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○石井幹事長会見 2024年4月12日(金)10時00分 @衆院第7控室

【冒頭発言】
≪2040ビジョン検討委員会が実施した自治体アンケート≫
きょうは「少子高齢化、人口減少への対応に関する自治体アンケート」の結果について発言したい。今回、47都道府県のうち石川県は、地震の被災県ということで調査の対象外とした。また、富山県と新潟県については、県のみに回答をお願いし、富山県内、新潟県内の市町村では実施しないことにした。調査対象の市区町村は1724で、回答いただいたのが1304の市区町村。回答率は75.6%だった。都道府県については石川県以外の46都道府県がすべて回答を寄せていただいた。アンケートにご協力いただいた1304の市区町村と46都道府県に御礼を申し上げたい。

(結果の概要、まとめ)
まずは「自治体存続への危機感」について、2040年の地域別、市区町村別の将来推計人口に対する受け止めを聞いた。市区町村では「自治体としての存続が非常に危うい水準」と「危うい水準」を合わせると32.5%に達する。「存続がぎりぎり可能」と答えた自治体も36.3%を占め、先行きを楽観できない状況がうかがえる。都道府県でも存続に危機感を抱いているところが23.9%。28.3%が「ぎりぎり可能な水準」と回答している。
これまで進めてきた地方活性化の施策に加えて、別の視点からも自治体の活力を引き出す取り組みが求められているのではないかと考える。

大きな二つ目として「医療、介護サービスの供給不足の懸念と対策」について、医療と介護の長期的な需給見通しに関する市区町村の回答では、「高齢者人口が増加し医療施設や医師らは不足する」が50.9%、「高齢者人口が増加し介護施設や介護士らが不足する」が57.7%に達している。より深刻だと思われるのは、高齢者人口がピークアウトして減少傾向になったとしても、施設や人材が不足すると答えた市区町村が医療で31.7%、介護で35.6%もあることだ。都道府県においても、高齢者人口の増減にかかわらず、施設や人材が不足するとの回答が、医療で69.6%、介護で91.3%に達している。人口減少によって地域の活力が失われていく中で、2040年に向け、必要な医療、介護のサービスをどう確保していくのか、大変切実な課題であることが浮き彫りになった。
医療、介護など社会保障の持続可能性を高めるために、どのような施策が必要か、三つ選んでいただいたところ、市区町村で最も多かったのが「地域住民の健康寿命の延伸」で61.0%。それに続いて「少子高齢化に対応できる安定財源の確保」が59.4%、「他の市区町村との広域的な連携」が52.2%となっている。都道府県の回答でも「健康寿命」は56.5%と2番目に多い状況だ。市区町村の広域連携に関して、既存の施策に加えて、医療や介護の分野でも他の自治体と協力できる仕組みを求めるニーズがあることが確認された。

大きな三つ目として「外国人材の受け入れ」だが、外国人材が「今後、不足する」と回答した市区町村が全体の63.6%に達する。一方で、「今のところ外国人材の必要性は低い」と答えた自治体が26.6%あることから、外国人材の需要にかなりの地域差があることがうかがえる。とりわけ自治体としての存続に危機感を持っている市区町村に限定すると、70.7%が「将来的に不足する」と回答しており、存続への危機感とともに、外国人材の不足への懸念も抱いていることがうかがえる。
外国人材を受け入れる上での課題を三つ選んでもらったところ、「地域住民の理解と協力」が61.1%と多く、それに続いて「日本語教育の充実」53.7%、「地域や職場における通訳など支援スタッフの確保」が51.3%となっている。都道府県でも「日本語教育の充実」を挙げた回答が81.1%と圧倒的に多くなっている。
地方自治体の現場で外国人材を受け入れる際には、地域住民の理解と協力に加えて、やはり言葉、コミュニケーションが大きな課題になっていることが浮かび上がってきている。今国会でも新たな制度として「育成就労」制度を実施しようとしているが、外国人材の受け入れ拡充の議論と合わせて、地域コミュニティーでの生活が円滑にいくような支援策が求められている。

さらに、「子育て・教育、少子化対策」で、国として取り組むべき政策課題を三つ選んでもらった。市区町村では「若者の働き方や雇用環境の改善」が60.4%、都道府県でも60.9%で、いずれもトップに挙がっている。これに続いて市区町村の回答では「小中学校の給食費を全国で無償化」が52.1%、「子ども医療費助成を18歳まで拡大」が43.3%、「児童手当などの経済的支援の一層の拡充」が41.6%の順となっている。都道府県では、「子ども医療費助成を18歳まで拡大」が2番目で39.1%、その後に「大学など高等教育の実質無償化」が26.1%で続いている。
若者の働き方、雇用環境の改善が最も多かったのは、少子化の改善に不可欠であるとの認識が強くあるということを表している。党内議論を深めてビジョンにも反映していきたい。さらに、給食費の無償化や子ども医療費助成拡大といった子育てにかかる経済面の助成が強く求められていることも確認できた。

最後に、「一人暮らしの高齢者」について聞いた。増加している一人暮らしの高齢者について、自治体の現場でどのような支援策が求められているかを尋ね、三つ選んでもらった。市区町村では「日常の見守り・安否確認」が73.3%と最も多く、「『通いの場』や『交流の場』づくり」が70.6%でほぼ並んだ。都道府県でも同様の結果となった。市区町村ではこれらに続いて、「移動手段の確保」が64.0%となった。
日常的な安否確認や交流の場づくりといった基本的な対策が、一人暮らしの高齢者の増加に追い付けない状況があるのではないかと考えられる。加えて、「移動手段の確保」についても、通院する高齢者が増えていること、あるいは運転免許返納などで、今後ますます解決が重要な問題になってくると考える。今後、この3項目を軸に一人暮らし高齢者への支援策の充実に取り組んでいきたい。
私からは、自治体アンケートの報告書を発表させていただいた。

