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Voicyのこだわった新機能を速攻でローンチして見事に2週間で撤収した話

こんばんは、Voicyの緒方です。
世間はGWですが、VoicyメンバーもGWをオフィスで満喫しております。笑
出社しろと言ったことは全くないのですが、勝手に集まってきて勝手に仕事をしているというのが僕としてはとてもいい自慢のチームだなと我ながら思います。

さて、Voicyに超短期間だけ「次も楽しみ!」というボタンが実装されていたことを知っていますか?今日はこの超〜〜悔しい体験を話そうと思います。いやー、サービスを作るのは面白いですね。日々学ぶことだらけです。

(ちなみにこの後日談、Voicyの社外報でぐだぐだと話してます。意外と人気番組なので良かったら聞いてみてください。)


きっかけ:リスナーとパーソナリティがもっと交流できる方法を作ろう!

Voicyは「(Likeよりも)Loveがたくさん集まる場を作ろう」というコンセプトを持っています。なので、リスナーとパーソナリティが交流して、一緒にチャンネルを盛り上げていくというのはとても大切な要素です。

しかし、リスナーがパーソナリティに対してアクティブに働きかける方法は、Voicy上では主にコメント欄でした。
その他には、Twitterでのシェア、チャンネルのフォロー、再生回数、といったものがありましたが、チャンネルのフォローは1回フォローしたら反応として現れるのはその時だけですし、再生回数もリスナーからアクティブにパーソナリティに働きかけるものではありません。Twitterでのシェアも良いのですが、Twitterアカウントを持っていない人もいます。

一方、パーソナリティの声として、やはりコメントをもらうととても嬉しい、ということはよく挙がっていました。ただ、リスナーとしてはコメントを書くのはちょっとハードルが高い。そこで、「コメントを書けなくとも、パーソナリティに応援の気持ちを届ける機能」を実装しよう!と考えたわけです。

1つ1つの機能もこだわりたい

リスナーがパーソナリティに気軽に働きかける機能、つまり受信者が発信者に対して反応する機能といえば、まず思い浮かぶのは「『いいね!』ボタン」のような機能です。
どこにでもある機能のようですが、Voicyにとっては、これまでの「とにかく流し聞きできる」サービスから、「リスナーに積極的な反応を求める」サービスに変わっていく可能性があるため、慎重に考える必要がありました。

重要なことは「リスナー側の立場でもそれをすることが嬉しくて、かつパーソナリティ側にとっても嬉しい機能って何だろう?」という点です。

・ コメント:リスナーは手間がかかる分大変だけれど、パーソナリティはとても嬉しい
・ 再生回数:リスナーは何もしなくて良いけれど、パーソナリティとしても「聞き手がリアルにそこにいる感じ」はちょっと弱い

この間にあるものを作りたかったわけです。

チームのこだわり①ちょうど良い言葉を探す!

社内では、アイデアとして、例えば、「『いいね!』ボタン」とか、「『次が聞きたい!』というアンコール的なボタン」とか、色々とアイデアが出ていました。
で、まずここの「『何ボタン』にするか」でめちゃくちゃ悩み、社内でもあれこれ議論しました。

まず、「『いいね!』ボタン」は、リスナーからパーソナリティやチャンネルを評価している感じがあって、ちょっと違うかもとなりました。
Voicyはあくまでパーソナリティがぐいぐいと面白いものを作り、それにリスナー(ファン)がついていくという形が良いなと思っているからです。その配信が良かった!というその配信限りのものでなく、次の配信にもつながっていくほうが、「(Likeよりも)Loveの集まる」感じがあります。

では、「『次が聞きたい!』ボタン」はどうか。
リスナー側からは確かに「次を待ってます!」という気持ちが伝わりそうだけど、どちらかと言うと、今回の配信が良かったからこそ押してるのに、次回を期待もおかしいかなと。一方でパーソナリティ側からすると「急かされているプレッシャー」が出ないか?という懸念がありました。
それで、この言葉も却下となりました。

あれこれ議論を重ね、結局、「今回も良かったけど次も楽しみ」という気持ちが伝わる言葉として、「次も楽しみ!」というワードに落ち着きました。

チームのこだわり②UI
せっかくボタンを実装するなら、「楽しみ」感や「気持ちが伝わった感」が実感できるようなものにしたい、とデザイナーと意気込み、とことんやるのがVoicy流。
まず、「次も楽しみ!」な気持ちを送るボタンはハートを押すようにしました。しかし、アニメーションで現れるのはパーソナリティへの「Love」よりコンテンツに対する純粋な応援を表したく、ニュートラルな○のアニメーションにしました。心を込めて応援してると感じられるように心地よさを考えまくり、ボタンを押した時の音も専用に作り、何度も試行錯誤して押し心地をめちゃくちゃ作り込みました。

