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"愛する二人の外国人の弟子" とは〜 ブアカーオのラジャ最終戦と、最近の動向について

タイの国民的ムエタイ選手の、ブアカーオ・バンチャメックは、12月2日のRWS(ラジャダムヌン・ワールドシリーズ)のメインイベントに出場し、コンゴ出身でスペイン国籍のナヤネス・アイマンを相手に3回判定勝ちを収めた。

「タイでのキックボクシング最終戦」「ラジャダムヌンスタジアム最終戦」との触れ込みで挑んだこの一戦、初回に右フックをナヤネスの側頭部にさく裂させ、ダウンを奪っての完勝で、通算戦績を242勝42敗15分とした。

12月2日のRWSのメインで判定勝ちのブアカーオ

ブアカーオは、三浦孝太戦、佐藤嘉洋戦など、コロナ渦明けから、ここしばらく、RWSで何試合かこなしてきたが、既に41歳を迎えた。来年初頭に6回戦(2分×6ラウンド)で企画されるというマニー・パッキャオ戦を見据えて、ボクシングへの挑戦準備もあり、今回を「最終戦」としたのだろう。

しかし、試合後の勝利インタビューでは「ラジャダムナンスタジアムのキックボクシングの試合は「多分」最後だけど、スタジアム側、RWS側から別の形でオファーがあれば、まだ分からない」と、早々とラジャダムナンスタジアムでの試合復帰も匂わせた。

2023年7月の試合発表(日程は未確定(12月6日現在))

ナヤネスはブアカーオ戦まで77勝22敗1分の34歳、2018年に中国でブアカーオに初回KOで負けており、今回がブアカーオへの再チャレンジとなったが、またしても及ばず。

ブアカーオは、10月30日にパタヤでセーンチャイ・PKセンチャイムエタイジムとのベアナックル(バンテージもつけない、素手)でのムエタイファイトを行い、その前は中国広州でのキックボクシングでの無効試合、さらにその前もRWSの城戸戦の無効試合と、ナヤネス戦の前には、キワモノ、曰くつきの試合が続いていたが、12月2日のRWSでは、キックボクシングでの久しぶりの会心の勝利を収めた。

試合途中で、MMAへのルール変更を求められた中国の試合(ブアカーオ側が拒否し、また中国側もキックボクシングルールの試合続行を拒否し、無効試合に)
BKFC でのブアカーオ対セーンチャイ

10月のベアナックルムエタイファイトは、ペイパービューで高額なファイトマネーを実現し、ブアカーオが2000万バーツ、センチャーイは1200万バーツを獲得したという。BKFC THAILAND 5 のメインイベントとして行われたこの試合は開始早々にセンチャーイが拳を骨折、両者とも素手でバチバチ打ち合うよりも足技が多かったが、ムエタイマスターの二人による試合は緊張感のある5ラウンドであった。

タイの報道によると、ビッグマッチであるマニー・パッキャオ戦の次に見据えるのも更なるビッグマッチ、ベアナックルファイトでの元UFC王者コナー・マクレガー戦だという。

BKFCでこの一戦を行えば、世界中の格闘技ファンの注目を集めるだろうが、マクレガーはまだベアナックルファイトの経験はなく、2021年以降ブランクがある。しかしながら、今年4月に行われたBKFC 41のメインイベント終了後、マクレガーがスクエアサークル(BKFCの使用する円型のリング)上に現れて参戦をアピールしたこともあり、今後の動向にも注目したいところ。

2022年9月のBKFC THAILAND 3には、ブアカーオは拳のみのベアナックルファイト通常ルールで挑み、初回早々にトルコ人ファイターにボディでのKO勝ちを収めていたが、ブアカーオがベアナックルファイトにアジャストできているのかは未だ分からない。

41歳のブアカーオ、まだまだ現役に執着して、ルールも異なる様々な試合のオファーを受けているのは、チェンマイの自身のジムの運営の為もあるという。トレーニングキャンプを売りにした「ブアカーオ・ビレッジ」は、レストラン、カフェも併設し、広大な敷地内には専用の田んぼもある。常勤のトレーナーも雇い、維持費もかかるが、チェンマイ空港からは車で1時間以上となかなか不便な立地で、集客にも苦労しているそう。

テレビのニュースでもリーさんについて紹介

先月は中国より、リー・チェンシャンという武道好きの女性が憧れのブアカーオに会うために、35日間かけて自転車で国境を越えて2409キロを走破して、ブアカーオビレッジに辿り着き、タイでは大きく報道された。キャンプに辿り着いたリーさんは、ブアカーオと対面し、ムエタイの指導も受けた。

12月2日のRWSでリングに上がり、ブアカーオの臨時の”付き人”をしていた三浦孝太と併せて「ブアカーオの愛する二人の外国人の弟子」としてリーさんはタイの報道やSNSで取り扱われている。

三浦孝太は12月31日の皇治戦を見据えてのトレーニング合宿や、CMの仕事等でちょうど12月2日にタイに滞在中だった模様だが、昨年8月のブアカーオ戦以降、すっかり”ブアカーオ師匠”と交流を深めた様子。RWSのリング上のブアカーオの勝利インタビューでは、三浦孝太も同時にインタビュアーに質問を受け、「またラジャダムヌンスタジアムで戦いたい」とコメントしていた。

Photo credit : RWS (instagram), BKFC Thailand ( facebook )

12月2日の試合前のブアカーオにマッサージする三浦孝太

↓ ↓ タイ国政府観光庁の公式ページでも紹介されている「ブアカーオビレッジ」

↓ ↓ ブアカーオ対三浦孝太戦を扱った過去記事(2022年8月)


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