【質疑応答】
≪2040ビジョン≫
Q、アンケート結果を踏まえ、どういった施策を党として考えていくか。
石井)ご承知の通り、今、社会保障の2040ビジョンを党内で検討している。医療制度や介護制度、年金制度など分科会を作って、それぞれ詳細な検討を行っているところであるから、このアンケート結果を、今後のビジョン作成に生かしていきたいと考えている。

Q、2040ビジョンは、いつ頃までにどのような形でまとめるか。また、アンケート結果で、幹事長が衝撃を受けた内容などがあれば。
石井)通常国会の会期末に、何らかの形で、まとめができればいいと考えている。衝撃的というか、やはり自治体の現場ではそれぞれ、2040年の人口推計に対して、非常に危機感を抱いていることが浮かび上がってきているのではないか。その危機感というのは、個々の問いにあるが、社会保障サービスの供給不足だとか、担い手不足だとか、あるいは一人暮らしの高齢者への対応といった現実的で、非常に大きな課題を抱えているということが浮かび上がったのではないかと考えている。

≪政治資金規正法の改正≫
Q、法改正に向け、きょう自民党でワーキンググループが開かれる。公明党の取り組みに比べて遅い印象を受けるが。また、今後の与党協議に向けては、どう進めたいか。
石井)きょうの参院本会議でも「政治改革特別委員会」の設置が決まると思うので、衆参の特別委員会で再発防止策として政治資金規正法の改正が議論されることになると想定している。自民党とは、野党の皆さんと協議をする前に、まずは与党内ですり合わせを行うというふうに腹合わせをしている。私どもは、かなり煮詰まった協議、最終段階まで来ている。自民党においても、なるべく速やかに自民党としての考え方をまとめていただきたいと思っている。来週にも与党協議が始まるのではないかと想定しているので、その中で、自民党の考え方を示していただけると思っている。

Q、いつまでに与党としての考えをまとめるか。
石井)実際に、この特別委員会がどのタイミングで始まるかということにもよるが、なるべく速やかに協議をしていきたいと考えている。まだ話し合いを始めたわけではないので、どういった展開になるのかは、なかなか読めないところだ。

Q、自民党はまだ案を取りまとめていないが、公明党の案とは隔たりがあるのではないか。自公協議に向けて、どういった点がポイントになるか。公明党として譲れない点は。
石井)私どもが今回の問題の再発防止策として最も重要だと考えているのは、いわゆる「連座制」の強化だ。「いわゆる」と申し上げたのは、連座制というのは、公選法の連座制ということになるので、連座制そのものではない。今回の案件においても、会計責任者は罰せられるけれども、政治団体の中心である国会議員には累が及ばないことに対して、国民の皆さんは非常に不審に思っている。悪質な虚偽記載などが行われた場合は、監督責任が不十分な国会議員についてもしっかりと責任を負わせるという形の連座制の強化は、今回の再発防止策の中では最も重要なことであり、これは必ず実現をしていきたいと考えている。

≪岸田首相の国賓訪米≫
Q、これまでの訪米行程を振り返り、評価を。
石井)今回の国賓待遇の訪米によって、日米の強い結束を改めて確認し、国際社会に示すことができたのではないかと思っている。そういった意味では、成果の多い訪米となったのではないかと考えている。引き続き、地域の平和と安定のためにも、首脳同士を含めた緊密な連携を期待したいと思う。

≪衆院補選≫
Q、衆院東京15区について、候補者の顔ぶれが固まってきている。党の対応は。
石井)それぞれ名乗りを上げている方から、特段、私どもに対してアプローチがないので、静観をしている状況だ。

Q,自主投票で対応するということか。
石井)自主投票になるかどうか、そういうことを公にするかどうかも含めて、今、対応は未定だ。

Q、立候補を表明している作家の乙武洋匡氏は、公明党とも協力関係にある小池知事が率いる「都民ファーストの会」との結びつきが強い。推薦依頼があった場合に前向きに検討できるか。
石井)推薦依頼がない段階なので、仮定の質問への答えは控えたいと思う。

Q、唯一の与野党対決になる島根1区について、自民党公認候補への推薦の検討状況は。
石井)自民党から推薦要請が来ているので、今、地元とも協議を行いながら、引き続き検討している状況だ。

Q、地元の党県本部と自民県連が協議をしている段階か。それとも党本部同士で協議か。
石井)党本部同士では、選挙対策委員長を通じて、いろいろやり取りはしているが、われわれも地元と連携をしながら、検討しているという状況である。

Q、16日の告示までには何らかの対応を決めるのか。
石井)正式に推薦要請をいただいているところであるので、告示日までには何らかの対応をしたいと考えている。

Q、告示が差し迫っている。推薦を決めるに当たって、何らかの課題があるのか。
石井)内部的な検討の状況なので、つまびらかにするのは控えたいと思うが、いずれにしても、告示日も迫っているので、そろそろ結論を出す時期に来ていると思っている。

Q、自民党派閥の政治資金問題が、自公の選挙協力関係にどういった影響を与えていると感じているか。
石井)なかなか説明しにくい案件だ。国民の信頼を、まだまだ取り戻せていない状況下で難しい選挙になっていると思うので、信頼を取り戻すためにも、この国会において政治資金規正法の改正を実現するということが最も重要なことだと考えている。

≪静岡県知事選≫
Q、公明党としての対応は。
石井)静岡県知事選については、まだ何か検討に着手していることは全くない。候補者も出そろっていないし、私どもの党に対して、何かアプローチも特段ない段階だ。

以上

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