さらに、このボタンは1回だけ押せるのか、何回も押せるのかという議論もかなり割れ、気持ちを送る方と受ける方は1回の重みが何がベストかかなり揺れました。
これも、悩みに悩み、1日1回押せる仕様とした上で、パーソナリティが新しい配信すると押された回数がリセットされるという形としました。1
回の押される意味を軽くせず、もらって嬉しいリスナーからパーソナリティを喜ばすものにしたいという点を意識しました。

チームのこだわり③情報の伝え方
「次も楽しみ!」ボタンが押された回数は、録音アプリ側だけは表示するようにしました。
これを再生アプリ側にも表示してしまうと、むしろ「次も楽しみ!」が溜まっているほうが人気チャンネルのように見えてしまい、むしろ聞きたい人がたくさんいる感を見せるため配信が減るのではないかと考えたからです。あくまで、「次も楽しみ!」ボタンはリスナーからパーソナリティに気持ちを届けるボタンであり、チャンネルごとに比較しない仕様としました。

さらに、パーソナリティ側への情報の伝え方としても、「次も楽しみ!ボタンが**回押されました」ではなく、「**人が放送を待っています」といった言葉遣いにしました。
こういった体験のデザインは他のサービスでも見たことがなく、「常に新しい価値に挑戦しよう!」と言ってる社内では、これがどうなるか楽しみでした。

しかし・・・


リリース後の誤算①すぐに押されなくなる

「次も楽しみ!」ボタンは、テストユーザーでもとても評判が良く、満を持して実装しました。予想通り、リスナーからもパーソナリティからも評判は非常に良かったです。

が…すぐに飽きられたのか、ボタンが押される回数はどんどん減っていきました。リリース直後が一番反応が多いことは予期していましたが、ここまで一気に変化するというのは予想外でした。結局、画面を見てないリスナーだと押すタイミングを逃すということもあったと思います。

リリース後の誤算②パーソナリティの反応が分かれる

細心の注意を払ったつもりでしたが、やはり「配信が急かされている感じ」「待たせてしまっている感じ」という受け取り方をされるパーソナリティが出てきました。
「次を待ってくれている人がいる」ことが可視化されることが、「よし、やろう」というモチベーションになる人と、「(自分の好きなタイミングで好きに配信したいのに)急かされている感じ」と捉えてしまう人がいたわけです。

また、貯まった「次も楽しみ!」の数が、新しい配信をするとゼロになってしまうという仕様も、せっかく溜まったものに喪失感を覚えるパーソナリティの方もいました。
リスナー側からは、気持ちが届けられて嬉しいという反応が多かったのですが、パーソナリティの中には、「誰が押したかを知りたい」という新しいニーズも出てきてしまいました。

2週間で撤回という結論に至る

リリースの結果として、配信頻度の低い人の配信が増えた一方で、普段から配信をしている人にとっては「プレッシャー」と受け取られてしまう傾向がありました。

結局、色々考えてリリースしましたが、仮説と解決策が違うという事実を突きつけられた形になりました。
その後も、ボタンを何度も押せるようにするとか、押された数が累積されるとか、改善案を検討したものの、当初考えたものより良いものに改善することは難しいと判断しました。僕としては、「Voicyのサービスの中には萎えるポイントがない」状態にしたいので、もっと良い体験をつくるために、リリースから2週間ほどで機能の撤回を泣く泣く決断しました。

これは社内でもめちゃめちゃ悔しい経験になりました。
あれだけ考えて作り込んで、社内みんなが、誰もやってないことだしユーザーに届けてみたい!とワクワクしながらリリースしたのに、思っていたのと違う結果が出てしまった。これがサービスの面白くもあり難しいところですね。

今もコメント機能はもちろん、Twitterを通して、コメントを付けてチャンネルをシェアするといった形でリスナーとパーソナリティは交流をしていますし、パーソナリティはそういう反応がもらえるととても嬉しいみたいです。ですので、リスナーの方にはぜひ感想をコメントしてもらったり、良いと思った放送はシェアして欲しいと思います。
一方で、Twitterアカウントを持っていない人もいますし、Voicyの中でリスナーもパーソナリティも満足できる"音声サービスだからこそ"の機能を今後も追求していきます。

リスナーの「良かったよ」「応援してます」という気持ちをうまく届けられるような、「再生回数のような非アクティブな応援と、コメントのようなアクティブな応援の中間くらいに位置する機能」については、今後も革命的に良い体験を実装可能と判断したら再挑戦したいと思っています。

Voicyでは、こうしたら良いのでは?というアイデアや、一緒にアイデアを考えてくれる、我こそは!と思う超優秀なスタッフを大募集しています!
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