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虎に翼 第34話・35話

寅子(伊藤沙莉)の背負ったものの重さ、夢、将来のために彼女にプロポーズせず、佐賀で奈津子(古畑奈和)と婚約したのだと告白する花岡(岩田剛典)。彼を呼び出して問い詰めるのが、轟(戸塚純貴)と、よね(土居志央梨)であるのがよい。

轟「それで猪爪に何も言わずに婚約を!?きちんと話もせずにか!」
そうだ、そうだ。どういった答えを寅子が出すにせよ、きちんと話すべきだったんだよ。

よね「責任を負う勇気がないだけだろう」「お前などあいつと到底釣りあわない」
よ、よねーーーーっ!!そこまで寅子を友として思って…!花岡を呼び出したのはそれぞれに、よねは寅子のため、轟は寅子のためもあるが、それ以上に花岡のため。

「ありがとな轟」「ここからは奈津子を誠心誠意愛して、何も間違わず正しい道を歩むと誓うよ」

そう、花岡は轟が花岡自身のことを思って呼び出したと理解している。だからこその「ありがとな」、なのだ。

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お見合いして断られるまでにも辿り着かず、お見合い相手自体がまったく見つからぬ寅子……イケメンとは言い難い、しかも後添い募集中という男性まで紹介される。谷崎潤一郎『細雪』雪子の見合いを思い出す展開だが、妥協したつもりの相手にも断られる。お見合いでは割とよくあるお話ですよね……。

そして、意を決して寅子の前に現れた優三さん(仲野太賀)。

「僕じゃだめかな。社会的地位を得るための結婚相手。僕じゃだめでしょうか!」
「つまりそれは。優三さんも社会的地位がほしいと?」

この朝、7時43分と8時13分に日本全国から「違う!!!」という声が一斉に上がったと思う。トラちゃん、そりゃないよ。腹をくだしてしまう優三さんに気づいてくれ。緊張してるんだよ、単に社会的地位がほしいという告白なら、くだすまいよ。

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優三さんの思いが通じていないことに胸を痛めていたが、35話ですぐに、はるさん(石田ゆり子)が

「寅子。あなた少し黙ってなさい!」
厳しく寅子に言い、優三さんの申し出を温かな言葉で受けることに安心した。最初は混乱していたが、優三さんの言葉を聞きながら真剣な表情に変わっていく直言(岡部たかし)もいい。
プロポーズに対しての寅子の勘違いは残念であったが、彼はこの素敵な人達と家族になれるのだと思うと、胸がいっぱいになる。よかったねえ優三さん。
そして猪爪家は、鉦や太鼓で探しても簡単に見つからないくらい、素晴らしい男性を迎え入れるのだ。
おめでとう。

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ついに寅子、弁護士としてデビュー!法科女子部の皆を思い出す場面で泣く。傍聴人に、よねが来ていることにも泣く。

しかし、笹山のおいちゃんが寿司屋を畳むことがショック……
「米もネタも入ってこなくてさ」
食糧管理法のもとに、米が配給制になるのは昭和17年のこと。少しずつ、それまであった当たり前の日常が削り取られてゆく様子が怖い。

「逃げ道を手に入れると、人間弱くなるもんだぞ」
逃げるは恥だが役に立つとは思えない、よね。生き残った者勝ちという考え方は……彼女は良しとはしないだろうな。

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和装にヴェールの花嫁姿が可愛い!本当におめでとう。

新婚初夜……社会的地位を手に入れるための婚姻だから、指一本触れない宣言。そして、「まあ。僕はずっと好きだったんだけどね。トラちゃんが」宣言。

すごく大事なこと言ったのに、優三さん寝つき早っ!!
高等試験に受からなかった、身寄りのない、書生であった。それだけで寅子には釣りあっていないと判断してしまっている、優三さんが切ない。
一度起こして問いただして、優三さんまた寝つき早っ!!!

寅子の気持ちを思って、優しいから触れずに眠ったんじゃないね。使い果たしちゃったんだね、今日いちにちの結婚のお祝いと、告白で全ての気力を。

戦争がどうであろうと、日本がこれからどうなろうと、寅子と優三さんの佐田夫婦と猪爪家の幸せを祈ってる。次週予告は見なかったことにする、とにかく幸せでいてほしい。

(つづく)


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