつ読み進めた。

【8冊目】成熟スイッチ/林真理子

日大の理事長を務める著者が、「成熟すること」について色々な面から語っている本。「自分って成長しているのかな」「何も変わっていない気がする…」と思うことも多々ある。わかりやすく目に見える「成長」はないかもしれないけど、毎日何かしらの「新しいこと」をして、何かしらの「成長」をしているんだと思った。それをひとつでもふたつでも増やすために、「行動」していきたい。

・「人から必要とされる」ではなく「人を幸せにしたい」、あるいは「人のために何か役に立ちたい」と能動的に考える
・何よりも人を成長させ、人間力を鍛えてくれるのは、仕事
・いっぱい本を読んだからって、立派な大人になって、いい会社に入れるとはかぎらない。でも、本を読むと、大人になった時に一人でいることを恐れずに済む人間になれる

【9冊目】#柚莉愛とかくれんぼ/真下みこと

3人組アイドルグループのセンター、柚莉愛。様々な気持ちを背負いながらメジャーデビューを目指しているが、マネージャーの提案で動画配信ドッキリを実行し、ファンの混乱がSNSで広がっていく。「#柚莉愛とかくれんぼ」というハッシュタグをめぐってファンは色々な推測をする。
設定はすごくよかったが、配信の真意とか、かくれんぼのその後をもっと描いて欲しかったなというのが正直な感想。割とモヤモヤした感じで終わってしまった。
アイドルの配信やネットの炎上など、現代にありそうなテーマと、帯のQRコードからスレが見られる仕様はすごく好き。

【10冊目】むらさきのスカートの女/今村夏子

TikTokで「何も起こらないのに面白い」と話題になっていた?らしく、ずっと気になっていた作品。語り手の女性は近所で有名な「むらさきのスカートの女」と友達になるべく、観察したり同じ職場で働くよう仕向けたりする。
むらさきのスカートの女、もしくは語り手の女性にどんな秘密があるのか、後半に種明かし?があるのか、と期待しながら読み進めたが、よくわからないまま終わった…。最後についていた記念エッセイは良かった。

【11冊目】僕の人生には事件が起きない/岩井勇気

ずっと読んでみたかったエッセイ!人におかしく話せるような面白い事件は起きない日常だけど、見方を変えて「面白がる」ことはできる。
芸人の仕事をしていながら、どこか客観視しているところがあって、読者や芸人を見る人たちの気持ちを代弁してくれているように感じた。
すごく楽しかったので次のエッセイも読みたい。

【12冊目】自分を好きになる方法/本谷有希子

自己啓発本のようなタイトルの小説。
16歳、28歳、34歳、47歳、3歳、63歳のリンデの1日を切り取ったお話。
歳を重ねるとともに環境や付き合う人は変わっていくけど、一番多くの時間一緒に過ごす”自分”の根本は変わらないんだな、と思った。
特に後半はアメリカの自宅?を思わせるような描写が多かった。

【13冊目】ナナメの夕暮れ/若林正恭

人見知りで繊細で考えすぎな性格の若林さん。ちょっと生きるのが大変そう…と思った。テレビに出ている人だから、芸人さんだから、距離を感じたりすごい人だと思いがちだけど、人との付き合い方やテレビのあり方などに疑問を持ちながら仕事をしていて、同じ人間なんだと思った。読者と同じ目線に立ってくれていて、多くの人の共感を呼びそう。


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