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1.9マイクロシーベルト

福島第一原発の事故から10年以上が過ぎ、放射線量の単位である「シーベルト」という言葉を日常聞かなくなった。しかし、現在もなお、その言葉を目にせざるをえないところがあるのだ。

常磐自動車道を仙台から水戸、東京方面に向かった。山形からの帰り、今回はこのルートにした。「その後」を見たかったからだ。

相馬を過ぎてしばらく行くと、道路沿いに看板が立っている。放射線量のモニタリング数値の表示だった。ここは、0.1マイクロシーベルトだった。安全な範囲は0.1から1.9だと記されている。

南へ下るにつけ0.2、0.4と増え、浪江を過ぎて双葉のあたりだろうか、1.9になった。これがピークで、そのあと楢葉、広野では0.2、0.1と下がった。

現在、原発の再稼働をめぐっては賛否両論だ。稼働期間を延長したり、再稼働の申請に対して多くは審議中である。そんななか、関西電力は、MOX燃料10トンを含めた使用済み核燃料200トンをフランスに搬出することを決めた。2023年末までに福井県内に3か所ある原発の使用済み核燃料の県外中間貯蔵施設が確定できなければ原発の運転を停止することになっていた。その回答がこれである。

これで福井県との約束である「県外搬出」を果たせると、のうのうと言う。わたしには、問題先送り、つじつま合わせの詭弁としか思えない。

戻って、常磐道。浪江、双葉、大熊、それに富岡地区はいまだに立ち入り禁止区域が残っている。車窓からは、放置され荒れた土地がつづき、ところどころに民家が取り残されている。目につくのは大規模な太陽光発電施設。これが、今できる復興策なのだろうか。

フクシマは終わってないのだ。
原発再開、使用済み核燃料の処理先送りをする彼らは、常磐道を通ったことがあるのだろうか。